春夏ジャケットはモヘアがおすすめ!
冬が終わり、気候が暖かくなってくると取り入れたくなるカラーが少し明るめネイビーではないでしょうか。
言わずもがな、紳士服の定番色であるネイビージャケット(スーツ)。
既にお持ちの方も多いことでしょう。
この定番のネイビージャケットで、少しでも季節感を出すことができたらお洒落だと思いませんか?
「ネイビーのジャケットならどれも同じじゃ、、、?」
と思うかもしれませんが、実は同じネイビーでも季節感を表現することはできます。
単純に「色」だとイメージしやすいですよね?
冬は少し暗めのネイビー、春夏は気分的にも少し明るめネイビーのようにトーンを少し明るくするだけで季節感が感じられます。
ですが、ブルーに近いような明るいネイビーは、ビジネスでは不向きなこともあると思います。
そこで、単に色味を明るくする方法以外で、春夏らしい装いをするポイントをお伝えしたいと思います。
この“季節感”を表現するには、素材を変えてみるのが一番簡単な方法です。
日本には四季があり、春夏(最近は春が極端に短いですが)には春夏に適した素材を使うだけで、ベーシックなネイビージャケット(スーツ)も季節感のある装いに変わります。
この時期であれば、お勧めなのがモヘアの素材です。
モヘアというと、このブログでも度々ご紹介してまいりましたが、ヤギ毛の一種になります。
▼モヘアについて詳しく説明している記事はこちらです。
モヘヤの生地が、なぜ季節感を出すことができるのでしょうか?
この記事では、3つの項目に分けて説明したいと思います。
■ウールとは光沢感が違う
モヘアとウール。
どちらも光沢がある素材ではあるのですが(一部平織りな等の素材で光沢がないものもあります)、ウールの光沢感とモヘアの光沢感は人間の目ではっきり分かるほど違いがあります。
一言で説明すると、
・ウールはヌメリのある光沢
・モヘアはキラッとした光沢
ウールのヌメリのある光沢というのは何となくイメージしやすいかと思います。
ですがモヘアのキラッとした光沢は、ちょっとイメージし辛いかもしれません。
ウールのようにオイリーな感じではなく、シャリシャリした感じの輝きがあります。
これは服好きの方が見れば、一目でモヘアだと分かるほど特徴的な光沢感なのです。
基本はウールとモヘアをブレンドした生地が多いのですが、モヘアの配分が多いとこのシャリ感があまりに強くなってしまい、ビジネスシーンで着用するには若干の抵抗感を持たれる方もいらっしゃいます。
ですので目安としては、モヘアが30%程度ブレンドされているものだと使いやすいかと思います。
ウールの質感にほんの少しモヘアの光沢感やシャリ感をプラスすることで、ビジネスシーンにも難無く溶け込む、それでいて季節感をしっかり感じるジャケット(スーツ)となります。
■ウールとは色の雰囲気も違う
ウールの原毛は下の写真のように、クルクル、モコモコッとしています。
対して、モヘアはもっと白くてシュッとしています。
この時点で既にモヘア独特の光沢感やハリ・コシというのを十分感じるわけですが、ウールとは色味も少し違うのです。
ここでいう色味は、原毛そのものの色味ではなく「染まり方」を指します。
これは、何とも言葉では表現し辛いのですが、同じネイビーあってもウールのネイビーとモヘアのネイビーは雰囲気が全く違うのです。
すごく清涼感のある感じといいましょうか、少しムラもありますので、その表情も相まって独特な雰囲気があるのです。
この表情が、単純に「綺麗」と感じられるのもモヘアならではかもしれません。
■春夏以外は着れない だからこそ着るのが楽しい
今までご説明した「光沢感」「色味」によって、モヘアのスーツは非常に清涼感が感じられるということはお分かりいただけたかと思います。
そのため、逆に言えば、秋冬に着用していると少し違和感があるということです。
秋冬にモヘアを着ていると、その涼しげな装いは明らかに季節とはアンマッチとなります。
生地の織り方も”平織り”といって、盛夏用の生地などのに良く使われる通気性にも優れた織り方のものがほとんどです。
「春夏にしか着ることができないスーツ」
だからこそ、いいんです。
例えば、雨の日にはお気に入りの傘、お気に入りの雨用靴を揃える。
普段なかなか着用しない、でもお気に入りのアイテムを身にまとうことで、雨の日でも少し良い気分で過ごすことができる。
こんな話を聞いたことがありませんか?
冬のコート、夏の開衿シャツも着ていて楽しいですよね。
「季節を楽しむ」ということは、その時にしか味わえない感覚があるのです。
洋服を着用することによる高揚感にも繋がります。
いくらお気に入りのスーツでも、オールシーズン毎日着用していたら、次第に高揚感は薄れていってしまいますよね。
■大人の洒落感がある
モヘアのスーツは、基本的に春夏にしか着用しません。
オンシーズンにしか着用しないということは、結果的にそれだけ長持ちもすることにもなります。
昨今オールシーズンのスーツは欠かせないアイテムのひとつになっていますが、日本の夏と冬はひとつの服ではカバーできないほど気温・湿度の差があります。
この日本の気候であれば、洋服を分けるのは当然のことなんです。
「夏は暑くて何も着たくない。」
「スーツ着るのは嫌だ。」
ということもあるかもしれませんが(笑)、お立場としてスーツを着用しなければならないという方も多いはず。
そうした方に、季節感のあるスーツをご提案させていただくと、冬には冬用のスーツが必要になり、また同じようにその季節にしか楽しめないスーツが増えていくわけです。
逆に言えばオールシーズンのスーツは、1着2着あれば十分ではないでしょうか。
季節感が出過ぎてもよくないシーンもあるでしょうから、そういった時にオールシーズンのスーツを着用して、それ以外は季節感のある装いだとそれだけで洒落た人になれます。
張りきった洒落感ではなく、あくまで自然体の洒落感、これって結構重要ですよね?
■モヘアのおすすめ生地をご紹介
ということで、今回はモヘアのスーツについて私なりの見解を述べてみました。
モヘアはウールに対してどれだけ配合されているかによって、いわゆる”モヘアらしさ”がどのぐらい出るのか変わってきます。
この辺りはサロンで実際にたくさんの生地を見ていただきながら、細かくご説明させていただきますので、少しでも興味をもたれた方は、お打ち合わせだけでも結構ですので是非お気軽にお問い合わせください。
実は年々モヘアの配給量が減ってきており、モヘアの生地は現在でも希少価値が出てきています。
近い将来、簡単には仕立てることができなくなってしまうかもしれません。
値段も確実に上がってきておりますので、手の届く範囲の内に仕立てておいて損はありませんよ。
最後に、モヘアのおすすめ素材をご紹介します。
<ジャケット生地編>
このARISTONのジャケット生地に、モヘア混のホップサック生地が入っています。
これはいいです!
清涼感も抜群!そして通気性も優れているので、軽く羽織るのにもピッタリですよ。
先日発表した“リベラーレ”とも相性抜群です。
<スーツ生地編>
スーツ生地なら、英国マーチャントのハリソンズ、そしてホーランド&シェリーのコレクションが充実しています。
どれも良い味がありますよね、、、惚れ惚れします。
こんな素敵な雰囲気のスーツを自然に着こなして、暑いシーズンを乗り切りたいですね。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2020年3月6日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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