セールで買ってはいけない服&買っていい服(男性編)アパレル業界の裏側とメンズファッションで大切なこと
松はじめです。
年始のこの季節はセールが行われていますよね。
私が経営しておりますオーダーサロンは、基本的に注文をいただいてから制作するので、セールがありません。
ですが、既製品はセールがあるのです。
このセール、一体男性はどんな風に買い物するのが賢いのでしょう?
12年オーダーサロンをやってまいりました私が、買っていい服・買ってはいけない服!について解説する動画を作りました。
2019年の初売りセールに行ってみる
まず、今年1月2日の初売りに実際に行ってみました。
私、個人的にはあまりセールというものには行きません。
ですが、今回の動画の内容をお伝えする上で、確信が欲しかったのです。
そこで検証のためにでかけました。
もちろん、もし良い服があれば買おう!と思っていたのです。
が、結果は買えず。
またこれからご紹介する買っていい服・買ってはいけない服についても思っていたとおりでありました。
手持ちの服(ワードローブ)チェックから
セールに行くと、つい安い!と買ってしまいがち。
そんな人も多いですよね。
ですが、まず自宅で行うことがあります。
それがワードローブチェック。
クローゼットを見渡して、チェック。
この服、この服、あ、こんなパンツがある!
この服にこんなアイテムがプラスできたら、コーディネートの幅って広がるよなあ・・・
そんな風に、まずは手持ち服を棚卸しします。
ビジネスでいうなら現状把握。
対策を打つにも、展望を語るにも、現状の数値を把握して分析することは大事。
手持ちの服チェックすれば無駄な買い物が減る
そうして、これが必要!となった服。
その服やアイテムと、セールで売っている服は一致しないかも。
今、何が必要?
足すべき服・アイテムを決めてから動くだけで、つい買ってしまった!が避けられます。
さらに、あぁ、また同じような服が・・・も避けられるのです。
しかも確実にコーディネートの幅が広がります、広がるように買うわけですから。
セールで賞味期限近い服を買わない
セールには、賞味期限が近い服があります。
これは、服に対しての嗅覚みたいなものを磨かないとわかりません。
食品と同じように、服にも賞味期限ってあるのです。
賞味期限が近ければ、スーパーでは見切り品として30%、50%オフとして販売して売り切ります。
同じように、ファッションでも賞味期限近い服が安くします。
どんな服が期限近いかというと・・・
・流行色・柄
・今年のシルエット
こういう服は今年かっこよく見えても、来年には意外とパッとしないことがあるのです。
変動の激しいのがパンツ
意外なのですが、男性のパンツは変化します。
微妙なシルエットが変わります。
プリーツが入ったり、入らなかったり。
裾にリブがついたり、つかなかったり。
裾に向かって細くなっていくテイパードのパンツは、日本人の救世主だと思いますが、こちらも毎年テイパード具合が変わります。
だから、できるだけ王道・普遍的で、でも似合う・トレンド感もある!そんなバランス良い服選びが重要です。
が、セール対象商品には少ない。
セールでアウターばかり買わない
セールに限りませんが、アウターから買うということはないでしょうか?
ブルゾン、コート、スウィングトップ・・・
アウターは、着るだけでガラッと変化を起こせる。
面積も大きい。
だからつい買ってしまいがち。
なのですが、実は揃えていくべきはシャツ・パンツなのです。
特にパンツ。
パンツは、地味ですが先ほどもお伝えしたとおり変化があります。
このパンツのシルエットを今年らしく整えるとか、
今持っている服に合わせてアップデートする、買い足す。
これだけでかつでのアウターが生きる。
アウターがメインディッシュなら、シャツ・パンツは前菜やデザート。
全体が調和すると、良いコース料理になるわけです。
セールで福袋は買ってはいけない
このブログを読んでいらっしゃる方は大丈夫だと思いますが、福袋はNGです。
動画:メンズファッションTVは、基本的にファッション入門編です。
なので、敢えてお伝えしました。
福袋は、なんとなく飛びついてしまう!という方いらっしゃると思うのです。
金額以上の物が入っている!
何が入っているかな!
ワクワクする気持ちはあると思うのですが、ことアパレルに関して言えば、
・売れない服を目隠しして売る!
これが現実です。
また、サイズが合わない場合も。
そして、先ほどお伝えしたように、一見素敵でも今年色など賞味期限の近い商品が入っていることも少なくありません。
福袋を買うコストは、良いセール対象外のニットに投資した方が効果的!
普遍的な服は価値が下がりづらい
セールでは定番アイテムは値が下がりません。
ケーブル編みのホワイトセーターはだいだいセール対象外。
つまり、セールはアパレル業界の構造自体の問題です。
どういう問題かというと、
・売れ残り前提でたくさん作る
・売れ残ったら叩き売る
・余ったら捨てる
このモデルです。
・売り切って足りなかった
となると、チャンスロス。
服はわざと余るように作る
だから、余るくらい作る。
もともと余るくらい作って、最後は原価で売る!というモデルです。
悲しきかな現実、既製品は原価20%、30%でしょう。
>>例えば、1万円のニットを100枚作るとします。
100万円分です。
原価30%なら30万円かかりました。
全部売れたら、100万円(売上)−30万円(経費)=70万円(粗利)
で、あと10枚ほしい!という声があったとします。
が、在庫なし。
すると、
1万円×10枚=10万円(売れたはずのロス)
10万円のロスになってしまうわけです。
仮に、ちょっと多めに120枚作ったけど、110枚しか売れず、残ったらどうでしょう?
110万円(売上)−36万円(120枚分の原価)=74万円
あれ!
10枚残ったのに、足りなかった時よりも利益が上がった・・・
と、こんな風に売れる服はたくさん作らないといけないのが既製品。
これは既製品批判しているわけではなくて、焼き鳥屋さんでもお寿司屋さんでも、仕入れの商売は基本的にこういうことなのです。
だから、セールが存在します。
70%オフの服は30%の価値しかない?
ファッション感度の高い方は、シーズンの早い時に買います。(既製品の場合)
こうしてシーズンが終わる。
それで、残ったらセールをします。
初期段階のセールで売れ残ると、30%オフから50%オフへ。
さらに残ったら70%オフ!
こうなると、もう良い服は残っていないことがほとんど。
なのですが、中には良い服もあります。
あるんですが、私はそこで探し出す時間・労力をかけるのだったら、新品の良い服が良いのではないかなと思っています。
そもそも、70%下がった価格の服にはどのくらいの価値があるんでしょう?
30%の価値しかないよ!と言われているような服、とも考えられますよね。
アパレル業界も進化している
こういったアパレルの無駄を解消している企業もあります。
例えばZARAなどは、売れ筋を見つけたら、売れる量だけをスピーディーに作って世界の売り場に並べます。
見越した量を作って、売り切る。
また次を作る。
ZARAのモデルはトヨタのカンバン方式と言われていて、非常に優れています。
在庫を持っておくことは大変なことですから。
ワールドなども、その時々の売れ行きを見ながら国内でクイック生産しているといいます。
事前にコレクションとか展示会で、これを・・枚!と発注することも問題なのです。
半年、1年後のトレンドや気候を予想して仕入れないといけない。
だから売れる量・売れる筋を外したらセールする。
それでもセールに行くのは悪くない
それでも、セールに行くこと自体は良いことです。
どんな服が売れて、どんな服が残っているか?
いろいろな目利きができます。
目が肥えてくれば、お買い物で失敗することも少なくなるでしょう。
もちろん掘り出し物に出会えるかもしれません。
この記事は、アパレル業界の構造をお伝えしているだけでセール否定しているわけではありませんからね。
私は、スーツ・ジャケット・コート、それにシャツなどのテーラード関連はオーダーで。
それ意外のニット、セーターは既製品です。
(オーダーサロンを経営しているので当たり前ですが・・・)
既製品はすぐに手に入ることが良いです。
また、良いデザイナーがデザインした服にスポッと自分が入ることができます。
逆に、細かなサイズはオーダーが良いです。
フィット感、着心地、本当に必要かつ欲しい服を作れるのはオーダーの醍醐味。
どちらも一長一短です。
まとめ
今回は実際に1月2日のセールに行ってきました。
・セールで買ってはいけない服
>>今年らしい服(色・柄・サイズ)
>>アウターばかり買い
>>衝動買い
>>福袋
・買っていい服
>>持っている服たちと合う必要な服・アイテム
>>定番商品、普遍的なアイテム
>>パンツ
さて、明日は何着よう?
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ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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