なくてはならない!スーツに効く小物
トランプの ネクタイがちと 長すぎる。
オーダーサロン ボットーネの松 甫(まつ はじめ)です。
どうしても気になることの1つは、ドナルド・トランプ氏のネクタイの長さであり、同じ感想を持っている方は少なくないのではないだろうか。
ところで、ネクタイの長さについて考えるときに、フォアインハンドクラブはご存知だろうか?
ロンドンにあった紳士の集まりである。
そして、結んだときにちょうど握りこぶし4つの長さになることから、ネクタイのことをフォアインハンドと呼ぶこともあるのだ。
悲しきかな、クールビズを押し付けられてしまっている紳士たち。
仕舞われてしまったネクタイ。
やはり、スーツを装う場合にネクタイはなくてはならない小物。
ネクタイはスーツを着る上ではなくてはならないと思う。
ネクタイはVゾーンに彩りを添えてくれる。
ドアが空いて、入ってくる取引先のマネジャー。
「ネクタイはそれを締めている人よりも一歩先に部屋に入ってくる。」とは、サー・ハーディー・エイミスの言葉だが、パッとまず目に入ってくるのは、顔より先にネクタイだ。
なくてはならない、スーツ小物については、ネクタイはメンズウエア素材の基礎知識の著者、大西基之先生の幻の著書、セビロが消えた日でも述べられている。なんと私は、このセビロの消えた日の原稿を入手したので、少しご紹介してみよう。
セビロあるいはスーツという様式を構成する上で最も重要なアクセサリーの一つにネクタイがある。
現代ではクールビズという夏のエネルギー不足に対する一助ということもありネクタイを着用しなくても失礼に当たらないということが一般的になりつつある。
とはいえ着装という点からいけば明らかに必要な部品を欠いていることに変わりはないのであるから、間が抜けずにノーネクタイでスーツを着装するには服装のキャリアを積んだイタリア男ほどの技術が必要だと思うのである。
大西基之先生の幻の著書 セビロが消えた日より抜粋
まず、かえってノータイは難しいということがわかる。
よほどルックスとスタイルがズバ抜けている場合は、ネクタイの力を借りずとも良いかもしれない。
または卓越しファッションに精通した方がノータイ姿で装っていたら、それは素敵かもしれない。
けれど、そうでない場合はやはりネクタイの力を借りるに越したことはないと思う。
必要な部品を欠いている、とある。
この数年で慣れてしまったのだろう、ノータイ姿に。
だからそんなにおかしい姿でないように見えるのかもしれない。
ちなみに、私はネクタイをしないスーツスタイルは未だに奇異に映る。
例えるなら、こうなる。
・エンブレムがとれたメルセデスベンツ
なくても車としては成立するし、エンジンや乗り心地などの機能面は問題ないが、なんだか外観のバランスが整わないと思う。というか、それがないとベンツじゃないとい意見も。
ノータイとはそんなアンバランスのような。
・緑のラインがない山手線
色以外に他の列車との区別がつかない。
最近の都心を走る電車は、JRも私鉄も、外側のラインの色以外に目立って大きな違いがない(細かな違いはあるけれど)あの山手線の緑のラインを黄色にしたら、総武線にしか見えないし、ブルーにすれば京浜東北線に見える。
ノータイとはそんな無味乾燥な電車。
・ドレッシングのないサラダ
食べられなくはないが味気ない。
モリモリ野菜を食べる時のサラダバイキングには、複数のドレッシングが用意されていて、それらを変えるだけで別物になる楽しさがある。そのドレッシングがないサラダバイキングはどのくらいの野菜が食べられるだろう?
ノータイとはそんな手抜きサラダ。
・上司がいない日のオフィス
どこか気が抜けた空気があるのはいうまでもない。良くも悪くも。
ノータイとはそんな、緩いオフィスのような・・・。
私が洋服屋だから?
ネクタイをしていない男性を見ると、上記のようになんだかあと一歩なのに完成されていない、勿体ない、だらしない、そういう風に見えてならないのだった。
私が洋服屋だから?
そうかもしれないが、ネクタイを締めている人間からすると例えるとそのくらいなんだか間の抜けた感じがしてしまうのだ。
まぁ、私のような洋服屋からどう見られるかはこの際どうでもいい。
でも、西洋では多くの人がきちんとネクタイをつけているわけであり、つまり西洋から見ると・・・。
大西基之先生は、本書の中で、(着れるわけはないが)帯をしない和服と例えていた。
やはりスーツにもジャケットにもネクタイを取り入れると綺麗だし楽しい。
ジャケットというとノータイというイメージもあるけれど、タイドアップするに越したことはない。
ネイビーのジャケットに、無地のタイでも表情があるタイで動きをつける。
ここぞという日はパワータイで、主張が伝わってくるもの。
ということで、クールビズ後のスーツの装いに向けて、早めにネクタイを取り入れてみようか。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年9月15日
スーツの着こなし術 | コーディネート
タグ:スーツ, スーツ小物, ネクタイ, クールビズ
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