魔法の杖が完成

本日は、ジャケットとセットで作ったジレを合わせ、
パンツはコーデュロイ。
ジレはやはりダブル。
プロダクション・マネジメント(生産管理)に真剣に取り組んで数年、
ついに出来上がった、そう実感した。
ふつふつとこみ上げる、喜びの裏で、
まぶたをとじれば、現場で深夜まで格闘した日々が昨日のように蘇る。
創業当時は納期の事でご迷惑をお掛けしたことがあった、
「物は良いのに、勿体ない」そうお叱りを受けた。
性格上、やる!と決めたら真っすぐに、
そしてとことん突き詰めてやってしまう。
手書きから、エクセルにはじまり、
友人とシステム開発に取り組んだこともあったが、あれも挫折に終わった。
このタイプの仕事は複雑すぎる、
そりゃそうだ、1点1点、お一人お一人、
オンリーワンの提案のオンパレードなのだから。
システム会社のA氏曰く、
「こんなの、よく作ったねぇって言われますよ、本当、松さんが諦めなかったからですよ」
などと言っていただけたが、
私は確かに1mmも諦めなかったが、
A氏がとことん付き合って下さったから意外の何者でもない、
心から感謝である。
というわけで、私たちのようなテーラーのオーダーシステムは、
複雑極まりない。
素材は色々なところから買い付け、
今季などは10月からイタリアで先行して生地を織っていただいていた。
都度取り寄せる場合もある、
この場合はフランス、イギリス、ナポリあたりからのエアーが多い。
国内で在庫をストックしている場合は、
1日で到着する生地と、2日かかる生地とがある。
こうした生地は、
ジャケット、パンツ、ジレ、シャツとそれぞれセットで注文いただいた場合で、
それを2セット、というようなオーダーも少なくない。
すると、これで8つの素材を待って、
完成したら同時にお渡しとなる。
これに、ジレを制作している素材の余りで、
ボウタイを作ってみよう、などとやっているから大変なことになった。
工房との関係もそうだ、
腕利き職人は点在している、
そして腕利きほど納期がかかる。
これを毎日調整していた。
ビジネスユースならば良いのだが、
結婚式などのフォーマルのシーンは、
納期が最も重要な要素だ、
完成しました、が、式が終わっていました、は許されない。
だからボットーネの行動指針の1番は、
ディズニーランドの行動指針の1番が「安全」のように、
「納期」なのだ。
現在は、
REA(レッド・エマージェンシー・アルゴリズム)
という、独自の特急ラインを作り、
普通と急行を停車させておいて、特急を通過させる、
というアルゴリズムを組み、
順調に流れている。
これはザ・ゴールという書籍から大きなヒントをいただいた。
各工程の中で、
どこかにボトルネックと呼ばれる、生産を減少させたり、
納期に問題を起こすポイントがあって、
それを解消しつつ、
後ろからバッチを組む、というもの。
ドラムバッファーロープという。
ドラムを鳴らして、一定の速度で製品を投入する、
ロープでつないで離れないように。
完成日から逆算して、
何を、いつまでにしなくてはいけないのか?
そのために何が問題なのか?
それを全て洗い出した。
まぁ、
コンシェルジュがお客様と話し込んでしまうため、
設計書が後回しになり、
それでデザインもこだわって、
チェーン店ではないので、イレギュラーなことばかりやっているから、
そこが最大のボトルネック。
今、わが社は、
クラウド上で全てのお客様の洋服が、
どのくらいの進捗か?
納期は問題ないか?
素材の到着は遅れていないか?
仮縫いの進行で問題はないか?
などをチェックできる。
アルバイトクルーでもスマートフォンでチェックし、
検品も指示が出て、問題をチャットできる。
本当にスムーズになった。
やっと、
やっと納期を守れるか心配しながら空約束せず、
洋服作りとお客様に向き合うことに全力で取り組める。
少人数で、
10年という歳月がかかったが、
業界にもっと貢献できる。
携わってくださった方々に、心から感謝である。
もちろん、
まだまだ、改善・改良して進化向上しよう。
2/4、立春、ようやくスタート地点。
明日も真北へ!
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2016年2月1日
明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術 | スーツ ジャケット スタイル
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