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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

【夏スーツ】何着ればいい?!暑い?選び方、生地、目付、ケア方法は?

こんにちは、メンズファッションTVの松はじめです。

毎年、夏の暑さが厳しくなっているように感じませんか?そんな中でも、お仕事やフォーマルな場面でスーツを着用する機会は避けられないものです。今回は、暑い夏を快適に過ごすためのスーツ選びのポイントをお伝えします。

この記事の目次

夏スーツ選びの基本は「素材」にあり

ウールの目付けを理解しよう

スーツ選びで最も重要なのは素材です。ウールは春夏秋冬を通じて使える万能な素材ですが、夏に着用する場合は生地の厚さ(目付け)がポイントになります。

目付けとは、150cm幅の生地を1m切ったとき、どれだけのウールが含まれているかを重さで表したものです。私の経験では:

  • 冬のスーツ: 300g〜400g
  • 秋のスーツ: 260g程度
  • 間季対応: 240g〜250g
  • 春のスーツ: 230g程度
  • 夏のスーツ: 220g以下、200gを切るものも

230gよりも軽い生地は、使用するウールの量が少ないため、その分涼やかに過ごせます。暑い夏でも、ウールスーツとしては比較的涼しく着用できるのです。

強撚糸という選択肢

薄手の生地は耐久性が心配という方には、強撚糸を使用したスーツをおすすめします。強撚糸は、糸を18回以上強く撚ったもので、耐久度が高く、シワになりにくいという特徴があります。

私も出張時に強撚糸のスーツを愛用していますが、連続して同じスーツを着用する必要がある場合でも、よれにくく重宝しています。

産地別の特徴を活かす

イギリス生地の優位性

イギリス生地とイタリア生地では、織り方に違いがあります。イタリア生地は横糸を1本で使用することが多く、やや甘さのある風合いを出しています。一方、イギリス生地は縦糸・横糸ともに2本の糸を撚り合わせたものを使用するため、打ち込みがしっかりしており、強度に優れています。

夏のスーツという観点では、私は個人的にイギリス生地をおすすめします。薄手でありながら強度があるため、夏の過酷な環境でも安心して着用できます。

夏におすすめの素材たち

モヘアブレンドの魅力

私が夏のスーツで最もおすすめしたいのは、ウールにモヘアをブレンドした素材です。モヘアはアンゴラ山羊の毛で、以下の特徴があります:

  • 優美な光沢感
  • 太い繊維による通気性の良さ
  • シワになりにくい性質
  • 羊毛よりも白く、色の発色が良い

夜間照明下での艶やかな光沢感は独特で、フォーマルシーンにも最適です。

フレスコ生地の実力

もう一つのおすすめは「フレスコ」と呼ばれる生地です。これは強撚糸を2本または3本撚り合わせた糸で織られた生地で、「ポーラ」とも呼ばれます。

フレスコの特徴:

  • 非常に強い耐久性
  • シワになりにくい
  • 通常のウールより涼やか

夏スーツ選びに迷った際は、「フレスコ」という言葉だけでも覚えておいていただければ、間違いのない選択ができるでしょう。

リネンスーツという選択肢

上級者向けではありますが、リネン(麻)のスーツも夏の選択肢の一つです。ウールに比べて断然涼しく、独特のクタッとした風合いが魅力的です。

ただし、正直に申し上げると、リネンスーツを着用しても日本の酷暑では暑いのが現実です。しかし、ファッションは自分のためだけでなく、お会いする方への「ギフト」でもあると私は考えています。

暑い夏にわざわざきちんとした装いをするのは、相手への敬意の表れです。銀座で着物姿の女性を見かけることがありますが、絶対に暑いはずなのに、それでも美しい装いをされているのは、お客様や相手のためなのです。

スタイリングのコツ

スリーピースの活用法

意外かもしれませんが、夏にはスリーピースのスーツもおすすめです。ジャケットを脱いでベストスタイルになった時、ベストは袖がなく、背中部分は主にキュプラなどの滑りの良い素材が使われているため、かなり涼しく感じられます。

ジャケットを手に持ち、ベストとパンツのスタイルでも十分様になりますので、夏のビジネススタイルとして検討してみてください。

インナーシャツの工夫

シャツをリネン素材にするのも効果的です。リネンシャツは汗の発散性に優れ、思った以上に涼しく感じられます。白やブルーを中心に揃えれば、カジュアル使いにも対応できます。

スーツのインナーとしてリネンシャツに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、夏の暑さを考えれば十分に価値のある選択だと思います。

色選びとコーディネートのポイント

夏におすすめのカラーパレット

夏のスーツ選びでは、色選びも重要な要素です。特にリネンスーツを検討される場合、最初から派手な色を選ぶ必要はありません。定番のネイビーのリネンスーツから始めることをおすすめします。

より挑戦的なスタイルを求める方には、映画に出てくるような洗練されたアイビーリーガー風のオフホワイトなどもおすすめです。ハットなどの小物と合わせることで、より一層スタイリッシュな印象を演出できます。

ベストの種類による違い

先ほどスリーピースについてお話ししましたが、実はベストには2つのタイプが存在します。

  1. 背中部分がキュプラ素材のベスト: 一般的なタイプで、滑りを良くするための実用的な仕様
  2. 背中部分も表地と同じ生地のベスト: より高級感があり、ベストスタイルで常に仕事をする職業の方向け

後者は、例えばバーテンダーなど、常に背中を見せる職業の方々が使用していたという歴史もあります。私も表地と同じ生地の背中を持つベストを所有していますが、ジャケットを脱いだ時の見栄えが非常に良く、夏のスタイリングアクセントとしておすすめです。

気候の違いを理解する重要性

日本の夏の特殊性について、少し触れておきたいと思います。イギリス本国では、薄い生地でスーツを作ることに対して否定的な意見もあります。しかし、これは気候の違いを考慮していない意見だと私は考えています。

私のスタッフには札幌出身の者もいますが、札幌と東京でさえ大きな気温差があり、桜の咲く時期も異なります。同じ日本国内でも、沖縄と札幌では全く異なる気候条件です。

ましてや、さらに緯度の高いロンドンと日本では、気候条件が根本的に違います。だからこそ、日本の夏には日本の夏に適したスーツ選びが必要なのです。イギリスの薄手でありながら縦糸・横糸ともにしっかりと打ち込まれた生地は、日本の夏のスーツ選びにおいて理想的な選択肢の一つといえるでしょう。

ファッションに込める想い

最後に、私がファッションに対して持っている想いをお話しさせてください。

ファッションとは、自分自身を楽しませるものでもありますが、それ以上に、お会いする方への「ギフト」だと私は考えています。暑い夏にわざわざきちんとした装いをするのは、相手への敬意と配慮の表れなのです。

美術館で美しい作品を見ると心が豊かになるように、人と会う際も、相手に不快な思いをさせないどころか、「素敵な格好をしてきてくれた」と思っていただけるような装いを心がけたいものです。

一期一会という言葉がありますが、その日お会いする方との出会いは、もしかすると人生で一度きりかもしれません。そんな貴重な時間に、どのようなスタイルで現れ、どのような印象を与えるかは、とても大切なことだと思います。

まとめ

夏のスーツ選びは、素材の理解から始まります。目付けの軽い生地、強撚糸、モヘアブレンド、フレスコ生地など、様々な選択肢があります。また、スタイリングの工夫や色選び、小物使いによっても快適さと印象は大きく変わります。

技術的な知識も大切ですが、それ以上に重要なのは、なぜスーツを着るのかという想いです。自分のライフスタイルと相手への配慮のバランスを取りながら、暑い夏でもきちんとした装いで相手に敬意を示すことは、ビジネスパーソンとしての基本的なマナーだと考えています。

皆さんも、今回ご紹介したポイントを参考に、この夏を快適に、そしてスタイリッシュに乗り切ってください。そして、ご自身なりの夏スーツスタイルを見つけていただければと思います。

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2025年7月2日
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