スニーカーはイギリスでは通じない?ファッション用語の面白さ
松はじめです。
スニーカーという言葉は、イギリスでは通じないことをご存知でしたか?
プリンソールといいます。
日本ではズックと呼んでいた時代もありますよね(古い?)
今日は、ファッションの言葉の根っこについてのコラムです。
スニーカーにスーツを合わせる。
スポーツミックススタイルはここ数年のトレンドだ。
ところで、スニーカーという言葉をイギリスで言っても通じないことはご存知だろうか?
スニーカーはアメリカ英語
私の服飾史の師匠 出石尚三先生によれば、1895年 アメリカのスタンダードディクショナリーという辞書にスニーカーと記されているそうだ。
結構古い言葉だ。
もともとスニークという、忍び歩く、みたいな言葉にE・Rを付けた。
スニークは、こそどろとか、探偵とか、忍び歩く人という意味だったようだ。
1978年生まれの私は、子供の頃スニーカーらしき内履きを、ズックと呼んでいた。
昔、コットン・キャンバスを織るメーカーがあって、生地にアヒルのマークを付けたそうだ。
アヒルだから、ダック。
ダックという言葉があった。
ダックなんだけど、日本人はズックと呼んだらしい。
イギリスではスニーカーを何というか?
イギリスでスニーカーは何ていうんだろう?
プリンソールス(plinsoll)だ。
結論をいうと、船体が水に浮かんだ時の、水面ぎわの線みたいだから、プリンソール。
1876年、プリンソールマークが採用される。
当時、船の事故が多かった。
よく沈んだのと、海難保険に入って、オーナーが意図的に船を沈めてしまうというダークな話もあったのだとか。
そこで、喫水線(きっすいせん)という、船に横線を一本入れた。
荷物を詰みすぎて、そのラインが見えなくなってはダメ、という基準であった。
この喫水線が、スニーカーのキャンバスとソールの線に見えるというのだ。
ファッション用語には時代とともに変わる言葉もある
普段何気なく履いているスニーカーだが、アヒル(ダック)マークからズックになったり、喫水線に似ているからプリンソールになったり。
洋服の言葉って面白いなと思う。
言葉といえば、時代とともに変わってきている言葉もある。
ジーパンとは最近は言わない。
ジーンズでもなく、デニムと呼ぶ。
それに背広という言葉も聞かなくなったと思う。スーツでしょう。
根っこの考えが違うから面白い
そんなわけで、洋服の名前は面白い。
歴史と文化があるし、国によっても名前が違い、時代とともに変化していくこともある。
でも、一番大切なことは、どうしてその言葉なのか?という背景ではないだろうか?
私たちがサスペンダーと呼んでいるものは、日本では吊りバンドと呼ぶ人がいる。
でも、イギリスではブレイシーズだ。
サスペンダーは、ソックスサスペンダーという下着とソックスを固定するものがあるのだ。
だから、あまりにも下着っぽい名前に聞こえるのだと。
サスペンダーと、昼間から堂々と口に出来る感覚がよくわからない、そんな感じだろう。
アメリカ人からしたら、挟むといことで、サスペンド。何が恥ずかしいの?サスペンダー、という感じだろう。
同じファッションアイテムでも国が変われば言葉も変わる。
でも、そこには根っこの考えの違いがあるのだ。
だからファッションは面白い。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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