8年生のコート

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
ひんやりとした風が吹く11月、いよいよ下旬ということで冬の到来を感じるここ数日。
仕立て上がったスーツ、シャツをまといフィッティングルームから出ていらしたクライアントの皆様のほっこりした顔が好きだ。それから、この季節コートやハットを着用した紳士が訪れる。アシスタントがロングコートをお預かりし、クロークにかけ、並んでいるコートを見る、これも好きな瞬間だ。
そうして、あぁ、この方はこの肉厚で無骨なコートの下に、パリッとした三つ揃えか!とはっとするのであった。
そんなコートまっさかりだが、着ていることを忘れさせる軽いのでカシミア100%のダブルのコートは、黒に見えるのだがダークネイビー。
当時のパタンナー曰く、ブリオーニを意識したダブルの段返り。パッドを抜いたシャツ袖で、カフは筒袖。胸元はバルカポケット。松さんならこのくらいの丈でしょう、と言われたままに仕立てたところ、非常に使いやすい着丈に仕上がった。
好みはもう少し長めだけれど、これはこれで良いバランスだなと今考えても思う。

チェスターフィールドコート、ピーコート、アルスター、バルマカーン、ポロコート、ダブルチェスターフィールドコートなど、コートは好きで毎年仕立てていて、去年で私のコートは9着になった。
10着目となるコートを、今年はヒザ下丈で少しオーバーサイズのバルマカーンコートを誂える予定である。
クローゼットのほとんどを私が占領する形になっているけど、理解ある妻と現時点では紛争には発展していないのでこのまま穏便に事を進めようと思う。

ドーメルのアイスのスリーピーススーツにこのカシミアコートを合わせ、さらにアニオナのストールで防寒したところ、まったく寒さは感じない。これだけ着込んでも重さも感じないのがカシミア素材の良いところで、ウールコートだとこうはいかない。あの重さも嫌いではないけれど。
実はこのコートは2009年に誂えた8年生になるコートで、ちょうどこのコートを着た年に結婚をしたのだった。
そこでちょうど婚姻届を提出しに区役所に行ったのもこのコートだ、ということをふと今思い出した!

こちらは同じコートなのだが、実はオフの日に着てみた。
公園に出かけるのにカシミアか、、、という感じだが、軽いので肩掛けコートにちょうど良いのもカシミアコート。さすが子供は走り回って薄着でもへっちゃらだというから、せめて一緒に肩かけしようか。と言ったところ、このスタイルがすっかりお気に入りとなったらしい。
彼(息子)には私のコートに触れてもらい、これはカシミア100だ、と伝える。
ジャケットやコートを羽織ると、必ず触れてもらい、素材はウールとカシミアだ、とか英才教育(?)している我が家。アウターの違い、例えばピーコートとか、ブルゾンとか、そういうことを伝え、次にチャッカブーツについて伝える。
彼(コート)は私がまだ現在の妻と入籍していない時に誕生し、こうして子供に恵まれて、8年の月日を超えて今もなおこうして一緒にいる。先日は労を労い入念にケアを行ったので、まだまだ共に過ごすことができそうだ。

まだ3年生の大峽製鞄のザ・ダレス。サンタクローチェのレザーは、ほぼ乾拭きのみ。
こうして、靴、カバン、そしてコートもスーツも良いものは長持ちするので、銀婚式もこのコートかな。
そういえば結婚のご挨拶にお伺いしたときもこのコート?
ネイビーの素材の良いコートは何かときちんとした場面で使えるということだ。
そして、一生モノは早めに手に入れると、、たくさん着られる。
そして本当に大切なこと、それは、味が出る。
新品の服よりも、自分自身に馴染んだ、手入れを重ねた服。
仕事で一緒に闘って、ケアして。
エイジングされたブライドルレザーのバッグのように、何年も楽しめる。
ということで、良いコートも背伸びして若いうちから揃えておこうか。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年11月20日
ライフスタイル | 編集長の日々
タグ:コート, ドーメル, バッグ
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