世界を魅了する尾州の生地ブランド 織物工場!葛利毛織に潜入
皆さん、こんにちは。松はじめです。今回は特別な場所からお届けします。なんと、織物の聖地として知られる一宮の葛利毛織さんにお邪魔させていただきました。ここは現在でも日本国内で数少ない、伝統的な織本として残っている非常に貴重な工場なのです。
90年前の織機が今も現役で活躍

葛利毛織さんの最大の特徴は、約90年前から使われている「低速織機」にあります。現在の織物業界では、効率を重視した高速織機が主流となっていますが、こちらでは今もなおゆっくりゆっくりと織る低速織機を使って生地作りを続けています。
実は、デザイナーさんからの依頼を受けて生地を織ったり、海外からもご要望があるという話を何度か耳にしていたのですが、実際に映像として記録するのは今回が初めて。職人さんたちのこだわりと技術の奥深さを、皆さんと一緒に体験していきたいと思います。
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一宮の織物文化の象徴

工場は一宮の北側に位置し、のこぎり屋根の特徴的な建物です。北側からの自然光を取り入れて織るという、伝統的な手法が今でも活かされています。建物の中に入ると、まさに歴史を感じる空気が流れていました。
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低速織機がもたらすメリット
職人さんにお話を伺うと、低速織機の素晴らしさについて熱く語ってくださいました。
「糸自体に負担をかけないような動きになっていきますので、糸自体の膨らみや、また空気も一緒に織り込んでいくことで、弾力性のある風合い豊かな生地になっていくんです」
確かに効率は高速織機に劣るものの、天然素材の良さを最大限に引き出すには、このゆっくりとした織り方が最適だということで、今も変わらずこの製法を守り続けているのだそうです。
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縦糸準備の緻密な作業工程
工場見学では、まず縦糸の準備工程を拝見させていただきました。大きなドラムからメーターを測りながら巻き直していく作業は、すべて手作業。テンションコントロールが非常に重要で、どの程度の張り具合で何本の糸を載せるかが、仕上がりの品質を大きく左右するのだそうです。
驚いたのは糸の本数です。300本集まってもまだわずかな幅にしかなりません。実際に皆さんが着用されているスーツの生地幅(約155センチ)を作るには、なんと平均6,000本もの縦糸が必要とのこと。この300本の工程を20回繰り返して、ようやく縦糸がすべて揃うという気の遠くなるような作業です。
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職人技の真髄「綜絖通し」
特に印象的だったのが「綜絖(そうこう)通し」という工程。針金の真ん中に開いた小さな穴に、1本ずつ糸を手作業で通していく作業です。専用の道具を使いながら、糸を引っ掛けて通していく様子は、まさに職人技の真髄でした。
「これを6,000回ですか?」と驚く私に、職人さんは「3本ずつ手で拾って、隙間に入れていくんです」と、実に手慣れた様子で作業を続けてくださいました。この工程だけでも丸一日かかるというから驚きです。
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技術習得には一生涯

「作業自体は1年あればできるようになりますが、そこから先は何十年、50年経っても奥が深い世界です」という職人さんの言葉が印象的でした。単純に見える作業の中に、無数のノウハウと経験が蓄積されているのです。
この言葉を聞いて、現代のファストファッション全盛の時代に、このような職人魂を持った方々が存在することの尊さを改めて実感しました。一つ一つの工程に込められた職人さんの想いと技術は、まさに日本のものづくり精神の象徴と言えるでしょう。
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精密な品質管理システム
工場見学の中で特に感動したのが、品質管理への徹底したこだわりです。「ドロッパー」と呼ばれる金属の板を縦糸1本につき1枚ずつ取り付け、糸が切れると板が落ちて機械が自動的に停止するシステムには驚かされました。
このシステムにより、糸が切れた瞬間に作業を中断し、職人さんが手作業で糸を結んで補修してから再び織りを開始します。一見すると非効率に見えるかもしれませんが、この丁寧さこそが高品質な生地を生み出す秘訣なのです。
また、横糸を通すための「杼(ひ)」という道具の動きも見事でした。4つずつある箱を上下させ、何番目から糸を打ち出して何番目で受け取るかというプログラムが精密に設定されています。この複雑な動きが、美しい織り柄を生み出していくのです。
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原材料への深いこだわり
取材中に見せていただいた羊毛の原料にも、深いこだわりがありました。刈り取られたばかりの羊毛は、まだ縮れていたり汚れが付着していたりします。これを丁寧に洗浄し、撚りをかけていく工程を経て、ようやく織りに適した糸へと変化していくのです。
「これが織本ですね」と職人さんが見せてくださった糸は、本当に良い香りがしました。化学的な処理を最小限に抑え、天然素材の持つ本来の特性を活かした糸作りへのこだわりを感じることができました。
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現代に生きる伝統の価値
文字を入れる場合の特殊な工程では、50センチ程度でアルファベット一文字を織り込むという繊細な技術も披露していただきました。このような装飾的な要素も、すべて手作業と熟練の技によって実現されているのです。
糸が切れた際の自動停止システムなど、長年の改良を重ねながらも、基本的な製法は90年前から変わっていません。効率最優先の現代において、このような伝統的な製法を守り続けることの意義を深く感じました。
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世界が注目する日本の織物技術

実際に、海外のデザイナーからも高い評価を受けているという話を伺い、日本の伝統的な織物技術が世界的に認められていることに誇りを感じました。大量生産では決して表現できない風合いや質感は、まさに職人の手によってのみ生み出されるものです。
このような技術と品質が評価されることで、伝統的な製法を維持していくことの意味が改めて確認できました。単なる懐古趣味ではなく、現代においても通用する価値を持った技術として、次世代に継承していく責任を感じます。
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まとめ:ものづくりの本質を見つめ直して
工場で響く織機の音は、なんとも心地よいリズムでした。何事も効率化が求められる現代ですが、このようにゆっくりと丁寧に作られた生地で仕立てられた服は、きっと特別な思いを込めて大切に着ることができるでしょう。
今回の訪問を通じて、ものづくりの本質について改めて考えさせられました。速さや効率だけでは測れない価値がそこにはあります。職人さんたちの手から生まれる生地には、機械的な大量生産では決して表現できない温かみと深みがありました。
また、このような伝統的な技術を維持していくことの困難さも実感しました。効率性や経済性を重視する現代社会において、時間をかけて丁寧に作り上げる製法を続けていくには、相当な覚悟と信念が必要です。それでも葛利毛織さんが90年間この製法を守り続けてこられたのは、単なるビジネスを超えた使命感があるからだと思います。
私たち消費者も、このような価値を理解し、支えていく責任があるのではないでしょうか。安さや手軽さだけでなく、作り手の想いや技術に対してもっと敬意を払い、長く愛用できるものを選ぶ眼を養っていきたいと思います。
このような文化と技術が次世代にも受け継がれていくことを心から願っています。そして、今後も日本各地に残る素晴らしい職人技を皆さんにご紹介していきたいと考えています。
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読者の皆様へのメッセージ

皆さんはこの織物工場の取材を通じて、どのようなことを感じられたでしょうか。もしかすると、普段着ている服に対する見方が少し変わったかもしれません。
ファッションは単なる消費財ではなく、作り手の技術と想いが込められた文化的な産物でもあります。今回の取材で改めて感じたのは、私たちが日常的に身につけているものの背後には、想像以上に多くの人々の努力と技術があるということです。
一緒に日本のファッション文化の奥深さを探求していきましょう。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2025年9月24日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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