プロが選ぶ大人の男性におすすめの香水5選
こんにちは、香水スタイリストの松はじめです。普段から個人の方への香水スタイリングや企業の香り作りなど、香りに関する様々な仕事に携わっています。今回は特に30代、40代、50代の大人の男性におすすめしたい香水を、厳選してベスト5としてご紹介します。
年間約2000種類もの新しい香水が発売されるという香りの世界。その中から、特に香水になじみがない方にもおすすめできる、使いやすくて印象に残る5つの香水をセレクトしました。
香水選びの重要性とアイデンティティ
香りは視覚や聴覚以上に、記憶に強く定着するという特徴があります。私たちが何かの香りを嗅いだとき、それに関連する記憶が鮮明によみがえることがあるのはそのためです。
自分だけの香りを持つということは、自分のアイデンティティを確立する重要な要素になります。「あの人が来たな」と香りだけで存在感を示すことができるのです。特にビジネスシーンでは、適切な香りが印象を大きく左右することもあります。
それでは、プロの視点から選んだ、大人の男性におすすめの香水5選を見ていきましょう。
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第5位:エルメスのマンダリン・アンバー
第5位に選んだのは「エルメスのマンダリン・アンバー」です。
この香水のメインはマンダリンオレンジの香りです。柑橘系の香りは多くの方に受け入れられやすいのですが、柑橘だけですとやや子供っぽく感じられることもあります。
しかし、マンダリン・アンバーの特徴は、その名の通りアンバー(琥珀)の香りがブレンドされていること。夕焼けを思わせるようなオレンジ色の温かみのある印象が加わり、単なる柑橘の香りではなく、大人の雰囲気を演出してくれます。
柑橘系の爽やかさと温かみのあるアンバーのコントラストが絶妙で、「柑橘系だけど、なにか気になる」と思わせる奥行きのある香りです。香水初心者の方にも取り入れやすい一品です。
第4位:ペンハリガンの12%
続いて第4位は「ペンハリガンの12%」です。
この香水は少し癖があるのですが、特にお酒好きの方に試していただきたい一品です。名前に含まれる「ジュニパー」はジンの香り付けに使われるジュニパーベリーを指しており、これをテーマにした香りとなっています。
つけた直後は、アロマティックでスパイシーな印象と、エッジの効いた切れのある香りが特徴です。この最初の印象が苦手な方もいらっしゃるのですが、時間が経つと少しソフトになり、パウダリーで革のような印象に変化していきます。
最初は少し寄り付きがたい印象があるけれど、話してみたら実は魅力的だった…そんな人のような香りと言えるでしょう。最初の印象と時間が経った後の印象のコントラストを楽しむことができる、ちょっと大人の遊び心を感じさせる香水です。
第3位:フロイスのナンバーAT
第3位は「フロイスのナンバーAT」です。
クラシカルなオーデコロンのような印象のこの香水は、トップノートにベルガモットやハーブ系のすっきりした香りが特徴です。しかし、その香りは比較的早く消えていくという特性があります。
一般的に香水は長持ちするものが良いとされることが多いのですが、このさっと消える特性が逆に身だしなみとして使いやすいポイントになっています。
朝一番に、自分のために使いたいときに浴びるようにつけていただくと、出会った瞬間だけ香りが感じられて、その後はさりげなく消えていくという使い方ができます。5〜6プッシュほど多めにつけても、すぐに適度な香りに落ち着くので、香水の付け方に自信がない方でも使いやすいでしょう。
休日に自分自身を楽しむため、リフレッシュのために使うのもおすすめです。これまでの2つとはまた違った魅力を持つ香水です。
第2位:パレルモのウッドペッカー
いよいよ第2位は「パレルモのウッドペッカー」です。
非常にシンプルな香りで、鉛筆の木の香りを思わせるドライな印象が特徴です。この乾いた木の香りが最初から最後まで長持ちするのが魅力で、トップノートにはシトラスが入ってすっきりとした印象から始まり、そこからウッディな香りへと美しく変化していきます。
ウッディな香りには大人の安心感があり、ホッとするようなニュアンスが持続します。スーツでキッチリ決めたいけれど、香水の付け直しをするのが面倒という方に特におすすめです。香りの持続時間が長いため、香水初心者の方や付け直しの習慣がない方でも一日中快適に使用できます。
カチッとし過ぎず、かといってラフ過ぎないという絶妙なバランスの香りで、ビジネスシーンから休日まで幅広く活躍する一本と言えるでしょう。
第1位:ラリックのアンクルノワール
そして堂々の第1位は「ラリックのアンクルノワール」です。
この香水の主な構成要素はシダーウッドとベチバーという二つの香りです。シダーウッドだけだとやや乾いた印象、あっさりした印象になりがちですが、そこにベチバー(アメリカの植物の根)が加わることで、独特の湿ったウッディさと、少し焦げたようなクッキーのような香りが生まれます。
ドライな木の香りだけでなく、ミステリアスな雰囲気や落ち着いた男性らしさを演出できるのが特徴です。ベチバーは初めて嗅ぐと少し苦手意識を持たれる方もいますが、この組み合わせにすることで香水初心者の方でも馴染みやすい印象になります。
私が香水初心者の方に最もおすすめする一本であり、自分の「影」となる香りとして持つのにふさわしい、大人の男性にぴったりの香水です。
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香りが記憶に残る理由
香りはすべての感覚の中で、最も記憶に定着すると言われています。私たちが特定の香りを嗅いだとき、その香りに関連する場所や人、感情が瞬時によみがえるのは、嗅覚と記憶を司る脳の部位が密接に関連しているからです。
だからこそ、自分だけの香りを持つことは、他者の記憶に残るための効果的な方法でもあります。あなたが部屋を出た後も、その香りはしばらく空間に残り、あなたの存在を主張し続けるのです。
ビジネスの場でのプレゼンテーションや商談、あるいはプライベートな場でのデートなど、重要な場面で適切な香りを身にまとうことは、あなたの印象を大きく変える可能性を秘めています。
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これからの日本の香水文化
日本では長らく「香水はきつすぎる」「場に迷惑をかける」といった文化的な背景から、香水をつける習慣が欧米ほど一般的ではありませんでした。しかし、近年は状況が変わりつつあります。
香水をつける男性が増え、日本における香水市場の規模も拡大の一途をたどっています。これからさらに多くの方が自分に合った香りを見つけ、楽しむようになるでしょう。
香水は単なるおしゃれアイテムではなく、自分を表現する手段、コミュニケーションツールとしての側面も持っています。香りには言葉では表現しきれない微妙なニュアンスや感情を伝える力があります。
この記事で紹介した5つの香水は、香水の世界に踏み出す第一歩として、あるいは既に香水を楽しんでいる方の新たな選択肢として、ぜひ試していただきたいものばかりです。
自分だけの「シグネチャーフレグランス」を見つけて、より魅力的な大人の男性を目指してみませんか?
香水スタイリストの松はじめでした。個人向けの香水スタイリングや企業の香り作りなど、香りに関するご相談も承っております。香りの世界をもっと楽しみたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2025年5月14日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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