秋冬スーツも着々と
2着目のオーダーとなるS様。
今回は秋冬用のスーツをご所望とのことで、グレーのチョーク・ストライプ生地にてスリーピースのオーダーを頂戴しました。
英国ホーランド&シェリー社の、カシミアがブレンドされた極上のフランネル。
フランネルに付いては、以前こちらのブログで詳しく解説しました。
こちらの生地は、クラシック・ウーレン・フランネルというコレクションの中からお選びいただいております。
ウーレン、つまり”紡毛”ということ。
梳毛のように整えられたものではなく、どことなく粗っぽい質感と温かみがありますが、
見た目に反して非常に柔らかさも兼ね備えています。
なぜかというと、カシミアをブレンドしているから。
カシミア=いうまでもなく、冬素材の王様です。
ウールに比べて繊維が細く、柔らかく、そしてヌメリのある独特な光沢感は、唯一無二の魅力があります。
配合は95%がウール、5%がカシミアです。
このわずか5%が大きな違いとなり、紡毛でありながらも驚くほどしなやかで軽い着心地のスーツとなります。
そして暖かさも増し、スリーピースとなればその恩恵を最大限に受けることができます。
お色味は、絶妙な渋みが感じられるチャコールグレー。
秋冬の1着として揃えておくと重宝するチョークストライプとの相性は抜群です。
“チョーク・ストライプ(Chalk Stripe)”
名前の由来は、黒板にチョークで引いた線、あるいは生地の上にテーラーズ・チョークで引いた線
ということで、少しぼーっとしたはっきりしない線を言う。
その、ぼーっとした線を表現するのに最も適した素材がフランネルであるが、粗びた霜降り感をいかに
良い雰囲気で表現するかが素材メーカーの腕の見せ所と言える。
メンズ・ウェア素材の基礎知識[毛織物編](大西基之先生 著)より抜粋
2着目のオーダーではありますが、1着目を超えるさらなる完成度を求めて仮縫いもおこないます。
身長も高く、20年体形をキープされているという抜群のスタイルをもつS様ではございますが、
左右非対称で若干の怒り方、背中のツキ皺などスーツへの悩みは解消されず。
ご縁があり当店にご来店いただき、2着目のオーダーとなれば、もう完成度は間違いありません。
この仮縫いからは少々修正を加えますが、必ずご納得いただけるスーツとなるでしょう。
靴も一目でしっかりとお手入れされていることが伺えます。
このスーツとも非常に合うコーディネートですね。
シャツもひとつの型をもっており、スーツとの相性も確かめます。
素敵なロンドン・ストライプのシャツですね。
例えばこのようなストライプ×ストライプのコーディネートの場合、
ストライプの幅が違うものを選ぶのがおすすめです。
幅広ストライプのスーツに、細かなストライプのシャツ。
上級者向けのコーディネートですが、S様はどのようなネクタイを合わせられるのでしょうか、、、。
極端な細さではなく、お身体に合った自然な細さのスラックス。
私も個人的にはこのくらいが一番好みです。
ハーフ~ワンクッション程度の股下の長さ、仮縫い後は裾はダブルで仕上げさせていただきます
2着目ですので、ジャケットのサイズ感に大きな変化はありません。
極めてベーシックなデザイン。
素材、仕立てに拘れば、デザインはシンプルが一番です。
シングルの襟付きベストは、きっとこのスーツを格上げしてくれるような貫禄をもたらすでしょう。
完成までもう間もなく。
仕上がりましたらまたブログでご紹介させていただきます。
今から本当に楽しみです!
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2020年10月7日
スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様
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