ボットーネのスーツへのこだわり
「着る機会が少ないなら、スーツなんてどうでもいい」という方と、
「一着はいい物を持ち、長く着たい」という方。
コロナ禍においてスーツという存在は、また違った意味を持つようになりそうです。
誰もがなんとなく着ていた服を、”なんとなく”なら着る必要がなくなっていくと思います。
着ることが楽しい服
こんな時代だからこそ、スーツはより特別な存在になるのではないでしょうか。
単なる仕事服、作業服のようなユニホームとしての価値観から、
オーダースーツそのものが一般的になってきたこともあり、
今ではライフスタイルに沿った「着ることが楽しい服」として少しずつ変わってきていると思います。
当サロンにご来店いただくお客様も、
「これまでは既成服を買っていたけど、良い物を長く着たいと思いまして・・・。」
と、これまでと違う価値観を持ってオーダーしてくださいます。
(そもそもオーダーでスーツをお仕立てするのであれば、初めからユニホーム感覚でいる方は少ないと思いますが)
・自分がどんな姿であるべきか
・相手にどのような印象を与えたいか
・どのようなシーンで着用するのか
ただそこのハンガーに掛けてあるスーツを選ぶのではなく、コンセプトから生地・素材、デザイン、シルエットなど
あらゆる角度から深く追求し、さらには2ヶ月以上もの時間を掛けて作っていく。
仕立てていくストーリーも含め、これほど大きな意味を持つ服はそう多くはないのではないでしょうか。
このような感覚は既製服では得ることができません。
イタリアブランドをはじめ、美しいスーツは既製服でもたくさんあると思いますが、
それだけではない魅力がオーダースーツには含まれているのです。
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良い服(スーツ)とは?
では、良い服(スーツ)とはなんなのでしょう?
コンセプトがよければ良いスーツになるのかというと、決してそうではありませんよね。
では、素材が良ければいいのでしょうか?
着やすければ良いのか、かっこよければいいのか、、、
結局どれも重要だと思いますが、総合的にみる必要がありそうです。
スーツを仕立てるということは、ある意味個性の表現だと思います。
当サロンの例を挙げると、
年齢を重ねるにつれ色柄やフィット感を微調整しながら何年もお仕立ていただいているお客様もいれば、
ミッドナイトブルーのスーツだけをずっと何年もお仕立ていただいているお客様もいらっしゃいます。
お仕立てするスーツは両極端ではありますが、どちらも「自分がどういう人間であるか」を表現している特別なスーツです。
自分らしいスーツというと、個性的な柄であったり何か特殊なデザインであったりと思われがちですが、
お立ち場や人柄を滲ませたようなスーツであることが何より大切だと思っています。
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着て着やすく、見て美しい
加えて、「着て着やすく、見て美しい服」であることが良いスーツの鉄則です。
この「着て着やすく、見て美しい」は、私たちの素材の師匠である大西基之先生が教えてくれた、
良い服とは何か?に対する応えです。
スーツのクオリティがものを言う、大切な2つ観点。
着やすさ=着心地は、着ている本人にしか分かりません。
外から見ている人間が、その服が着やすいかどうかなんて分かるはずがありませんよね。
極端に言えば、タイトフィットを着やすいと感じる人もいれば、ゆとりのあるルーズフィットを着やすいと感じる人もいます。
この辺りは、対話をしながら仕立てていくるオーダースーツとの親和性は非常に高いといえますが、
ただオーダーすれば理想のフィット感を得られるのかというと、決してそうではありません。
仕立てる側がどのくらい汲み取ることができるのか、ということも重要なひとつの要素なのです。
美しさは着ている本人だけでなく、見ている人の視点も加わってきます。
生地が良ければいいのではなく、補正が効いていればいいという訳でもありません。
着ている人の体型をさらに良く見せ総合的にみて美しいと言えることが大切であり、
その為にもコンシェルジュは常にあらゆる知識を探求し、フィッティングの技術も日々向上に努めています。
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クオリティの追及
ものづくりという観点においてもクオリティに妥協はありません。
いくら生地がよくても、仕立てが良くなければ、見かけ倒しに過ぎない中途半端なスーツになってしまうでしょう。
ジャケットは肩で着ると言いますが、肩周りは着心地に直結する非常に重要な部分であり、
適正な肩幅であることは大前提として、肩先から衿に向かってなだらかに上昇する美しいシルエットを追及しています。
芯地にこだわり、熟練の職人によるアイロン操作技術がなければこの美しさは表現できません。
コンパクトなアームホールは、腕の動かしやすさだけでなく細く綺麗な腕のラインを構築します。
アームホールと繋がる肩先は、前肩に作られていることが大切です。
ジャケットはバストに適度なボリュームを持たせる必要がありますが、これにより着心地が重くなっていけませんので、
軽量な副資材を用いて美しい曲線美を出します。
ゲージというサイズサンプルを基準に、どこを削って、どこを足して、どのような補正加えるのか、
フィッターとしては腕の見せ所でもあります。
このうちどれが掛けても美しい服にはなりません。
こうして拘って仕立てられたスーツは、しっかりケアをしていただければ5年10年と着続けることができる
あなたにとって、何より特別な一着となります。
私達がどのような気持ちでお客様の大切なオーダーを承り、そして拘りを持ってお仕立てさせていただいていることが
少しでも伝わればと思い、この記事を書きました。
これからも、お客様ひとりひとりを輝かせる為に生まれる「あなただけのスーツ」を丁寧に作り続けていきたいと思います。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2020年10月3日
ファッションアイテム | オーダースーツ
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