カジュアル化の中で輝くスーツスタイル│合物スーツの選び方と現代におけるスーツの真価
働き方改革、リモートワーク、カジュアルフライデーの浸透。
現代のビジネス環境は急速にカジュアル化が進み、「今、本当にスーツは必要なのか?」という問いを多くの方が抱いているのではないでしょうか。
しかし、私たちボットーネでは確信を持って言えます。
真にエレガントなスーツは、カジュアル化が進む時代だからこそ、その価値が際立つのです。
今回は、技術的な生地選びの観点から、現代におけるスーツの意義、そしてオーダースーツの真の価値まで、包括的にお話しさせていただきます。
スーツを選ぶときの基準:お客様との対話から始まる価値創造

ボットーネでは打ち合わせの際に、着用するシーンやどのくらいの頻度を想定しているのか、様々な角度からヒアリングをさせていただきます。
お客様の中で最初から「この生地メーカーの、このシリーズの生地がいい!」とイメージがあればそれを基準にご提案させていただきますが、ボットーネにお越しいただくお客様のほとんどが生地のことは詳しくない状態です。
もちろんそれが当たり前ですし、固定観念がない状態でお越しいただいた方が、お客様にとって本当に価値のあるご提案ができる場合も多いのです。
ですから、最初からイメージを固めすぎずに「なんとなく、ネイビー系がいいな」といった程度で十分だったりします。
そして何より重要なのは用途です。どんなシーンで着用することを想定しているのか。
実用的な面に目を向けるなら「着用頻度」もとても重要で、中でも『夏に着るかどうか』というのは生地のクオリティを大きく変える要素になってきます。
オールシーズンの真実:3シーズンという現実的な選択

本当に春も夏も秋も冬も快適に着れる魔法のような生地があれば別ですが、20度以上気温差がある中で同じ服を着れるはずがありません。そのため、オールシーズンといっても夏か冬のどちらかは捨てなければいけません。
つまり、実際にはオールシーズン向けの生地というのは存在せず、夏か冬のどちらかを除いた3シーズン着用を「オールシーズン」と解釈しています。
ここ数年はどちらかというと冬を除いた「春・夏・秋」のスリーシーズン生地が多く、夏でも着れるようにかなり薄手の生地が使われていました。
セレクトショップや量販店のスーツを見ても同様で、オールシーズン=かなり薄手の生地、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
なぜ『秋・冬・春』の3シーズンがおすすめなのか

でもよく考えてみるとおかしいと思いませんか?
どちらかを捨てるなら、夏だと思うのです。
夏にはスーツをあまり着ない方も多いでしょうし、冬に薄手の生地のスーツを着ている人を見ると寒々しい感じがしてしまいます。
寒い時は重ね着したり、コートを羽織ればある程度は対処できますから、スーツ自体は薄手の生地でできたものでも問題ないのかもしれませんね。
私達ボットーネがおすすめするのは断然『秋・冬・春』の3シーズンで着用できるような質感の生地です。
その方が生地の耐久性も上げられるので長持ちしますし、シワにもなりにくい生地がたくさん選べますから、着用している時も綺麗な状態を保ちやすくなります。
このように書くと薄手の生地が好きじゃないだけでは?と思われるかもしれませんが、あくまでも『長い期間着用したいのであれば』という前提でのお話です。
どう考えても、そちらの方がメリットが多いのです。
実例:フロンティア生地で実現する理想的な3シーズンスーツ

写真のスーツは、昨年ご納品させていただいたものですが、英国ハリソンズ社のフロンティアというコレクションからお選びいただきました。
先程挙げた要素を満たしており、加えてナチュラルなストレッチ性があるので、快適な着心地を補助してくれます(ストレッチ生地ということではありません)。
爽やかな、ややグレートーンのネイビーですのでブルーグレーと表現しても良い色かもしれません。
遠目には無地に見える程度のチェック柄が入っています。




デザインはトム・フォード風にお仕立てさせていただきました。
ワイドなピークドラペルに、大きめのチェンジポケット、袖の5つボタンなど、お客様のお好きな要素を取り入れております。
長いお付き合いになるお客様ですが、昔から鍛えられたお身体をキープしておられ、このような迫力のあるスーツが本当にお似合いです。
お職場ではあまりスーツなど服装に気を遣う人はいないそうですが、「僕は、ちゃんとしたいので」と。
ボットーネのお客様はこのような価値観の方が非常に多く、改めて素敵なお客様に囲まれているなあと感じました。
カジュアル化の中で輝くスーツスタイルの真価
「今、スーツは必要なのか?」という問いに対する答え

働き方の多様化が進む現代において、この問いは多くのビジネスパーソンが抱く疑問です。
リモートワーク、カジュアルフライデー、スタートアップ企業の文化。確かにスーツを着用する機会は以前と比べて減少しているかもしれません。
しかし、リモートワークを推奨していた企業が急に方向転換し、出社を義務付けるような流れも生まれてきています。
これはこれで、リモートワーク前提で生活をされていた方にとっては大きな問題になるのは当然のことです。
コロナのような強制的な「何か」を境に大きな変化があった場合、大抵の事象は原点に戻ってきてしまいます。
リモートワークが今後無くなることはないと思いますが、「やっぱり出社しないとな・・・」と考える人が増えるのも当然のこと。
行き過ぎたトレンドは、必ず戻ってくるのです。
周りがカジュアルな装いをする中で、品格のあるスーツを着こなす人は、より一層際立ちます。
それは単なる見た目の問題ではなく、その人の価値観、プロフェッショナル意識、そして自分自身への敬意の表れなのです。
だからこそスーツの価値は高まっているとも言えるのです。
スーツが持つ無形の価値

スーツには数値では測れない価値があります。
信頼感の構築 – 初対面の相手に対して、まず視覚的な信頼感を与えることができます。
特に重要な商談、プレゼンテーション、お客様との初回面談など、第一印象が結果を左右する場面において、適切なスーツは強力な武器となります。
自信の醸成 – よく仕立てられたスーツを身に纏うと、自然と背筋が伸び、歩き方が変わります。
これは心理学的にも証明されている「enclothed cognition(服装認知)」の効果です。適切な服装は、着用者の行動や思考にポジティブな影響を与えます。
プロフェッショナリズムの体現 –
「僕は、ちゃんとしたいので」というお客様の言葉が示すように、スーツは着用者のプロフェッショナル意識の表れです。それは周囲に対するメッセージであり、同時に自分自身へのコミットメントでもあります。
カジュアル化時代におけるスーツの戦略的価値
現代のビジネス環境において、スーツは単なる「服装規定」ではなく、戦略的なツールとして機能します。
多くの人がカジュアルな装いをする中で、品格のあるスーツを着こなすことで、相手に与える印象は格段に向上します。
これは差別化戦略そのものです。
また、グローバル化が進む現代において、国際的なビジネスの場では依然としてスーツが標準です。
海外のビジネスパートナーとの会合、国際会議、海外出張などでは、適切なスーツを着用することが、プロフェッショナルとして最低限のマナーとなります。
オーダースーツが持つ圧倒的な優位性

既製品では実現できない価値
市場にはスーツが溢れています。しかし、本当にその人に最適化されたスーツはどれほどあるでしょうか。
完璧なフィット感 – 人の体型は千差万別です。
肩幅、胸囲、ウエスト、ヒップ、腕の長さ、脚の長さ。これらすべての寸法が一致する既製品を見つけることは、事実上不可能に近いと言えます。オーダースーツでは、お客様一人ひとりの体型に合わせて、ミリ単位での調整が可能です。
個性の表現 – ラペルの幅、ボタンの数、ポケットのデザイン、裏地の色。
これらの細部にお客様の個性を反映させることで、世界に一つだけのスーツが完成します。
それは着用者のアイデンティティの一部となり、自信につながります。
長期的な関係性 – オーダースーツは単発の商品購入ではありません。
お客様との長期的な関係の中で、体型の変化、好みの変化、ライフステージの変化に合わせて、継続的に最適なスーツをご提案していく関係性です。
モノ以外の「コト」
ボットーネでは、単に寸法を測ってスーツを作るだけではありません。
お客様との対話を通じて、その方のライフスタイル、価値観、目標を理解し、それを形にしていきます。
素材への深い理解 –
先ほどご紹介したフロンティアのような生地選びも、表面的な特徴だけでなく、実際に着用した際の感触、耐久性、シーズンを通じての快適性など、多角的に検証してご提案しています。
メーカーが出している解説だけで販売しているお店も多いようですが、「スラックスにおすすめ?これが?」と思うこともしばしば。
私たちは自分の審美眼を持ってしっかり良さを伝えていきたいと考えています。
未来を見据えたスーツ選び

持続可能性という視点
現代社会において、持続可能性は避けて通れないテーマです。
ファストファッションが環境に与える影響が問題視される中、長く愛用できる質の高いスーツを選ぶことは、環境への配慮でもあります。
オーダースーツは、お客様の体型に完璧にフィットし、高品質な素材を使用し、熟練した職人の手で丁寧に仕立てられるため、10年、20年と長期間着用することが可能です。
これは結果的に、衣類の廃棄量削減につながります。
投資としてのスーツ
スーツを消費財ではなく投資として捉える視点も重要です。
質の高いオーダースーツは初期投資は大きいかもしれませんが、長期間着用できることを考慮すれば、コストパフォーマンスは非常に優秀です。
さらに、適切なメンテナンスを行えば、エイジングによる風合いの変化も楽しめます。
革製品と同様に、時間をかけて育てていく楽しさがあります。
まとめ:スーツという選択が持つ意味
「今、スーツは必要なのか?」という問いに対する私たちの答えは明確です。
必要以上に、価値があります。
カジュアル化が進む時代だからこそ、品格のあるスーツを身に纏うことの価値は高まっています。
それは単なるファッションではなく、その人の価値観、プロフェッショナル意識、そして人生に対する姿勢の表れなのです。
そして、そのようなスーツを求めるのであれば、既製品では限界があります。
お客様一人ひとりの体型、好み、ライフスタイルに合わせてカスタマイズされたオーダースーツこそが、真の価値を提供できるのです。
「僕は、ちゃんとしたいので」
この言葉に込められた思いを、私たちは一着一着のスーツに込めて、お客様と共に歩んでいきたいと思います。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2025年9月19日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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