ダッフルコートのダッフルとはどういう意味?

写真は、銀座ファッションアカデミアで入手した、ダッフルコートに身を包むジャンコクトー。
前回ダッフルコート=学生コートではない、ということで、時代を遡っていった。
前回の記事 ↓
ダッフルコートは元はといえば、イギリス軍の将校 モントゴメリーが漁師から貰って、それを着ていたところから海軍などに広がっていったと読み取れる。
時は第二次世界大戦、イギリス・フランス・アメリカなどの連合軍と、ドイツ・イタリアなどとの攻防戦は北アフリカの砂漠でも行われたのだが、夜は氷点下になる砂漠独特の気候から、分厚いダッフルコートは重宝したに違いない。
前回は1902年の小説に、ダッフルコートが登場したことまでお伝えした。
さて、いよいよ今回はなぜダッフルというのか?についての意味を暴いてみたい。
ダッフルという言葉がいかに厚手であったか、というふうに考えていただいてもいいのではないかと思います。
やはりダッフル、ずいぶんと昔からあるのだった。
グレイトコートとは何だろうか。
グレイトコート(great coat)というのは、普通はオーバーコート、トップコートというのだが、さらにグレイトコートがあった。
これは、大外套といい、本当に防寒を目的とした分厚い生地のコートで、絶対寒くない。
防寒を目的としてさらに上に重ねるのだ。
1684年のニュージャージーアーカイブという記録によると、彼は現地民に4着のダッフルコートを与えた。
英語としてのダッフルコートは、1694年にはじまります。
ダッフルという言葉は1677年の、ロバートというひとの、オックスフォード社の自然に出てくるんだけど、そこにはコートとはでてこない。1684年にはダッフルコート(と表記されている)。
なんと、300年以上前にダッフルコートという表記がある。軍服として採用されたのはそのずっと後のことなのだ。

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さて、前回お伝えした歴史のなかで、イギリスの将校モントゴメリーはある漁師からダッフルコートを貰った。
もともとダッフルコートは漁師が着ていたのだった。
それでは、まずはどこで着られていたのか。
どうやら、北欧の北海の漁師が着ていたのだ。

北欧の海上労働者、漁師さんが、寒い海で何を着たんだろう。
おそらく、お金をだせばダッブルの布地は買える。
自分で縫ったんじゃ?形は機能的だけど、自分で作れなくもない。
漁師だったら浮きと漁網、ボタンは関係ないんです。浮きをロープで縛ればいい。
1600年頃に、北欧の漁師が手作りで見様見真似で作った。
実際作ってみると機能的である。
北の寒い海、かじかんだ手で、ボタンを着脱しないといけない。
うまく手が動かないような状態で留めたり外したり。これがトグルボタンの特徴ではないか。
北欧の凍えるような海の上、漁師たちはダッフルを着た。
思いの外機能的だったのだ。
どうやらこの北欧がキーワードになっているのがダッフルの意味に迫る上ではっきりしてきた。
それはベルギーの、ある村。
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人口1600名のスモールタウン。
・・・
ベルギーのデュフェルという村は、生地を織っていた村だ。
どうしてこのような村が織元になったのだろうか。
実は、中世ヨーロッパのアントワープは、西ヨーロッパ最大の貿易国だったのだ。

ご覧のようにフランス、オランダ、ドイツと隣接し、イギリスもほど近い。
川が発達していて船が行き来する。ヨーロッパと盛んに貿易していて、それで栄えたのだ。

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当時アフリカの方から胡椒が入ってきて、ここから集散していったといわれています。
あるいはベルギービールで有名ですね。
もう一つ忘れてならないことは、英国から羊の原毛が入ってきたんです。
英国では現在のように柔らかく細い糸にするのに向いているメリノ種という羊ではなくて、英国羊毛という、例えば絨毯のウールに適しているマウンテンという種類とか、数多くの英国の羊がいる。
その原毛がイギリスからアントワープに入ってきた。
当時の貿易というと、日本が中国との貿易で金とシルクを引き換えたように、物々交換がメインだったろう。
原毛を仕入れるかわりに、何かそれを加工して付加価値の高い製品にして、輸出するのはどうだろう。
だったら、単純な服地ではなくて、ちょっとこだわった生地、それは何だろう。

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糸量を増やし、縮絨して縮絨して。
ツイードもフランネルもいっしょです。
スコットランドではあざみを使いました。
縮絨した生地の表面をこすりますと当然毛羽がたつんですね。
原毛をふんだんに使う。
それを湯通しして縮ませて、また湯通しして。フランネルという生地はご存知だろうか。こうして綾目が見えないくらいにして。分厚いそのウールを、さらにこすって毛羽立たせた。
そして、ここからがポイントなのだが、デュフェルのそれはさらにそれを丸める。
なんと、これがダッフルコートの生地。
他にない、独特の、生地。
つまり、ダッフルとは地名:デュフェルの英語読みだ。
英国から原毛を輸入して、特殊な紡毛織物に仕上げて輸出する。

ダッフルの生地はサロンになかったが、カセンティーノという毛羽だったウール生地があった。
(※写真はダッフルではないのでご注意を)
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Duffle coat
duffelこういうつづりがないわけではないのですが。
duffelという生地でつくられたコートなんですよ、ということなんです。
ダッフルというのはあくまでも生地の名前なんです。
紡毛で織って、毛羽をたてて、ミルドっていいますね。その毛羽の先を丸めたんです。

ということで、原毛はデュフェルで生地になった。
余談だが、こうして原毛を送っていた英国はある時にふと気づいた。
あれ?せっかく羊毛が豊富なのに、輸出して製品買いして・・・自分の国で織ったら良いじゃないか!
こうしてある時、ウール輸入禁止令が出る。
もちろん困ったのはデュフェルの人々だ。
もっといえば、この辺りは実は織物産業が盛んだった。
フランスの北の端あたりから、デュフェルなどのベルギーのあるこの地域は、フランドル地方と呼ばれる。
フランドルを英語にすると、フランダースの犬で有名なフランダースとなるのだけれど。
フランドルの人全体が困ってしまい、中には英国に移住する者も出てきたのだった。

絵画は、ピーテル・ブリューゲルの謝肉祭と四旬節の喧嘩 (1559)
美術の世界では非常に有名で、怪奇的な絵を描いた人です。
当時のことですから、宗教的に言えない、、わかるひとにはわかってねと。
これらの画家を、フランドル派。
ピーテルブリューゲルは、ボスの影響を受けたフランドル派。
この頃にすでに、この絵が描かれただいたい1550年代、輸出されていたかは別として、フランドルの地方のなかでは(ダッフルは)織られて、使われていたのではないだろうか。
もしかしたらこの絵画のなかのグレイトコートの中に、ダッフルコートもあるのかもしれない。
さて、とにかく仕事がなくなってしまったフランドルの人々。
英国に移住した者もいたわけで、その人間は織り方を英国で広めた。
そこでヨークシャーという英国の織り元の産地が生まれるのだ。
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1660年代に、デュフェルが英国に伝わって、ダッフル(duffel)になったであろう。
(フランス語表記のダッフル:)duffelは現地語に近いであろう。

フランスのモード誌。
duffle(英語表記のダッフル)ではなく、フランス表記ではduffelとなっていることにお気づきだろうか。
デュフェルには、ダッフルと呼ばれるようになった、風を通さない強靭で荒っぽい、布地があった。
それはイギリスから入った英国羊毛を紡績して、出来上がった生地。
ダッフルの布地を買った漁師、そして奥様方は見様見真似でダッフルコートを作ったに違いない。
北海の海の上の凍える寒風。
漁をしていると、時々襲ってくる。
すると打ち合いを左に。
反対から風が来たら、逆に。
トグルボタンとは実によくできている。
自分たちの周囲にある、浮きとロープを使っただけで、かじかんだ手でも対応できる。
そして重ね着が可能な、あまりの寒さに色々な服を重ねた、その一番上にダッフルコート。
アームが深く、セーターを重ね、ダッフルを羽織る。

さらにバケットフード。
これは帽子を被った上からでもフードを被せられる。
同時に、ほとんど型紙もいらないという、なんとも上出来なコートがダッフルコートだった。
ダッフル、それは小さな村の名前であり、それは分厚い生地であった。
ということで、これからダッフルコートを見直してみようか。
さて、明日は何着よう?
ダッフルコートの歴史 前編はこちら
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年10月10日
ファッションアイテム | オーダーコート
タグ:服飾史, コート, 生地
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