アパレル企業に入社希望者に送る 嶋田修行するってよ
4月から新社会人、または来年の卒業に向けて、企業説明会に参加する方も少なくないと思う。
服やファッションが好きな方なら、アパレル企業への面接や会社訪問を考えている人も少なくないのではないだろうか?
アパレルは甘くはない。
華やかな世界に見えて非常に泥臭い。しかし、これほど楽しい職はない。
今日はそんな服好き、ボットーネの嶋田がひょうんなことから修行することになった経緯と、驚きの内容をお伝えし、これからアパレル業界を考えている方への参考になれば良いなと思って書いてみる。
このシリーズでは、アパレル企業で通る面接術、も書こうと思っているので、ぜひまた次回もチェックしてほしい。
まずは、お世話になっていて、大尊敬するナチュラルクリーンというクリーニング工房の、代表の中田さんに会いたくて、コンタクトをとったことにはじまった。
一度嶋田とはナチュラルクリーン見学に行ったのだが、その際にお叱りを受けたのだ。
嶋田を連れてナチュラルクリーンに行ったとき、ズバッと見抜かれた。
まず注意されたのは挨拶だ。
それから、上着がよれている!ということ。
靴の脱ぎ方もそう。
さらに、話し方、姿勢、もう色々。
それで嶋田は泣いてしまった、そんなこと言ってくれる人ってなかなかいない。
中田代表の お話の中で、一番心に残った言葉がある。
「学生は”教育”だが、社会人は”学習”でなきゃいかん」
つまりは、いつまでも、教えられる・課題を与えられるといった「待ちの姿勢」ではなく、
自ら問題意識・責任感をもち自主的に学ぶ姿勢をもっていないと人間として伸びていかないということだそして何度も、何度も、人間は基礎がなってないとダメだと教えら
れた。
仕事でもスポーツでも武道でも、なんでもそうだという。
挨拶、報・連・相、掃除、根性、忍耐、責任感、、、他にもたくさんあるが、それらがしっかりとした土台となりその上に知識や技術が乗ってくればいい。
そうなれば人間はどんどん伸びていくし、何をやっても大丈夫なのだ。
しっかり自分を律し、礼儀正しく、もう一度ナチュラルクリーンに行くぞ!
いつしかそんな話が社内で当たり前になったし、
きちんとした社会人であろう、アパレルだからファッションがわかっていれば良いというものではない。
特にオーダーはそうだ。
年齢も、地位も、経験も、すべてにおいてお客様より劣っている、若ければそう思って間違いないし、
そういう気持ちで貪欲に勉強していかないといけない。
38歳の私も時々セレクトショップに行くと、
え???と絶句してしまうような店員が残念ながら少なからずいる。
領収書がわからない。
上から目線。
とにかくおすすめ、という。
などなど、ご経験がある方もいるだろう。小さいお店の中だけで、ちょっと売れているからって調子に乗っている若造がいるのだ、この業界は。そうではいけない、いつだって謙虚にいないと。
そんなわけで、もう一度ナチュラルクリーンにお伺いするアポイントをとった嶋田。
そうしたら、ご好意でプレス研修に来なさい!と中田代表におっしゃっていただいた。
目が輝き出す嶋田。
しかし、、こちらの記事がそのときの様子だが、朝4時集合だそうだ。
テーラー 修行の旅 クルーのナチュラルクリーン修行が決定した
とにかく曲がったことが嫌いな、勉強熱心なクルーが、名門クリーニング工房へ。
プレス研修、いや研修というよりも修行は、はじまった。
運動不足の嶋田(私もだ)には堪えた朝空手。
仕事の基本を思い知った、雑巾掛け。
何もかも違っている、仕事に対する姿勢、気配り、情熱、謙虚さ、素直さ。
この記事がその様子だ。
昨日の修行期はこちら。
テーラーのプレス修行 ナチュラルクリーン クリーニング工房
及川さんや鈴木さんにマンツーマンでついていただき、スラックス、ジャケット、 シャツとプレスについて教えて頂きました。物をみただけで、着ている人の癖や特徴、縮みや、汚れなどを一瞬で見抜く プロフェッショナルにただただ驚くばかりでしたが、同時にいつか私もこうなりたい。 お客様のことをもっと知りたい。喜んで頂きたい。と強く思いました。
あっという間に研修が終わり、時計を見ると時刻は16時15分。 昨日のこの時間にここまでの充実感を感じながら行動できただろうか、意識を強く持ちながら仕事をこなせていただろうか。
なんと、その後の中田代表のブログで、こんな言葉が載っていたのだ。
昨日はボットーネの松代表と嶋田くんから感謝のお礼の電話がありました。
そうかぁ、嶋田くんは24歳かあ。。
私が24歳の時というと今から36年前ですかぁ・・、
生涯学習推進で我武者羅でした、当時は。
25歳に結婚しましたが、生き方はそれ以降も
まったく変わってない。
そして続く。
嶋田くんに伝えておきいことは、
まず三年間は休みなんて考えずに人間力・技術力・サービス力
を身に付けるために貪欲に学習すること。水木が休みらしいから、
三月からは水木は毎週うちに来てベテランのそばで
プレスの実地に入りなさい。
とうことで、気にかけてくださって、プロの技をしっかりと学べばせていただけることになった。
ボットーネにもアイロンを入れ、クライアントの服をその場でプレスできる環境を整えよう、と話が進んだ。
嶋田はもともと3度の飯より服が好き、
もちろん自身のシャツにアイロンを独学でかけていた。
願っても無いチャンスが、急に舞い込んできた。
ただし、実費で千葉へ行き、これから3年休みなしだ。
現代は閉塞的で、失われた20年などと言われたり、マイナス成長などというマイナス?成長?意味不明な用語が飛び交う。
物を手にいれる喜びではなく、精神性を追求する時代になったと思うし、
ゆとり世代の次に、悟ってないのに悟り世代、なんて言葉も流行った。
ブレグジットに、ドナルドトランプ、
不安要素だっていっぱいだ。
だが、そんな外的な要因ばっかり考えてどうなる?
せっかく生まれてきたのだ。
誰でもない、自分自身の人生、特に20代は何かに全力で打ち込んだ方が良い。
休みの多い会社とか、給料の多い会社とか、そういうのは一旦置いておかないと、すぐに人口知能AIや、自動マーケティングシステム・MAが主流になって、仕事がなくなってしまい、特殊な能力があるとか、そういう人でないと使い者にならなくなる。
新しいSNSはこれからも出続けるだろうし、AIももっと進化する。
それを柔軟に受け入れて、使いこなす側に回らないと機械に使われる。
嶋田の修行は極端かもしれないが、彼は3年後どうなっているだろうか?
採寸、フィッティングの技術や洋服の提案力、企画力は手に職だ。
そして紛れもなくプレスは手に職だ。
まして3年間、厳しい環境で自分を律し、鍛えたならどうなっているだろうか?
礼儀のある、本当のおもてなしやサービスが体に染み付いたら?
そう、若いときが勝負だ。
かくなる私も24歳のとき、自動車販売の営業をやっていた。
でもさらに何かチャンスを掴みたくて、朝の4時まで別の事業に取り組んだ。
とにかく資金を貯めようと、本業以外にフルコミッションの教材の販売をして、
あまりにも眠たくて起きれないことがあった。
それで私は本業の会社の駐車場に、朝4時に行って車中泊した。
睡眠時間は3時間。
それでも時間を有効に生かしたくて、
一番早く出社する課長の駐車場ポジションに勝手に車を停めた。
《どけ!松》
毎朝の強制目覚まし時計であった。
課長は毎朝カンカンになっていたが、呆れながらも私に仕事をくれた、
これ洗っとけ(新車)、と。
ストイックに、自分の人生、自分の役割を追求しよう。
未熟なうちは成長できる。
ゆるい、条件の良い会社も良いだろうが、嶋田のように厳しいながらも暖かい、愛のある環境に身をおけば、将来は保証されたようなもの。
人間、どれだけでも甘い方向にはいける。
基準値を高く、たゆまぬ努力をしないといけない。
あぁ、安心だなぁ。
そういう安全領域を抜け出すごとに、成長があるのだ。
居心地の良い〜現状に満足した瞬間、
あなたは気づかずに衰退する一方だ、心ではわかっているはず。
というわけで、こういう記事を書いているくらいに、
私はクルー嶋田から実に多くのことを学んでいる。
若いもんに負けてられん、というわけだ。
そんな嶋田修行はこれからも追っていきたいと思う。
ライター:その他クルー
2017年2月13日
嶋田
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