結婚式における男性の正装 – 品格ある装いの心得
紳士の品格を示す装いの本質
人生の節目において、我々が装いに込める想いは深いものです。
結婚式という神聖な場において、男性が身に纏うべき服装は、単なる衣服以上の意味を持ちます。
それは新郎新婦への敬意であり、場への敬意であり、そして自らの品格を示す表現でもあります。
オーダースーツを扱う私どもボットーネでは、長年にわたり紳士の装いをお手伝いしてまいりました。
特に40代から60代の男性の皆様にとって、結婚式の装いは日常のビジネススーツとは異なる、より格調高い装いが求められます。
今日は、結婚式という特別な場において、どのような装いが相応しいのか、そして何故その装いが必要なのかを、歴史的背景とともに詳しくご説明いたします。
これをお読みいただければ、結婚式の装いで迷われることはなくなるでしょう。
この記事の目次
結婚式における正装の基本原則
スーツの選び方と色彩の心得
結婚式においては、まず何よりもスーツが基本となります。
これは上下が揃った服装、すなわち「スーツ」が最も格式高い装いとされているからです。
色彩については、ネイビー、グレー、そしてに日本においては黒が王道とされています。
特に午後から夕方にかけての結婚式では、深いネイビーやチャコールグレーが品格を示します。
これらの色は、華やかな式場においても決して浮くことなく、かつ新郎新婦を引き立てる効果があります。
生地の選択も重要です。
過度に光沢のある生地は避け、上質でありながら控えめな質感のものを選びましょう。
特に年齢を重ねた紳士には、深みのある色合いと上品な質感が相応しいと考えます。
装いの歴史を知る意味
現代の結婚式の装いは、18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ貴族の日常着に由来しています。
彼らは朝、昼、夜と装いを変え、その都度相応しい服装を選んでいました。
現代の私たちが結婚式で特別な装いをするのは、この伝統を受け継いでいるのです。
つまり、結婚式の装いとは「今日はいつもと違う特別な日であり、この場を大切に思っている」という意思表示なのです。
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シャツとネクタイの選択
シャツの品格
結婚式では、必ず白いシャツを着用いたします。
これは絶対の原則です。
ビジネスシーンでは水色やストライプのシャツも一般的ですが、結婚式という正式な場では、白いシャツこそが最も格式高い選択なのです。
襟の形状については、あまり開きすぎず、閉じすぎない、程よい開きのレギュラーカラーが理想的です。
30代〜40代の年齢層でしたらセミワイドくらいの少し開きがあっても良いでしょう。
流行に左右されることなく、普遍的な美しさを持つデザインが理想です。
袖については、可能であればダブルカフスを選び、カフリンクスを着用することをお勧めします。
これは、シャツのボタンを見せることは本来好ましくないとされていた歴史的背景があるためです。
品格のある装いとは、こうした細部への配慮から生まれるものなのです。
ネクタイの選び方
ネクタイは必ず着用いたします。
色については、黒(喪服を連想させる)と白(国際的には結婚式には不適切)は避けるべきです。
推奨されるのは、深いネイビー、上品なシルバー、そして落ち着いたトーンのパープルやワインレッドです。
柄については、無地またはごく控えめなものを選びます。
ストライプ、特にレジメンタルタイは、本来所属を示すものであり、式典には相応しくありません。
素材は必ずシルクを選び、光沢は控えめなものを選択しましょう。
年齢を重ねた紳士には、深みのある色合いが特に良く映えます。
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靴と靴下の選択
靴の重要性
足元を見る、という言葉があるように、靴は装いの中でも特に重要な要素です。結婚式では、必ず黒い革靴を着用いたします。
これは絶対の原則で、茶色の靴は避けるべきです。
デザインについては、内羽根式のストレートチップまたはプレーントゥを選びます。
外羽根式やウィングチップなどの装飾的なデザインは、よりカジュアルな印象を与えるため、結婚式には相応しくありません。
素材は上質なカーフレザーを選び、しっかりと手入れされた状態で臨みましょう。
靴の状態は、その人の品格を物語るものです。
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靴下の選び方
靴下は、黒い靴に合わせて黒または濃紺を選びます。
そして重要なのは、座った際に素肌が見えないよう、ふくらはぎまでの長さがある「ロングホーズ」を着用することです。
これは、貴族の装いでは肌を見せることは品格に欠けるとされていた歴史に由来します。
現代においても、この配慮は紳士の品格を示す重要な要素なのです。
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小物と仕上げの心得
ポケットチーフの重要性
ポケットチーフは、結婚式の装いにおいて必須のアイテムです。
白いシルクまたはリネンのポケットチーフを、胸ポケットにさりげなく挿すことで、装い全体に品格と華やかさを添えます。
挿し方については、スリーピークスという三角に見える挿し方が、最も格式高いとされています。
ただし、あまりに派手に見せることは避け、あくまでも上品な印象を心がけましょう。
時計とカフリンクス
時計については、レザーベルトの薄型でエレガントなものを選びます。
金属ベルトのスポーツタイプは避けるべきです。
また、過度に複雑な機能を持つものや、あまりに大きなケースのものも結婚式には相応しくありません。
カフリンクスは、昼間の結婚式であれば白蝶貝やシルバーの控えめなもの、夜の結婚式であれば、より華やかなデザインのものを選ぶことができます。
これは、太陽光と室内照明、それぞれに美しく映えるアクセサリーを選ぶという、伝統的な考え方に基づいています。
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装いに込める心と意味
服装が語る敬意の表現
結婚式における装いは、新郎新婦、そしてその家族への敬意を示す重要な手段です。
「今日は特別な日として、いつもとは違う装いで参りました」という気持ちを、服装を通して表現するのです。
かつてのヨーロッパ貴族が、夜の食事のために燕尾服に着替えていたように、特別な場には特別な装いで臨むことが、真の紳士の心得なのです。
年齢に相応しい品格
40代から60代の男性にとって、結婚式の装いは若い世代とは異なる品格と重厚さが求められます。
派手さや流行を追うのではなく、長年培われた品格と知性を表現する装いこそが相応しいのです。
上質な素材を選び、丁寧に手入れされた服と靴を身に纏い、細部にまで配慮の行き届いた装いで臨むことで、真の大人の男性としての魅力を発揮できるのです。
結婚式の装いは、単なる服装選びではありません。
それは新郎新婦への祝福の気持ちを表現し、場への敬意を示し、そして自らの品格を伝える大切な手段なのです。
どうか、この機会に改めて装いの意味を考え、心を込めて準備をしていただければと思います。
きっと、その想いは新郎新婦にも、そして同席される皆様にも、きちんと伝わることでしょう。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2025年7月4日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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