【大人の必需品】ミッドナイトブルーのスーツ|フォーマルにもビジネスにも
この記事の目次
ミッドナイトブルーのスーツ
先日公開したYouTube動画で『ミッドナイトブルーのスーツは一着持っておくべきです!』とお伝えしました。
洋服屋であればお洒落なスーツやジャケットに目移りばかりしてしまいますが、いざという時にビシッと着れるスーツは必ず持っていなければなりません。
ボットーネのオーナー松も、大事な商談の際はミッドナイトブルーのスーツで気を引き締めます。
ところで、このミッドナイトブルーという色。
注文服を検討したことがある方なら、耳にされたことがあるかもしれませんが、実はある方の無謀な注文から生まれた色と言われています。
1920年ごろのお話しです。
ウィンザー公は、ある色を考えました。
考えた、というより作らせた、というのが正しいかもしれません。
あるパーティ会場でのこと。
当然のようにフォーマルウエアを身に纏っていますが、一歩パーティ会場に入ると・・・
「ん?」
自分自身の服の色が、黒に見えない。
いや、黒のはず。一体なぜなのだ?
どうも、羊羹のような赤みを帯びた茶というか・・・。
それは、当時の照明が関係していたといいます。
1920年代の照明と、当時の生地の染色方法もあったのでしょう。
綺麗な黒というよりは、ちょっと色がぼやけてしまうのです。
そこで考えました。
「よし、サヴィルロウ(英国の仕立て屋街)の仕立屋に、注文してみるか。」
注文、といってもさすがは洒落者の皇太子。
スケールが違いました。
「仕立屋よ、なあに私がパーティに着た時に、夜間照明の元で黒に見えるように、生地を染めてくれれば良いのだ!」
これには度肝を抜かれたことでしょう・・・。
こうして、『夜間照明の下で、黒よりも黒く見える色』が生まれました。
それは不思議なことに、太陽の光の下で見ると、ほんのりと青みを帯びて見える。
フォーマルな色ですので、当然タキシードのような礼装にも最適です。
これまでに何度もお立場のあるお客様に、パーティで着用するタキシードとしてお仕立てさせていただきました。
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大人なら一着持っておきたい
ということでミッドナイトブルー。
タキシードまでとはいかずとも、スーツとしては是非一着持っておいてほしい。
おそらく皆さんが持っているダークネイビーよりは暗いトーンで、でも礼服と並べて見てみるとブラックではないことが良く分かるような色です。
いつもお世話になっている経営者(会長職)のお客様から「あれ?私ミッドナイトブルーのスーツ持っていませんね。」とコメントをいただき、いつものオフィスに伺わせていただきました。
今回はダブルブレストのミッドナイトブルー・スーツです。
ミッドナイトブルーの生地にも色々ありますが、まず思い浮かぶのはミッドナイトブルーが誕生した英国の生地。
でも英国のフォーマル向けの生地は日本人にとってはハードすぎるものが多く、普段も着用することを考えるともう少し柔らかい印象の生地が適しています。
となるとイタリアの生地。
優しい風合いのミッドナイトブルーの生地があり、フォーマルシーンだけでなく、ビジネス用途としても非常に着やすいのです。
ダブルブレストのスーツとして極めてスタンダードなデザイン、そしてサイズ感です。
これまで数々のスーツ・ジャケットをお仕立てさせていただき、ご経験も豊富なお客様だからこそ、この『普通』のスーツが今必要だったのです。
人前に立つことも多く、腕を上げた時にもきれいに見えるように袖丈を設計しています。
足元はスエードのローファーでした(たまたまです)。
フォーマルなら内羽根のレースアップシューズで、少し崩しても大丈夫ならこうしたローダーなどは外しアイテムとして最適ですね。
ウエストはベルトループを省き、サイドアジャスターを取り付けました。
帯の太さも通常よりも太くし、ボタンを立てに2個並べる仕様に。
1プリーツで程よくゆとりを残した現代的なシルエットを構築したスラックスです。
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この日着ていらしたのは以前お仕立てさせていただいたコットンのダブルジャケット。
「コットンは上下別々で切れるのがいいよね。」と、もともとセットアップとしてお仕立てしたものですが、ジャケットだけでの着こなしにも対応可能。
これは普通のスーツにはできない、コットンやリネンなどの植物系の素材ならではの特徴ですね。
着用していただくなからエイジングが効いていて、以前よりも風格が増したように思います。
コットンは当たりが出てくるのもいいですよね。
今回はいわゆるグルカショーツもお仕立てさせていただきました。
ジャケット同じシリーズのコットンベージュと、鮮やかなブルーはイタリア製のリネン100%の生地です。
近年グルカショーツは人気があり、既製品でもよく見かけますが、最近のデザインはワイドシルエットの物が多く、大人が着るにはカジュアルすぎる印象になってしまいます。
そこをカバーすべく、適度にスッキリしたシルエットでお仕立て。
素材もミリタリーテイストだけでなく、リネンなどで自分の好みに合わせて選んでみると楽しいですよ。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2024年5月6日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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