ちょっと待った!結婚式の服装 昼と夜でアイテムを変えてみよう
いよいよ秋の結婚式シーズン、列席のご予定もあるのではないだろうか?
ところでこうした結婚式などの式典、カフリンクスや身につけるアイテムも時間によって変わるのをご存知だろうか?
そしてそれは一体なぜ?
実はそれほど難しくないので、今日はルールを解説してみたい。
結婚式に着るスーツ、例えばそれがネイビーの無地のスーツでも、時間によって小物を少し変えてみるととても素敵な印象に映るし、わかる人からはわかっているな!と一目置かれるはず。
その小物というのは、以下のようになる。
・ネクタイなど首元のアイテム:タイ
・袖を留めるアクセサリ:カフリンクス
もし午前や日中の式だったならば、アスコットタイも選択肢に入れてみてはどうだろう?
アスコットタイというのは、正式名称アスコットクラバッタという。
最近はアスコットタイというから、この記事ではアスコットタイと表記するけれども、このアスコットタイ、普通のタイとどう違うのか?というと、形状が違っている。
もともとは今、一般的にいわれるネクタイというのは、このアスコットタイが元なのだ。
アスコットタイは本来は日中のアイテム。
これは貴族の家の、ちょっとやんちゃな不良少年が、恰好良く遊びに行く時に締めたものだ。
遊ぶ場としては、アスコット競馬場に行くときだったので、アスコットクラバット(アスコットタイ)と呼ぶようになった。
当時としてはトレンディな、若者風のアイテムだった。
ぜひフォーマルな場では、カフリンクスをしてみてはどうだろう?
最近ではビジネスでも素敵なカフリンクスをしている方を見かけるけれども、実は結婚式などでこそカフリンクスを身につけるべきだったのだ。
なぜカフリンクスが必要なのだろうか?
それは、ボタンを見せたくなかったからなのだ。
現代はクールビズが一般的だから感覚が違うわけだけれど、シャツのことを下着と表現しないだろうか?
この考えは昔も一緒で、下着。
下着なんて見せたくなかったのだ。
まして下着のボタンをレディの前で晒すなんてNGも良いところ。
そんなエチケットから、袖はボタンではなくてカフリンクスで留めていたのだ。
さて、そんなカフリンクスだけれど、午前や日中の結婚式ならカフリンクスはパールや白蝶貝と決まっている。
もともとこのルールの根底にはこんな考えがある。
・日中は、自然光に映えるものを!
貴族がパーティーを楽しんだ時代であっても、日中にギラギラと宝石をつけることはなかった。
日中はパールなど、自然光に映えるアクセサリを選んだのだった。
現代でもモーニングコートやフロックコートに身につけるカフリンクスも日中用の白蝶貝やパールと決まっているのはそのため。
今度は夜の二次会に呼ばれた場合のカフリンクスだが、今度は違ったルールが存在する。
・夜は、照明に映えるものを!
その昔はルビーやエメラルドなど、宝石入りのカフリンクスをつけていた。
今ではそこまで高価なカフリンクスを見ることは少ないけれど、もちろん持っているアイテムで宝石入りカフリンクスがあればそれを付けても良いのが夜の結婚式や二次会だ。
とはいえ大変高価なカフリンクス、二次会でご縁あってご一緒したレディと迎えた朝、くれぐれも置き忘れには注意したいところ・・・。
と、話を戻すと、現代では夜はオニキスの鉱石のカフリンクスなどがタキシードの場合に用いるカフリンクスとなっている。だから比較的お手軽なのがオニキスのカフリンクスだ。
結婚式で着る服、フォーマル。
フォーマルというのは、19世紀の貴族が着ていた文化をモデルにしている。
当時の普通の日の服を、現代だとフォーマルな服だ!というのだ。
当時からあるルールがそのまま残っている場合もあるし、アレンジされている場合もある。
だけど大切なことは、意味あってルールがあるので、あくまでもルールを知っておくと楽しいしカッコイイということ。
サッカーもゴルフも野球も、ルールがあるから楽しいのであって、オフサイドもOK、手を使ってもOK、なんでもOKだと途端に面白くなくなってしまう。
カフリンクスでいえば、太陽の出ている時間と、日没後だと印象が違うから素材を変えるのだ。
ということで、突き詰めていくと結婚式で服を着るというと、
カッコイイ!これが着たいなぁ。
という着方も楽しい。
けれど本質的には、おめでとう!という気持ちをどうやって服で表すか?ということも大切だと思う。
そうでなければ、カフリンクスの素材は自分自身が楽しむものならば何でも良いことになってしまう。
貝のカフリンクスにするということは、見る人がどう感じるか?なのだ。
ちょっとしたアイテムに気を配るだけで、全体の印象が変わるので、ぜひお呼ばれの結婚式の服装で迷ったならば参考にしてみてほしい。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年9月28日
スーツの着こなし術 | TPO
タグ:スーツ, スーツ小物, ウェディング, ルール
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