オーダースーツのコンケープドショルダーとベストの衿と

パットが薄く、柔らかいテイストのスーツが世の中に溢れ、
近年は芯なしジャケット、シャツジャケットなどもすっかり当たり前になりました。
ボットーネのご提案する新時代のジャケット「リベラーレ」も、芯なしの軽い仕立てのジャケットです。
サロンでもパットは薄い方が良い、というご要望が本日だけで2案件。
そんな潮流に逆らうかのようなこのグレーのスーツ、英国テイストのベスト付きスリーピーススタイルです。
さらにこのベストには衿が付いておりまして、一層クラシックな雰囲気になっていると思います。
そして、ショルダーは・・・

肩の先端に向かい、なだらかに登っており、袖山も盛り上がっている、コンケープショルダー&ビルドアップ。
もともと傾斜している肩のラインをピッと上げているのです。
これがなかなか構築的な雰囲気になります。
ウエストは高めの位置でシェイプし、精悍な雰囲気に。
着るだけでピシッとした気持ちになる、そんなスーツです。
こうしたコンケープショルダー&ビルドアップのオーダーは、英国好きのお客様から時折オーダーいただきます。

対照的なのが、ナチュラルなショルダーライン。
芯なしの軽いジャケットには、マニカ・カミーチャという袖付けが多く、
構築的なショルダーラインと比較すると、これだけの差があります。
どちらが良い、ということではなく、スタイルの違い。
イタリアブランドを好まれる方にとっては、ナチュラルショルダー&マニカ・カミーチャはスタンダード。

左はナチュラルショルダー、右はコンケープドショルダー&ビルドアップ。
一目で違いが分かりますよね。
コンケープドショルダーは、こんもりと山のように袖が付けられています。
例えば同じ生地を使ってスーツを仕立てても、肩周りの表情が違うだけで全く別のオーラを放ちます。
自ずと全体のフォルムも微妙な差が生まれ、使用する芯地も変わり、同じ生地とは思えないほどの仕上がりに。
こうしたスタイルの違いを理解していると、オーダーがもっと楽しくなりますよ。

そしてベスト。
ベストには、もともとはこのように衿が付いていました。
なぜかというと、ジャケットを着用している場合はベストはインナーとして機能するのですが、
ジャケットを脱ぐとジャケットとしてのアウターの役割をするから。
もともと、スーツはラウンジコートという、くつろぐ服でした。
でも、上着を脱いで過ごすなんてもってのほか。
当時はそういうものでした。
なぜかというと、上下だけのスーツで上着を脱いでしまうと、シャツ=下着姿になってしまうからです。
昔の貴族はこれをとても恥ずかしいことで、エレガントではないと考えていて、
シャツから見えているボタンすら宝石で隠したほどでした。
(こうしたことがカフリンクスやフライフロントの仕様へと繋がっています)
個人的にはカーディガンなどでもショールカラーの衿が付いているデザインはとても優美で好きです。
ですから、自分自身で仕立てるのベストにはたいてい衿を付けています。

ベストには、そもそもたくさんのメリットがあります。
・威厳が出る
・ネクタイに立体感が出る
・ジャケット脱いでもカッコイイ
・暖かい
機能面も含めて、スキのないスタイルへと格上げしてくれるのがベストです。
襟付きであればなおさら。
ダブルブレストのベスト&襟付きの組み合わせは、近年多くのオーダーをいただくようになりました。
クラシックな雰囲気にぴったりです。

ベスト1枚でも様になるし、スーツの内側に着れば威厳が出ます。
ジャケットを脱いでベストスタイルで過ごしても涼しいし、寒い時の防寒にも役立つ。
ジャケットと別の色・柄・素材のベストを楽しむのも良い。
ちなみに、ベストはオーダーで仕立てる場合、一緒に仕立てる方が価格がお得である場合が多くなります。
一緒に仕立てた方が、生地が少なくて済む為です。
また、後で追加で仕立てようとした時に生地がない!ということもあるのでスリーピースでお仕立てした方が、
長い目でみてもきっと役に立つと思います。
そういう意味でも、ベストはいくつか持っておいて損はありません。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2020年11月22日
ファッションアイテム | オーダースーツ
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