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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

【NG】ベスト・スリーピーススーツのダサい着こなしと正しい着こなしをプロが徹底解説

 

 

皆さんこんにちは、松はじめです。メンズファッションTVをご覧いただき、ありがとうございます。

この番組では毎回、メンズファッションの楽しさやコーディネートのポイントをお伝えしていますが、今日は特に重要なテーマについてお話しします。それは「スリーピーススーツのベスト」について。意外と知らない正しい着こなし方や、やってはいけないNGポイントを詳しく解説していきます。

私は10年以上オーダーメイドのサロンを経営しており、数多くのスリーピーススーツを手がけてきました。私自身もベスト付きのスリーピーススーツが大好きで、その魅力と奥深さを日々感じています。

この記事の目次

 

ベストの基本的なボタンのルール

ジャケットのボタンは留めなくてOK

まず最初にお伝えしたいのは、スリーピーススーツを着る際の基本的なボタンのルールです。

ベストを着ている状態であれば、スーツのジャケットの前ボタンは留めなくても構いません。 むしろ、留めない方が美しいラインが出ると私は考えています。

なぜなら、ボタンを留めるとベスト部分の厚みでジャケットがタイトに窮屈そうになってしまうことがあるからです。シェイプの強めのジャケットであっても、ベストを着ていればボタンを留めなくても綺麗なシルエットが保てるのです。

ベストの一番下のボタンは外すのがマナー

次に重要なポイントが、ベストの一番下のボタンは留めないということです。これは国際的なルールとなっています。

例えば6個ボタンのベストなら、上の5個は留めて一番下の1個は外します。ジャケットでも同様で、2つボタンなら上のボタンだけを留め、下のボタンは外すのがマナーです。

この習慣の由来には諸説ありますが、一説によると英国の皇太子(後の国王エドワード7世)がお腹が出てきて一番下のボタンを外したところ、側近たちがそれを真似したことから始まったとされています。男性の服装には、このような歴史的背景から生まれたルールが数多く存在するのです。

サイズ感が最重要ポイント

パツパツは絶対NG

ベストで最も重要なのがサイズ感です。パツパツすぎるベストは見た目が美しくありません。

ベストは体に最も近い部分の衣服なので、仕立てる際も最も難しいアイテムの一つです。採寸値だけで作ってしまうと窮屈になりがちで、前面にシワが寄ったり、背中がハムのように膨らんでしまったりします。

特に結婚式などのフォーマルなシーンでは座ることも多いため、座った状態でもパツパツにならない適正なサイズ感を心がけてください。

ベストの縦の長さも重要

ベストの縦の長さも非常に重要な要素です。これはパンツの股上の深さと連動します。

ベルトのバックルが見えてしまうようでは美しくありません。 ベストの長さは、ベルトが隠れるような位置に調整するのが理想的です。股上の深いクラシックなパンツの方が、ベストとのバランスが取りやすくなります。

サスペンダーという選択肢

ベストスタイルには、ベルトよりもサスペンダーを強くおすすめします。

サスペンダーはベルトのようにかさばらず、ベストのシルエットを崩しません。また、パンツを肩から吊ることで美しいラインを作り出せます。「幼稚園以来」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は抜群のフォーマルアイテムなのです。

私が愛用しているのは、イギリスのアルバートサースト(Albert Thurston)というブランドのサスペンダーです。上質で機能的、そして何よりエレガントな仕上がりを実現してくれます。

シャツ選びの注意点

襟の飛び出しに注意

ベストを着用する際によく見かけるNGポイントが、シャツの襟がベストの上に飛び出してしまうことです。

これを防ぐには、襟の形状や高さに注意が必要です。セミスプレッドやワイドカラーなど、適度な開きがあってベストの中に収まりやすい襟を選ぶことをおすすめします。

ボタンダウンシャツとの組み合わせ

よく「ボタンダウンシャツにベストはNG」という情報を見かけますが、これは一概には言えません。

ボタンダウンシャツはアメリカの上流階級のアイテムとして発展した歴史があり、実際にスリーピーススーツと組み合わせられていました。特にカントリー調のスーツには、ボタンダウンシャツとベストの組み合わせが良く似合います。

ベストのバリエーション

形状の違い

ベストには様々な形状があります。5つボタン、6つボタンの直列タイプもあれば、ダブルブレストのベストもあります。それぞれに異なる魅力があり、用途や好みに応じて選択できます。

襟付きベストの魅力

襟付きのベストも非常におすすめです。実はベストの正式名称は「ウエストコート」といい、もともとはコートの一種でした。そのため襟があるのが本来の形で、より格式高い印象を与えてくれます。

私の持っているベストのほとんどに襟が付いており、ショールカラーの丸い襟やピークドラペルの尖った襟など、様々なバリエーションを楽しんでいます。

背中の仕様について

裏地使いが一般的

現在のベストの背中部分には、キュプラやポリエステル、シルクなどの滑りの良い裏地素材が使われることが多いです。これは着心地と実用性を重視した現代的な仕様です。

表地使いの意味

一方、背中も表地で作られたベストも存在します。これは主に職業としてベストスタイルで働く方(例えば貴族の屋敷でサービスを提供する方々)が、背中も見えることを考慮して作られていました。現在でもカジュアルなベストでは表地使いのものがあります。

ベストの調整機能

ベストの背中には「尾錠」と呼ばれる調整ベルトが付いています。これを使って最後のフィッティング調整を行い、理想的なシルエットを作り上げてください。この細かな調整が、ベストスタイルの完成度を大きく左右します。

スリーピーススーツの魅力

ベストがあることで得られるメリットは数多くあります:

  • 格式の高いフォーマルシーンで威厳が出る
  • 胸板にボリューム感を演出できる
  • ネクタイに立体感が生まれる
  • クールビズでも上着代わりになる

私のように胸板が薄い人間にとって、ベストは体型をカバーしてくれる頼もしい存在でもあります。

オーダーメイドのすすめ

スリーピーススーツをオーダーする際は、ベストを一緒に作ると割安になります。これは同じ生地を効率的に使えるためで、別々に作るよりもお得になることが多いのです。

また、スペアパンツも一緒に作ることで、スーツの寿命を2倍以上に延ばすことができます。長期的に考えると非常に経済的な選択となります。

ベストの楽しみ方

上級者の楽しみ方として、異なるスリーピースのベストを組み合わせるという方法があります。例えば、ネイビーのジャケットにゴールドのダブルベストを合わせるなど、様々な組み合わせを楽しむことができます。

ベストは単体でも魅力的ですし、他のアイテムとの組み合わせでさらに幅広い表現が可能になる、非常に奥深いアイテムなのです。

まとめ

今日はスリーピーススーツのベストについて、NGポイントを中心に詳しく解説させていただきました。正しい着こなしを身につけることで、ベストの魅力を最大限に引き出すことができます。

ベストがあるだけで、普通のスーツスタイルが格段にエレガントになります。フォーマルシーンはもちろん、ビジネスシーンでも威厳のある印象を演出できる素晴らしいアイテムです。

皆さんもぜひ、正しい知識を身につけてベストスタイルを楽しんでください。

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2025年8月23日
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