タキシードのシャツのプリーツ(ピンタック)の意味には男性の恥じらいが関係している

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
本日はこの、タキシードのシャツにつけられている、胸のプリーツについて解説してみたいと思う。
このプリーツ、ピンタックとも呼ばれるのだが、あるだけでとてもエレガントに見える。
エレガントに見えるからつけたのか。というと、男性の服はそんな簡単なものじゃあないのだ。
そもそも男性の服というものは理論理屈で成り立っている。
ここにはこういう意味があって、こんな経緯があって進化した、という背景がある。
つまり洋服が誕生した日からずっと今日までいろいろな物語があるわけで、私たちは物語を一緒に纏うというわけだから、深い。
ということで、このタキシードのシャツのプリーツは何なのだろうか?

クールビズという日本の夏の文化はすっかり定着したが、これはシャツで過ごすこともOK、それで電力消費を抑えようじゃないか。というエネルギー対策から生まれたものだと思うが、服屋の私は未だに好物にはならないようである。
なんだかシャツ1枚で歩いているのがダラシなく見えて、せめてニットでも巻けば良いのに。と思ってしまう。
また、ネクタイをしていない姿をみると、もったいなく見える。
唯一自分をアピールできる、ファッションポイントなのだけれど、と。
ただ、それは会社の中で1人だけ断固として上着を着ていたら変だろうし、今さら私がどうこういう話ではない。
ところで、どうしてそう思うのか?というのにはおそらく洋服をこよなく愛してきた人々のDNAがそうさせているのかわからないが、シャツは下着である、というゆるがない事実が存在していることが関係しているのだろう。
イタリーの人々がワイシャツの下にアンダーシャツを着ないのは、
《下着の下に下着は着ないでしょ》というわかりやすい意味だ。
もちろん日本の場合は気候の問題もあるけれど。

シャツが下着だ、ということは良いとして、感覚的には下着を見せるということが恥ずかしいこと。とされてきた時代がある。
現代でも下着で歩いてる!となれば通報されてしまうかもしれないのだが、ワイシャツは許容とされているのだが、19世紀のヨーロッパではそうはいかない。
とてもではないが、レディーの前で下着姿で食事をして、下着姿で踊るなんてできっこない!(貴族は)
召使いもいるため、次々と服は用意されており、シャツはプラスチックのように固くノリがきいていて、それがスタンダードだったのだった。
ちなみにもともとはフォーマルはダブルカフスではなくて、シングルカフスだった。
プラスチックのように固いシャツは、シングルカフスでもダブルカフス以上に固かったし、袖を折り曲げることなどできなかった。

さて、こうして下着を見せるなんてエレガントではない。とされてきて、失礼とまでされてきた当時。
下着についているボタンだって、下着ボタンだから恥ずかしい。
そんなわけで、見える位置についているボタンすら外してしまい、そこにはルビーやサファイヤなど宝石をつけて代用していたくらいだ。
これは下着のボタンではありません。一種のアクセサリーなのですよ!というわけである。
現代ではさすがにあなたが石油の利権でも所有しているとか、時期オリンピックの開催国の権限を持っている、というような立ち位置でない限りはルビーやサファイヤをつけないと思うのだが、ここにオニキスのスタッドボタンをつけるというのはそういうことなのだ。

ということで、何がなんでも下着を見せることはできない状況で、唯一見えてしまう部分がある。
それが胸元。
胸元からチラリと下着が・・
これはいけない!
なんとかならぬものか。
こうして誕生したのが、プリーツ。
プリーツは別素材であり、これは下着ではない別の物である!というくらいに徹底して下着を見せないようにしたのがタキシードのシャツのプリーツの正体なのだ。
現代ではそれが、とてもエレガントにうつるシャツのプリーツ。
実は羞恥心から生まれたデザインだったとはご存知だっただろうか。
何が恥ずかしいことか?というのは時代によって変わるもの。とりわけファッションにおいては、そういうことが顕著に現れる。
ということで、下着を見せたくない方は普段からプリーツ入りシャツを着てみようか。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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