ブラウンのオーダースーツと大峡製鞄でいざ出陣

昨日は、ここで仕立てたい、ウェブを見たときからもうここしかないと思い門を叩いた、という方が。
最近そういうご依頼が少なくない、ご紹介も以前より増えている体感がある。
今日は今期5度目の来店となるN氏の夏スーツの仕立て打ち合わせ、2PLYのコシのあるのが要望で、私もなんとなく夏を意識してカルロバルベラのブラウンのさらっとしたオーダースーツ。
シューズはビスポークで、バッグやタイも茶系で統一。

ブラウンはアースカラー。
大地の色だから、とても周囲に落ち着きや寛ぎを与える。
そのためスーツスタイルにおいてはカジュアルの色とされているから、外資系企業などではネイビーかグレーのみというのが常識であることも少なくない。
そういう意味でもブラウンのスーツは洒落て見えるのかもしれない。
オフではないがカジュアルな仕事着とか、気軽にレストランに行くという場面にも良いと思う。
以前冬に着るとおかしなスーツ?スーツ選びは織りに注意という生地で書いたのだが、このオーダースーツの織りはまさに冬に適さない夏向け、平織り。
冬に着るとおかしなスーツ?スーツ選びは織りに注意
スーツを選ぶということは、一緒に素材も選んでいるわけだ。
素材にはウールとか、モヘアとか、カシミアといった、どの動物の毛か?
紺かグレーかという色、無地かストライプかチェックかという柄などがある。
だが、忘れてはいけないのが、織り方なのだ。
通年向けというイメージのある綾織りの生地のスーツに比べて、さらっとしていて通気性が良い平織りのスーツ。
5月、そして6月と暑さは加速していくわけだが、スーツをあまり着ない職業であったとしても、夏であってもいざスーツを着る、という場面は訪れる可能性がある。
そんなときにさらっと羽織れるジャケットも良いし、夏向けのスーツがあると重宝するのだが、その素材は平織りがおすすめというわけだ。
これからは2PLYとか3PLYなどの素材のスーツは本当におすすめだ、シワになりにくいし、涼しい、しっかりしているという3S!
さて、今日はこのままそんなバルベラのオーダースーツを着てしれっと南青山でランチとシケこみたかったが、いくぞ!と気合いを入れていかねばならないところがある。
どんな困難にも立ち向かう覚悟もあるし、これまでも志をもってテーラーをやろう!とやってきた。
が、今日はおそらく壁にぶつかることは目に見えている。
しかしいくしかない!いざ出陣!

シャネル横を左折、まずはキャットストリートをひたすら渋谷方面に歩く。
曇り空の表参道だが人通りは少なくないし、何よりも欧米の方が目立つ。
今日はちょっと肌寒い、やや厚手のアウターが目立つな、などと考えながら、ちょっと憂鬱。

徒歩10分、キャットストリートを抜け、目的地はもうすぐ。
ガードをくぐって、ついた!
年金事務所!
あまりファッションにチャレンジせず、現状を維持しながらキチッと仕事をこなしそうなメガネをかけた女性と、茶色のツイードのジャケットを着て足を組む50代くらいの男性が座っている待合室で、ボタンを押して整理券を受け取る、93番とある。
こういった役所のような雰囲気が性に合わず、5分くらい滞在しただけで走り出したくなる。
待つこと15分、
《93番の番号札の方、2番の窓口までお越しください。》
と、意外にもすんなりと出番がまわってきた、いよいよ手続き開始だ。
しかし!な、なんだこれは・・・
予想通り複雑な書類の数々は洋服の設計書を初めて眺めた時のような、まったく難問だらけ。
SOSとモールス信号を打ち続けた私を、その職員の方はとても親切に教え助け導いてくださった。きっと同じような質問ばかりなのだ。
次にハローワークへ。
大峡製鞄のザ・ダレスから堂々と取り出した書類、しかし・・
なるほど、タイムカードを印刷してこなければならなかったのだ、うちは全部クラウド上にデータがあるから、CSVファイルにして、それを出力して・・・
結局は書類不足で大混雑の待合室を後にする。
《8時半から空いていますから、お早めにお越しください、この時期はとくに混雑していますから。》と書類を貰いバッグにいれると、数枚の書類なのにずっしりバッグが重くなった。
小さな会社は総務部がいないから何かと大変だ、と思うけど、大きな会社の中にいた時には気づくどころか知ろうとも思わなかったことが次々と出てくるものだ。
明日もハローワーク、その後採用面接、それからAテーラーA氏とミーティング、工房と打ち合わせ・・
早く洋服の仕事がしたい!
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年4月10日
明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術 | スーツ ジャケット スタイル
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