タキシードのシャツ　ピンタックやウイングカラー種類と意味

タキシードには色々なタイプのシャツがあります。
一体、正式にはどのようなシャツを装う必要があるのでしょう？
また、それらには全部理由があるのです。
経緯を知っておくと、応用もできますね。

タキシードを着る場合には、よくウイングカラーという衿のシャツが良いとされています。
ですが、レギュラーカラーで着用している例も見かけます。
一体どちらが正しいのでしょう？

そもそも、タキシードの以前は何を着ていたのか？というところを追う必要があります。
夜、パーティーをしたり、食事をする時に貴族は、燕尾服を着ました。
その燕尾服の時の衿は、ウイングカラーのシャツです。

ウイングカラーというのは、首が詰まっているようなタイプで、前側だけが折れたタイプの衿です。
ビジネスなどではあまり見かけないデザインです。
これは、できるだけ肌を露出したくなかった、エチケットとして。ということだったのです。

それで、首を取り囲むようにシャツが吸い付いていて、前だけ折れちゃった、というようなイメージです。
これを燕尾服の時に着ていました。

燕尾服で食事しましょう、という時は、非常に公式な場です。
それは現代でも同じなのですが、ではタキシードは？

今日は燕尾じゃあなくて良いわよ。
気軽な服で良いよ、気軽な会だから＝タキシードでお越しになって。
という意味なのです。

現代だとタキシードを着るだけで特別な日のように思いますよね？
肩肘張らず、気軽に。
そこで英国では、燕尾服ならウイングカラー、でも気軽なタキシードなら普通の衿、という文化があります。

１９３０年までは世界的に燕尾服を着ていましたが、
１９３１年からタキシードが主流になりました。

この辺りは切り替えの時です。

最初の段階ではタキシードに対して、ウイングカラーだ、と認識されていたようです。
それはやはりタキシードを着るからといって、気軽な場、というイメージではなかったのではないでしょうか。

ということで、ウイングカラーが正装としては雰囲気が出る、ということがいえます。
気軽な、英国的な、ということであればレギュラーカラーも良いでしょう。

英国で生地商社を経営する、CEOは、最近の若い人は英国でもウイングカラーだ、とおっしゃっていました。

画像はスモーキング・ジャケットといって、タキシードの原型です。
最初は燕尾服の上着だけ、ショールカラーのジャケットにしていました。
ですから、もとはウイングカラーというわけです。

胸にプリーツの入ったタキシード用シャツ

比翼のタキシード用シャツ

タキシードを着ている姿を見る時に、胸元にはプリーツが入っているタイプを見たことはありませんか？
また、そうではなくてボタンが隠れている比翼というタイプ、それはなくボタンが見えているタイプなど色々あります。
これらは一体どのような基準で選ぶものなのでしょう？

そもそも、現代でもそうですがシャツは下着となります。
よく、下着なのでさらに下着を着ない、ということでアンダーウエアは身につけるべきか？と問われますよね。

その下着のボタンですから、レディーに下着ボタンを見せるなんてとんでもない、恥ずかしい、エレガントでない。
ということから、基本なんらかの手段でボタンを隠します。

そもそもシャツの貝ボタンを外してしまって、別のボタン式のものをつけて着飾る方法があります。
これがもっともフォーマルです。

昔は夜の照明に映えるようにと、ダイヤ、ルビー、サファイアなどがつけられました。
今ではタキシードにはオニキスのスタッズボタンを、となっていますが、もちろんルビーでもOK！

スタッズボタンよりはフォーマル度は下がりますが、比翼仕立てがあります。
この方法でシャツ生地で隠してしまえば、ボタンは見えません。

ではこの胸のプリーツは何なのか？といえば、これは、
ここは、あくまでも下着ではありません！別の生地です！
ということを意味しています。

考えてみますと、そもそも下着はあまり見せるのはどうかな、と思いますよね。
ということで、フォーマル度の高いシャツを考えるなら、プリーツが入っているシャツをタキシードに合わせるのが良いといえます。

折り返しのダブルカフ（ダブルカフス）

シングルカフ（シングルカフス）

シャツの袖は折り返しのダブルカフがフォーマルというのが現代の常識でしょう。
折り返した袖、そこにカフリンクスをつける。
ドレッシーですよね。

ですが、実はもともとはシングルカフだったのです。

 

もともとシャツはバリバリに硬いのが当たり前でした。
糊がきいていて、それこそプラスチックのように硬かった。
あまりにも糊付けしていて、洗濯しただけでは糊がとれず、釜茹でにしたそうで、ここからハードボイルドという言葉が生まれたという説もあるようで。

そのくらい硬いのですから、袖なんてシングルカフで充分ハリがありました。
ところがどんどんソフトになってきて、これでは心もとない、ということで折り返してダブルカフが生まれました。

そいういう風に捉えると、究極はシングルカフの方がフォーマルという風にもとれますよね。

たとえシングルカフを選んだとしても、やはりカフリンクスをつけます。
胸元から見える、下着ボタンを見せないのと同じように、
袖口のボタンも下着のボタン。

ここもカフリンクスでとめてエレガントに装います。
公式にはタキシードにはオニキスのカフリンクスとなっています。
もちろんそれに捉われず、照明に映える、素敵な素材のカフリンクスを選びたいですよね。

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