スーツとタキシード 違いをまとめてみた
スーツとタキシード、最近は企業でもジャケット&パンツで出社、という方もいらっしゃいますよね。
すると、結婚式に出るのならスーツを着ていればフォーマルだ、という考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ブラックスーツならフォーマル?
ネイビーならジャケットでも良い?
どういう考えでスーツとタキシードが分かれているのでしょう?
また、具体的なデザインや特徴は何が違っているのでしょう?
まず、フォーマルとはどういうことか?ということについて、簡単にまとめてみます。
ハレとケ、という言葉を聞いたことはありませんか?
ハレとケと言い出したのは、柳田國男という民族学者です。
ネクタイを締めてキリッと仕事をする、それで家に帰ってきてネクタイを緩める。
こういう緩急があるのが人間の生活です。
同じように、おめでたい特別な日と、普通の日。
この抑揚が、フォーマルと普通の日といえます。
つまり、特別な日。
特別な日は、特別な服を着ると気持ちも変わりますし、みんなが特別な服を着ていると、特別な場なんだ!という感じになりますね。
だから普段着ではない服を着るわけです。
普段着る服ではない服を着て、お祝いの気持ちや、主役としてゲストをおもてなしする気持ち、などを表現しているわけですね。
では、スーツとタキシードは具体的にどんなところが違うのでしょうか。
まずは衿。
タキシードには衿にシルクが貼ってあります。
このシルクは、拝絹(はいけん)といいます。
どうして貼ってあるのかというと、昔は裏地がシルクだったのです。
俺は裏ですらシルクを使っている!という見栄でもあります。
もともとスーツの前は、衿が折り返されていませんでしたから、裏のシルクは見えなかったのですが、今のスーツのように折り返されて、裏地がちょっと見えました。
これがシルクの衿のはじまりです。
タキシードとスーツ、後ろの切れ込みも違います。
真ん中で切れているデザインを、センターベント。
横で切れているデザインを、サイドベンツ。
一部ですが、こんなフックベントも。
スーツはほとんどどれかですよね。
このベント(複数形ベンツ)は、馬に乗りやすく真ん中で切ったり、サーベルを刺すために横で切ったり、実用的に生まれました。
実用のためではない、特別なフォーマルの服であるタキシードは、このベントがありません。
また、衿のデザインも大きく違います。
スーツの衿として多いのは、ノッチという衿です。
これは、スーツの前の形の、ラウンジコートやフロックコートにも見られる衿でした。
ところがタキシードは、ピークという衿と、ショールという衿です。
ピークは、タキシードの前の最も各の高い正装の服、燕尾服の衿でした。
ショールは、たばこを楽しむときに着た部屋着、スモーキングジャケットの衿でした。
部屋着なので丸い、優しい、くつろいだ衿をしている、とか、燕尾服はミリタリーの香りがするピークだとか。
衿の形が変わるだけでも随分と雰囲気が変わりますね。
タキシードは、スーツと違ってネクタイをしません。
蝶ネクタイというわけですね。
つまり、小物も変わってくるということなのです。
スーツなら、ネクタイをするか、夏のクールビズならノーネクタイということもあるかもしれません。
タキシードの場合は、蝶ネクタイなし、とはいきません。
厳密にいえば、タキシードなら、本来はこの靴で!と細かいところまで決まっているのです。
もちろんファッションとして遊ぶ場合もあると思いますが、こういうところもスーツとは違いますよね。
タキシードは特別な装いということが伝わってきます。
でももともとはこういう服も、貴族の普段着でした。
ですが、今は普段からウエディングドレスのような服を着ている人はなかなかいませんよね?
逆にいえば、18世紀、19世紀のヨーロッパの貴族の普段着を、特別な日に着ることができるのです。
面白いと思いませんか?
ということで、特別な日、フォーマルならいつもの服ではなく、タキシードを着てみてはいかがでしょう。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2019年6月1日
タキシード・フロックコート | タキシードの歴史
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