リネンのスリーピーススーツとナポリな1日
2017年4月4日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

日中うららかな春の、心地よい気候の表参道は、リネンのスリーピースを着るには少し早いが、M氏のリネンスーツは仕上がってきた。
アイリッシュリネン100%の仕立ての良いスリーピーススーツは2月より取り掛かった。
M氏はいつも早めに訪れ、オーダーする。
そして決まってリクエストはネイビー、今回のリネンスーツもネイビー。

リネンのシャツに、リネンのタイ、リネンのチーフを合わせてみた。
ベストの衿もM氏の定番だ。
撮影を終え、生地を取り扱うW氏が今年の秋冬のネクタイのサンプルを持って表参道サロンに。
秋冬から少しナポリのタイを仕入れることにしたのだが、そろそろ締め切りなのだ。
品質に対して価格もなかなか値頃で、私も5本、中之丸も4本、いつの間にやらMyタイの選定会になってしまう。
夜はK氏の納品で、シルエットを絶賛いただいて追加オーダー、こちらもナポリの生地。
N氏の納品後のジャケット素材の提案も、最終選考に残った生地はナポリの生地。
何かとナポリな1日だった。

ふと考えてみると、このブログにTOPページはあるのだろうか?
今日そんな疑問が湧いてきたため、今日TOPページのようなところができた。
なにごとも玄関は重要、ちょっと良い絵を飾りたくなるものである。
アーサーホーランド牧師 講演会のオーダースーツ
2017年4月1日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

世界を股にかけて宣教活動するバイリンガル牧師の、
アーサーホーランド氏の公演用オーダースーツをお仕立てし、ご納品。
限りなくフィットさせつつ、トラディショナルに。
オフホワイトのダブルブレストのツーピースを、店頭に洋服をディスプレイするときのトルソーのように着こなすアーサー氏。
トルソーというのはなかなかスタイルが良く、当然ながら洋服が良く見えるようにと立体的で、ボディとしては理想的なボディスタイルで、年齢を重ねた男性が《私も若い頃はトルソーみたいな身体だったのだけど》と口にしていたのを聞いたことがある。

アーサーホーランド氏が30キロの十字架を背負って日本を縦断した、という伝説はウェブなどで拝見したことはあったが、アーサーホーランド氏がいかに自分を律し、この身体を維持しているかがダブルのスーツから伺える。
まさに服は着るだけでは半分でしかない、という大西基之先生のお言葉通りである。

雨の東京 表参道は少し冷え込んだ。
最近はBOTTONEのある表参道ヒルズの裏通りもなかなかの人通り。
いよいよ今日から4月1日、なんだかフレッシュな気持ちになるものだ。
テーラー・スタイリスト向け素材講義は早速2名の新しい方の申し込み希望があった、5月からもまたワクワクする日々が始まりそうだ。
《参加者募集》大西基之先生から学ぶ メンズウエア素材の基礎知識 講座 2017年5月開催
昨年大好評だった、オーダースーツ屋で働く人間やセレクトショップ、スタイリスト、イメージコンサルタントなど紳士のオーダーメイドの服に関わる仕事をしている方向けに開催していた、素材を勉強する講義が、今年も5月にスタート。
カジュアルなジャケットとハンガーの返却と
2016年12月29日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

「自分じゃあ絶対に選ばないですね、この組み合わせは。
今夜はちょうどイタリアンを食べに行くので、この組み合わせでいきます。」
ジャケット、パンツ、シャツ、
一式の組み合わせから提案した今回、
M氏がこれまでずっと着ていたかのようにしっくりきている。
M氏は趣味でオペラをやっており、
最初は舞台用のタキシードの制作依頼がご縁だ。
その後ビジネスのスーツを何着も制作し、舞台用の燕尾服、ポロコートなどアイテムが増えた。
今はビジネスを引退したため今回の依頼はカジュアルジャケット一式。
シャツもジャケットもカシミア混、
パンツは霜降りの美しいフランネルのストライプで、一式ともに風合いがある。
「今夜はポロコートも羽織り、一式御社の服で装いますよ。」
別れ際そのようにおっしゃっていただいた。
うちのサロンの部屋を一歩出ると、
見上げれば空が見え、門に向かって広い下り階段が続くテラスが広がる。
空間をふと見下ろして、M氏が以前こう呟いた。
「ここ、歌いたくなりますね。」と言ったのは、M氏が最初で最後だろう。
今日は2袋、
実はこれはゴミではない。
定期的に工房などへハンガーを戻すのだ。
当たり前だと思っていたのだが、創業当時に入社したクルーが(返却がスマートと知りつつ)捨てていた事実を知ったことがある。
かさばるし、意外と面倒というのもわかる、もちろん送料もかかる。
今の人たちは何も言わずとも自然とやっている、だから一緒に働いていて気持ちが良いのだ。
クルーブログ
2016年は、様々な裏側が明らかになった1年だったのではなかろうか、
それはベッキーにはじまり、清原しかり、佐川急便の替え玉しかり。
不正、汚職がまかり通る時代は終わり、いよいよ正しくまっすぐな企業、人が繁栄する時代に向かうのではないだろうか。
ウインドウペーンのスーツと外資プレゼンのスーツと
2016年12月25日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

敏腕コンサルタント、K氏のウインドゥペンのスーツは、
そこまで艶やかにチェックは出ていないが、さり気なくファッショナブルなトーンがクライアントに伝わるはず。
マネキンはパープルシャツに、ブラウンのソリッドタイで、チェックの色糸と全体的なカラートーンを合わせた。
ウインドゥペーンという柄は、ここ数年トレンド傾向があったが、伝統柄だ。
窓の格子のようなチェックということでこのネーミングになっている。
糸色次第ではご覧のように全体ではさほど目立たないため、1着あると面白い。

腰にはチェンジポケット。
チェンジ=お釣りという解釈もあるのだが、
遡るとこのディテールは弾薬入れだったのだとか。
鷹狩りなどのスポーツをする際のスポーツジャケットに付けられていたので、
現代でもスポーティな印象のスーツやジャケットに用いることがある。
私は19歳のときにポールスミスのスーツの多くがチェンジポケット付きで、
当時はなぜか、英国式=チェンジポケットというイメージを持っていたことがあり、
ブリティッシュスーツならばチェンジポケット、という記述を見たこともあるのだが、
そういってしまえばそもそも全ては英国から発祥したスーツだから、ブリティッシュも何もないわけだ。

ご覧のように、K氏の体型にフィットするように仕立てているため、マネキン映えしない。
マネキンはある意味理想的なボディーだが、人間の体は前後左右異なるカーブがある・・・
さらにいえばウインドゥペーンなどのチェック柄は手作業で地合わせを行い、
手間暇もかかる。
さて、昨日は新宿にサロンがあった頃からのクライアント、Y氏のご紹介オーダー。
ともに外資系G社のエリート・ビジネスパーソンだ。
Y氏からオーダーを頂くときは、大きなコンベンションでスピーカーを務める際が多かった。
外資系のプレゼンテーションは、動く。
ステージを右から左へ、手を上に、ジャスチャーも表情も豊かに、
言ってみればいわゆるスティーブジョブズのようなプレゼンで、
壇上に立って黙々と話す日本的なそれとは勝手が違う。
Y氏のご紹介ということで、同じようなスピーカーを務めることもあるだろうと思い、
アームホールは極力小さくする提案をする。
アームホールは窮屈なくらいが実は良い服といえる。
アームホールが大きいと、手を挙げた時に身頃が引っ張られる。
過去は銀座E店で仕立てていたというY氏、
雰囲気を変えてソフトなイタリーテイスト・スーツ。
ぜひとも勝負スーツに加えていただければ幸いだ。
誕生日のスーツ
2016年10月17日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

「実は、ここに来ることも、スーツを作ることも、まったく話していなかったんです。」
そうおっしゃったのは、奥様だ。
そして、なんと旦那様は本日が誕生日だったのだ。
「え?え?何?一体ここは?」
お出迎えに出たクルーは、そんな旦那様の声を聞き逃さなかったそうで、
こちらもまさか極秘だったとは驚きだった。
富裕層向けのビジネスをされており、
ある程度きちんとした服装をしなければならないため、
かつファッショナブルというご要望だ。
王道のネイビーは、
極細のシャドウラインを入れ、
イタリアの素材で。
ボタンで少し遊び、チェンジポケットも提案する。
「いいですね」とどんどん打ち合わせが進む。
こうしてフィッティング中の、旦那様がお着換え中に、
ポロッと奥様がお話しされたのが、
「実は、ここに来ることも、スーツを作ることも、まったく話していなかったんです。」という事実だ。
メモリアル、かつ重要な一着。
納得ゆく一着にしたい。
テーマの違う三着
2016年8月27日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様
本日も予約がいっぱいとなった。
最後にいらした方は、色々と相談しながらスーツを作れそうだから、とのきっかけでご来店予約をいただき、今日が初対面となった。
この時期は、お久しぶりのクライアントもいれば、電話お任せ注文をいただくクライアントもいるのだが、初めての方も少なくない。
カウンセリングシートにご記入いただきました。と、小寺が茶色いレザー・バインダーを持ってくる。
どんな方だろう、といつもドキドキする瞬間だ。
サロンの私の席に着くと、長身のその方は席についていた。
名刺を渡し、話を進めていく。
なるほど、なかなか固いご職業だ。
イメージ通り固い三揃えと、
それから、クライアントに緊張させないような、ナチュラルなスーツ、
それからそういう制約がない日のスーツと、それぞれ異なるテーマの三着だ。
そうすると、おそらくクライアントがイメージする前に、ピピッと数ある生地からこれと、これと、これ!と候補が若き上がる。
ここまで1秒、
あれ?まてよ、こういう想定はないかな?と3秒、
あ、まてよ、こっちもいいな、と5秒。
こうなるとひらめきがとまらない。
それでポーランドシェリーのフランネルのバンチを開いていたら、さらに良き出会いが訪れる。
これはまた今日も良いのができる、と1人でワクワクしてしまった。
最後はお持ちいただいた数種のカフリンクスを並べ、ボタンを考える。
提案者としても、なかなか楽しい季節なのだ。
パーティと披露宴の列席スーツと
2016年8月22日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

本日は台風直撃で、予定していた11月のパーティに向けての生地選びに影響が出ないだろうか、と心配していたが、
まったく問題なく遂行された。
「予約しておりました、Kです」
今日は、はじめてみる付き人の方、2人を引き連れていらした。
11月のパーティに向け、
まず1着、ビジネススーツを夏前から作っている、仮縫いを入れて。
それがまもなく納品となるわけで、さらにそのフィット感を加味しながら、いよいよ本番、
あるパーティに向けての1着のお仕立てとなる。
メディアも含め、それ相応の方々が集まることは推測できる、
今回ご提案したイタリア素材、SUPER160’sのネイビーの1着、間違いない。
そして、こちらも11月、
モヘアバラシャの黒で、
披露宴に列席される歴史ある企業の代表の方だ。
ありがたいことに、たくさんの大切な場面でのオーダーをいただき、
それに応えるべく、
しっかりと自分を一層に高めていかなければ、と思い、
ふと鎌倉の寺に行ったときの写真を採用した。

そろそろ、コートのオーダー打ち合わせも入ってきて、
秋の結婚式の、オーダータキシードは納品が続く。
「この日を、楽しみにしていました」と言われる。
フィッティング・ルームに案内し、タキシードのパンツを履いたK氏が出てきた。
「感動しました、、」と、言葉少な目なK氏は、そう言った。
ウイングカラーのシャツのカフに、黒のオニキスのカフリンクスを通しながら、
「パンツが、ですか?」と聞いた。
ジレを着せるしぐさをしたら、K氏が右手を挙げた。
「そうです、違いますね」
クライアントのジレの、くるみボタンを、1つずつ留めていく、この瞬間、
いよいよ舞台を前にこちらまで鼓動が高鳴る、
いつもこの緊張感、この瞬間が大好きだ。
服好きな一日とタキシードオーダーと
2016年8月8日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

「それはネームですか?」
邪道かもしれないが、私のシャツのカフには、Pinoとネーム刺繍されていた。
Pinoとは、イタリア語で松だ。
M氏は初めてボットーネへ訪れたが、
結婚式が決まり、すぐにオーダーでタキシードを作ることを決めた。
インターネットで探し、ボットーネに辿りつく。
そこで、ネイビーブルーのショールカラーのタキシードが目に飛び込んできた。
その印象が残っており、
式場の貸衣装室には足を運んでみたものの、
羽織ることすらしなかった。
こうしてボットーネに行く日が来た。
ヒアリングシートを書き終わると、コンシェルジュが出てくる、
「イメージしているものが、ありまして」
と告げる。
ショールカラータキシードだ。
念入りな採寸とフィッティング、
シャツのカフ回りは専用のカフスモデルがある。
左手首にそれを付けたとき、
「楽しい、ですねぇ」と。
普段はスーツを着ないのだが、
仕立てる時はここにしよう、
そう決めていてくださったのだそうだ。
小寺にそれをシェアしたら、
何も言わずこぼれそうな笑みになった。
オーダーサロンに向かう、
その瞬間から結婚式ははじまっているのだ。
「昨日、おとといと寝不足が続いて、
今日の打ち合わせ、大丈夫かと心配していたんですが、
楽しくて、楽しくて。」
服好きではないフィッターはいないと信じたいし、いないだろうが、
私はやはり服好きだ。
そういう服好きな人間の職業として、
服が好きな方に服を提供できる瞬間ほど嬉しいものはない。
打ち合わせをする、
その瞬間にフィッティングははじまっているのかもしれない。
タキシードのフィッティング
2016年7月30日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

今日はネイビーのスリーピースに、クレリックシャツ。
外は暑いが、サロンはフィッティングをするため、冷房が強いから、
ちょうど良い。
今日も時間ぴったりにドアが開いた。
まずは1人目のO氏だ。
フィッティングルームで着替え、
鏡の前に立つ。
ばっちりである。
ビジネススーツはいよいよこれでパーフェクトなフィット感を得た。

2人目もO氏、
こちらは10月の結婚式に向けて、5月から打ち合わせを開始して、
今日は完成した洋服を羽織る、ファーストフィッティング。
O氏は少しヒールのあるシューズを履くことを想定していたから、
パンツの裾はハーフ仕上げといって、未完成状態である。
靴ベラを靴に入れ、スポッという心地よい音がして、
O氏が立ち上がり、ベストな状態を作る。
男性の世界は1センチ、いや1ミリの世界。
1センチ着丈が違うだけで、随分と印象が変わる、
トレンドすら1センチの世界観をいったり、きたり。

だから慎重に合わせていく。
裾を折って、ピンを打つ。
少し離れてみる、
客観的に見るためだ。
後ろから、鏡に映った姿、うん、OK。
それから座っていただいて確認、
今回の挙式はソファに座っているシーンがあるのだ、
裾は上がり過ぎてはいけない、こちらもOK。
裾丈は立ち姿と座り姿、
どちらを良く見せるか?のトレードオフのように思われがちだ。
でも実は、全体のシルエットの取り方次第では、
両方いいとこどり、というのもできる。
その他はどうだろう、
ファーストフィッティングで完璧、良い感じだ。
O氏はよし、と頷き、次はコーディネートを話し合った。
それにしても、フィッティングは奥深い。
好きなことを仕事にされている姿に良い刺激
2016年7月25日 クライアント | スーツを仕立てたお客様

本日はいろいろ相談させて頂き、ありがとうございました。
また、勝手ながら松さんの好きなことを仕事にされている姿に良い刺激を受けさせて頂きました。
そのことを伝えたく、メールさせていただきました。
スーツに関しましてもここ数年の買い物の中でもとても満足のいく、
買い物ができたと嫁とともに仕上がりを非常に楽しみにしております。
宜しくお願い致します。
コミュニケーション
2016年7月25日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

クライアントo氏とは毎週のように会っている。
それは狙ったわけではなく、
新たに新調するスーツの打ち合わせに始まり、
過去制作したスーツのケアが続いたのだ。
一着お渡ししたら、一着持ってくるから、
毎週のように会っているわけだ。
毎回深い話はしないのだが、
ポロポロとo氏のライフスタイルがわかってくる。
どこの美容院に行っているとか、
シャツはどこで買っているとか、そういう話だ。
そんななか昨日、
ケアが終わったアイテムのお渡しも終え、
新たなケア・アイテムをお預かりし、
次回のスケジュールを決めて、
どちらからともなく椅子を立ち、
それではと帰ろうとしたその帰りがけ、
【ここで作ったスーツ、いいの着てるね、とよく褒められるんですよね。
本当、この値段の割に(笑)
いい店見つけたな、と思ってるんです。】
自然と口角が上がり、
心の中で、静かにガッツポーズをしている自分がいた。
ちょっとしたコミュニケーションを重ね、
その結果、服はより良くなるのだ。

今日は、ボタンの仕入れ。
神田には今日も、色とりどりのボタン。
光に当てた時にまばゆい輝きを放つボタンもあれば、
天然素材の良さが滲み出ているボタンもある。
この膨大なボタンのなかから、
12種類のボタンをチョイスした。
12種の中に、さらに色が5色ずつほどあるから、なかなかの量になる。
これを一冊のサンプルにまとめて、8月から提案するわけだ。
ボタンは洋服の表情を変える、
コミュニケーションツールなのだ。

新たな一歩
2016年7月24日 スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

これは、フランスの、あるアイテムだ、
さて、唐突だがなんだかわかるだろうか?
もちろん洋服に関係がある。
答えは、、、月曜に。
もったいぶっているのではなく、
月曜に使用しているところを撮影しにいくのだ。

今日はクライアントN氏への納品。
約束していた時間に、早くも遅くもなく、
まさにそのぴったりの時間に、N氏は到着した。
椅子に腰かける。
そこに完成した服を持って、私が現れる、
ご対面だ。
生地を選び、採寸、フィッティングを経て、
期待に胸を膨らませつつ、
時には忘れている日もあれど、
やはりその日が近づいてくるワクワク感はオーダーの醍醐味だ。
こうして待ちに待っていたこの日、
ついにオーナーによって着られることになる。
フィッティングルームへ案内し、
いつもの服を脱ぎ、オーダーした服に着替える。
仮縫いとは違い、しっかり裏地もある。
がちゃっとドアがあき、
フィットしていて見とれるようなシルエットの服をまとったN氏を見た瞬間、
今日もいい服が仕上がった、と心の中でつぶやいた。
「うわー、いいですね、
着心地も全然、違う。」
どこをどう絞ろうか、
背中は狭く、エレガントに、
ゴージはむしろ少し下げて、
ポケットの傾斜は角度を少し強調して、縦の距離を意識して、、
こうして、どうしたらもっと美しくなるか、考えて進める。
最初から形があるわけではないから、
こちらを信用して依頼しているわけだから、
もちろんそれに応えようと考えるのだが、
話していると、こうしたら良いのでは?というアイデアが次々と沸いてきて、
それを洋服に反映せずにはいられない。
帰りがけ、
「本当に、想像以上の完成でした」
N氏の顔は笑顔でいっぱいだった。
そうこうして完成して、
良い!のフィードバックをいただけるのは本当に嬉しいのだ。
今日も納品や採寸、さらにご紹介の方で賑わったサロンだ。
そして、こうして喜んでいただけている裏側でも、闘いは続いていた。
バックヤードは、常にどうしたらもっと喜んで貰えるか?と問いが続いていた。
そしてどうしたらもっと早くお渡しできる?
ハサミの位置はこれで良い?
生地は?
無理、ムラ、無駄はよくない、
1秒の無駄もない体制へ!そんな声が聞こえてきそうなくらい、
黙々と整理整頓を続ける小寺の研究が続いていた。
お客様のためにを軸に、
全員で意見し改善する、
これこそが仕事の醍醐味なのではないだろうか。

まさにあと1駅で自宅、というところで腕時計を見たら、0時を過ぎてしまっていた。
0時を過ぎると、都内とは思えないような静まり返った住宅街が急に訪れる。
ちょっと近所のスーパーでツマミを買って、というわけにいかない。
近所のワインバーに寄った。
そこでチーズを食べながら、
今日の服作りについて振り返っていたら、
あれ?こんな企画は?と何やら思いついてしまい、結局AWの企画を考えることにした。
ワインを飲みながら、何気なくオーダーした、チーズが出てくる。
「左から、イタリアの、カステロマーニャと、羊と山羊のチーズを、栗の葉で熟成させたチーズ、、、」と店主が説明してくれた。
カステロマーニャを、一つ口に運んでみた、
!なんと、求めていた濃厚で深みのある味が口の中に広がった。
明日もポケモンを探している余裕はなさそうだが、がんばれそうだ。
















