- 2024年10月25日
カジュアルセットアップについて
20代が着るカジュアルなセットアップであれば既製品でもたくさんのブランドが展開しており、選ぶことにもあまり苦労しないと思います。
ですが、30代以上の大人の男性がカジュアルに着れるセットアップとなると、その選択肢は限られてくるものです。
今の時代はオーバーサイズが基本で、今年のカジュアル服ではオーバーサイズ+短丈のトップス・アウターがたくさんリリースされています。
でもこのオーバーサイズの服を受け入れられる30代以上の人は、正直に言ってかなりオシャレ・ファッションに関心が強い人だけであり、実際は『さすがにタイトな服は着なくった』くらいの温度感の方が多いのではないでしょうか。
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スーツとカジュアルセットアップの違いは?
スーツとセットアップの違いって何?と良く聞かれますが、言葉自体は単なる類似のであってたいした意味はないと思いますが、何となく意味合いとしてスーツはビジネス、セットアップはカジュアル、のような使い分けがされているように思います。
分かりやすい違いとしては、まずは素材(生地)があると思います。
スーツは良く綾織り(ツイル)の艶のある生地が使われているのに対して、セットアップはコットンであったり、ウールだとしてもどちらかというと平織りとかフランネルとかの生地が使われる傾向にあります。
簡単な言葉で言うと、つるっと光沢のある感じの生地はスーツにしか使われないよ!ということです。
フランネルとかであれば、スーツでもセットアップでもどちらも違和感がないのですが、つるんとした生地はスーツだけ。
じゃないと変です。
じゃあフランネルみたいな両方いける生地の場合、スーツとセットアップの違いはどうなるの?というと、デザインやシルエットに表れます。
最近のセットアップは絞りの少ないボックスシルエットのようなジャケットに、スラックスもワイド、もしくは裾だけ少し絞ったワイドテーパードシルエットがほとんどです。
デザインの面ではボタンの数だったり、ポケットの種類であったり、このデザイン=セットアップというのは特にありませんが、全体の雰囲気に合わせてアウトポケットなどが採用されていると思います。
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カジュアルなセットアップもオーダーで
こうして嚙み砕いてみると、細部のちょっとした違いでスーツに見えるか、カジュアルなセットアップのように見えるかが変わってきます。
大人が着るカジュアルなセットアップは、この塩梅を程よく自分仕様にアジャストさせることが大事で、今風のオーバーサイズはちょっと無理がありますよね。
素敵なレストランに着ていきたいかと言われると、正直微妙なものばかりです。
ですから、スーツを何着かお仕立てさせていただいたお客様には、少しカジュアルな仕様でもご提案させていただき、普段着としても身体に合った気持ちの良いセットアップを着ていただければと思っています。
インナーはニットやTシャツで、気楽に着ていただくのがおすすめです。
みなさんも大人なカジュアルセットアップ、いかがでしょうか?
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シャツ工房へ
先日、とある企画の打ち合わせに新橋のシャツ工房ショールームまでお邪魔してきました。
少し涼しい気候でしたので、コンシェルジュ林はビシッとタイドアップのスタイルで。
先日ブログでご紹介させていただいたブラウン+ワイドストライプのスーツですね。
よろしければ以下のブログも合わせてご覧ください。
非常にクオリティの高いシャツを作り続けており、普段からボットーネのオーダーシャツの製作お願いしています。
最近の業界の動向、売れ行きやトレンドなどについて多岐に渡り意見交換をしてまいりました。
シャツは副資材を襟やカフス以外には用いません。
ですからシンプルに『シャツのパターン』と『縫製』がダイレクトに着心地や質に直結してきます。
通常縫製のアップグレード版として用意されている仕様があり、裾の処理や腕の動かしやすさに大きな影響を与える【袖付け】などが工夫されたものであり、これはこれからボットーネのお客様にもご提案していこうと考えています。
まずは自分自身のシャツを仕立て、違いなどを体感した上でご案内させていただきますでの、普段シャツをオーダーいただいているお客様方は楽しみにしていてください。
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今の時代に合っている襟型を発見
店舗も兼ねている為たくさんのサンプルが展示してありました。
なかでもブラックデニム、色落ちは強ければグレーにも見えるような生地が今季はイチオシのようで、先程ご紹介したカジュアルセットアップと合わせてノータイで着用するのも面白いなあ、、、と。
色々想像が膨らみます。
一目みてビビットきた襟型がありました。
ボットーネでは普段から【セミワイド】というスタンダードな襟型をご提案することが多いのですが、こちらの襟型はセミワイドカラーに比べると少し曲線を描くような表情をしています。
開きの角度はセミワイドとあまり変わらず、おそらくほとんどの方がお持ちのスーツに合わせても何の違和感もなく、使いやすさも抜群ではないかと思います。
ボットーネは何でもかんでも新しいモノを取り入れるスタイルのお店ではないのですが、時々こういった発見があると、たくさんのお客様の顔が思い浮かび、皆様に合いそうだなと判断した時だけブログでご紹介したり、実際に打ち合わせの場面でご提案させていただいております。
あれもこれもおすすめと言われても、「ほんとかよ、、、」と思いますもんね笑。
本日のブログでご紹介したカジュアルセットアップ、そしてシャツのアップグレード縫製、襟型は順次展開して参りますので、気になる方はお気軽にご質問ください。
きっと長い長い説明がはじまります、、、。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2024年8月16日
イージーパンツ・セットアップ
先日お客様にご納品させていただいたセットアップスーツは、これまでの一般的なテーラードのスーツとは少し経路の違うものでした。
リクエストいただいたイージーパンツ(詳しくは後述)、軽い仕立てのアンコンジャケットは、まさに今の時代に求められる「楽な着心地のスーツ」です。
楽なのにきちんとして見えて、革靴に合わせても、スニーカーで合わせても違和感のないような、守備範囲の広いセットアップでもあります。
本日はそんなイージーパンツ・セットアップをご紹介させていただきます。
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ウエストシャーリング仕様のイージーパンツ
スーツのスラックスがどこか堅苦しさを感じることのひとつにウエストの締め付け具合が強いということがあると思います。
これまでは当たり前だったので気にもしませんでしたが、服装がどんどんカジュアル化しつつある中で、ウエスト部分にゴムを入れることで伸縮性を持たせ、まるでジャージのパンツのような快適さのあるものが増えてきました。
「スラックスにベルト」と「ウエストゴム仕様」を着心地の「楽さ」で比べたら一目瞭然ですよね。
そうした現代のニーズに合わせて、いわゆるイタリアのスーツ系ブランドを中心にウエストゴム仕様=ウエストシャーリング仕様のスラックスが打ち出されるようになってきました。
ウエストシャーリング仕様とはいえ、見た目はスラックスと変わらないのですから、これが多くのビジネスマンにヒットして今では定番商品となっているブランドもありますね。
このような仕様のスラックスを総称してイージーパンツと呼ばれ、快適な着用感を味わえるイージーパンツは、腰周りに適度なゆとりをもたせ、緩やかにテーパードしたシルエットと相性が抜群。
座り仕事の多いビジネスマン、外回りの多いアクティブな営業マンの方など、様々なビジネススタイルに適応できるのです。
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イージーパンツをオーダーで
ここ最近の円安の影響もあってか、かつては2万円台で購入できたイタリアブランドのイージーパンツも、今では4万円台が当たり前になってきました。
既製品のイージーパンツで4万円、、、少し割高感があることも否めないかな?という感じでしょうか?
そうなるとオーダーにも目を向ける人も多い訳です。
実際3万円台からオーダースラックス(イージーパンツ)のお仕立ては可能ですし、余程高級な素材を選ばない限り4万円台でも十分収まる価格感で多くの生地から選択いただくことも可能です。
もちろん生地選択の豊富さだけでなく、既製品のような最大公約数的なサイズ感ではなく、あなたに一番マッチした着心地とシルエットを追求することができます。
そこはこれまでのオーダースーツ、オーダースラックスとなんら変わらぬ部分で、単にウエストに伸縮を持たせたというだけですから、本当の意味でかゆいところに手の届スラックスが手に入る訳です。
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ストレッチ性の高い生地
オーダーのメリットといえば生地選択の豊富さが挙げられますが、せっかくイージーパンツを仕立てるのであれば「ストレッチ性」の高い生地をお勧めします。
数年前までのストレッチ生地と言えば、ポリウレタン・ポリウレタンが単に入っただけの、いうなれば粗悪な(笑)ものが大半を占めていましたが、今ではイタリア生地ブランドを中心に多岐に渡るストレッチ生地が打ち出されています。
REDA、CANONICO、LoroPiana、ZEGNAなどなど、どのブランドも毎シーズンのコレクションに入っておりますので、世界的にも需要が高まっているのだと思います。
ビジネスをメインに着用するのであれば、ウールをベースに若干のストレッチ性を持たせたキレイ目な生地を、プライベート着用であれば、コットンベースのいわゆるジャージー生地なんかも選択肢に入ってくると思います。
ジャージ―生地も目覚ましい進化を遂げておりますので、セレクトショップにあるような安価な物をイメージされている方はきっと驚くと思います。
季節感があり、おしゃれで、高級感があり、それでいて快適、これが今のジャージー生地なんです。
(余談ですが、ロロピアーナやゼニアのジャージー生地は本当に高級感があるのですが、それぞれの実店舗でセットアップを購入すると3桁に近い金額になるのですから驚きです、、、。)
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ジャケットは一枚仕立ての軽量モデルを
「着心地はまるでカーディガン。」
今、イージーパンツに合わせるジャケット(セットアップのジャケット)はライトな着心地のジャケット以外には考えられません。
ライトウエイトの生地を用いれば、さらにその軽やかさを表現できます。
このように、片手で持てばクタッとします。
柔らかい仕立ての雰囲気が伝わりますでしょうか?
「着ている感覚がない」とはまさにこのこと!というくらい、本当に軽いんです。
アンコン仕立ての軽やかな仕立てをベースにしながらも品良く見えるのは、入念なフィッティング、洗練されたパターン、熟練の職人によるアイロンワークのたまものです。
身頃の裏側は「大身返し」といって、裏側まで表地が続いております。
これは副資材を省いた軽やかな仕立てでありながらも、型崩れを防ぐために必要なもの。
このように、裏地すらほとんど使用しておりません。
袖裏は省くこともできますが、やはり滑りが良い方が着心地が良くなりますので、袖裏は付けておくことをおすすめしております。
勿論、肩パッドも入っておりません。
こうしたジャケットが一枚あると、あらゆるシーンで重宝しますよ。
みなさんもイージーパンツ・セットアップ、お手元に一着いかがでしょうか?
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2023年12月3日
肩パッドの入ったスーツは古い?
スーツには本来、肩パットが入っていました。
「肩パット」と聞くと、なんとなく古臭い感じがしてしまいませんか?
80年代に流行ったスーツはビッグシルエットが基本。
自身の身体(肩幅)よりはるかに大きい肩幅のスーツを肩パットでしっかり支えることで着用していました。
そうしたイメージがあるからか、肩パットが入ったジャケットは古いというイメージを持ってしまうのです。
ですが、これは決して一概に言えることではありません。
正しいサイズ感のスーツであれば、肩パットが入っているからといって「古い」という印象は全くないですし、なんでもかんでも肩パット無しが正義のような風潮は間違っていると思います。
ということで、この記事では肩パットはあった方がいいのか? ない方が良いのか?
また、それぞれの違いについて書いていきたいと思います。
どんなスーツなら肩パットが入っていた方が良い?
肩パットがあるスーツのメリットは、構築的な肩周りの表情を作り上げることです。
まずは、スーツをどのようなシーンで着用するのか考えてみてください。
・お客様と対面する時に着用するのか
・社内のプレゼンで着用するのか
・おしゃれを楽しむプライベート着としてのスーツなのか
これらの違いによって、よってスーツに求めるものが人それぞれ変わってくるはずです。
例えばビジネスで使うネイビーのスーツ。
ネイビーのスーツが与える印象は、ざっくり言うと「しっかりとした人」ですよね。
ネイビーのスーツを着ればどんな人でもしっかり者に見える、いわば魔法のアイテムです。
そうしたネイビースーツを着るビジネスシーンの場合場、必要になってくるのは「お洒落さ、かっこよさ」よりも、「誠実さ、安心感」などではないでしょうか?
それら求める場合、そのスーツには肩パットは入っていた方が良いと思います。
(このように構築的な肩周りに)
肩パットが入るとはいえ、パットの厚みにも種類がありますので、なにもガチガチの肩周りになるということではありません。
分厚いパットはさすがに今の時代では合わないと思いますので、0.2cm程度の薄いパッドを入れるだけでも、きれいな肩周りを作り上げることができます。
さらには、英国好きの皆様は「コンケープドショルダー」という袖付けの手法もご存知ではないでしょうか?
肩先がこんもり盛り上がった袖付けは、英国紳士のようなエレガントな表情に。
このようなスーツには、当然肩パットがあった方が良い雰囲気になります。
(コンケープドショルダー)
ビジネスシーンなどで、スーツが持つ本来の良さ『誠実さ・安心感』が求められる場合には、肩パットは入っていた方が良い。
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最近のスーツ・ジャケットはパット無しが多い
最近セレクトショップなどで見かける既製品のジャケットを触っていると、肩パットが入っているジャケットはほとんどないと思います。
いわゆる”アンコン仕立て”のジャケットが多く、快適さ・軽さを追求したジャケットにはパットが入った構築的な肩周りは相応しくありません。
パット有/無の違いだけでも、ジャケット全体の重さが変わりますので、重量面から考えてもパットは省かれています。
そしてアンコン仕立てのジャケットが主流となってから、その流れらかスーツにもパット無しのものが本当に増えてきました。
柔らかい素材を使って、肩周りも柔らかく丸みを帯びたショルダーラインを作り上げるのです。
(丸みを帯びたショルダーライン)
日本に展開されているインポートのスーツブランドは、そのほとんどがイタリア。
特にナポリを中心としたブランドの勢いがあります。
ナポリの仕立ていうと、全体的に柔らかく、「マニカ・カミーチャ」といってギャザーの入った袖付けなどが特徴的です。
イタリア系ブランドの全盛期の今の時代、肩パットの入っていない軽やかな仕立てのスーツというのは時代にマッチしたスタイルといえます。
(マニカ・カミーチャ)
タイドアップなどのスタイルにももちろん合いますが、個人的にはハイゲージニットなどをインナーに、少しカジュアルに着る方が良いと思います。
それこそカーディガン感覚で、さっと羽織るくらいの快適さが求められているのです。
最近の主流は肩パットなしのアンコンジャケット。
いかに軽く、柔らかく仕立てるのか、その技術を各ブランドが勝負している。
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肩パットは抜けばいいってものじゃない
既製服の場合はパット有/無は選べるものではありませんが、オーダーメイドの場合は仕立てから調整することが可能です。
普通の仕立てで、単に肩パッド抜くだけという訳ではなく、全体の仕立てをソフトにしてその雰囲気にに合わせた肩周りを作っていく。
そうした方が全体で見た時にまとまりがあるスーツになります。
オーダーの場合、体型補正もしっかり加えますのでパット無しでも安心です。
ですが既製品の場合は、体型によっては注意しなきゃいけない人もいます。
例えば、極端になで肩の人。
なで肩は、基本的にはスーツを美しく見せてくれる重要な要素でありますが、なで肩にコンプレックスを持っている日本人は多くいます。
極端な撫肩の人がパット無しのジャケットを着ていると、背中から見た時に大きなシワがよってしまいます。
また肩幅が狭い人も、肩先がだらんと落ちてしまいますので、その姿はお世辞にも美しいとは言えません。
身体が華奢な場合は、それをパットや副資材で補った方がエレガントに男らしく演出できます。
逆に、いかり肩の人も注意しなければなりません。
痩せ型、小柄な方に多い怒り肩ですが、いかり肩の人がアンコンジャケットを着ると、肩の多淫をきれいに形成できずに、全体的にシワがよってしまいます。
ジャケットは肩で着る、と言われるくらい重要ですので、その方がしっかりフィットしていないことには、快適な着心地など到底実現できません。
オーダーの場合は補正を加えたり、薄く芯だけ入れたりして微調整できますので、肩に特徴がある人はオーダーの方が良いと断言できます。
肩パットのないモデルの場合、身体的特徴をカバーできない場合も多いので注意が必要!!
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まとめ
ということで、パットの有/無の違いについて記事にしましたが、結局はどちらもおすすめの仕様です。
単にどっちが良い悪いの世界ではないということです。
ご自身が求める、
・スーツからもらいたい印象はどういうものなのか?
・使う生地はどういう素材なのか?
・ご自身の身体の特徴はどうなっているのか?
こうしたことを総合的に考えながら、最適な答えを見つければいい訳です。
決して「木を見て森を見ず」になってはいけません。
肩バットだけがスーツの良し悪しを決めるものではないので、全体で見たときの一つのディティールとして考えてみてくださいね。
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詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2023年11月25日
フランネルのスーツはいつまで着れるのか?
最近もご納品が続いているフランネルのスーツ。
「フランネルかっこいいけど、冬しか着れないからなあ、、、」
冬スーツの代名詞といっても過言ではありませんが、オーダーする際にこんな風に悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。
確かにせっかくオーダーしたスーツですから、できるだけたくさん着用したいですよね。
お気持ちはよーーーーく分かります。
実際フランネルの着用期間は、
●11月~2月がメイン
●3月は気候的にはまだまだ切れる、でも気分としては…?
となると思います。
まさに今現在(11月末)はフランネルスーツが丁度良いですし、もう少し寒さが増してくるとフランネルスーツの上からコートを羽織れば最高に暖かいはずです。
3月はまだまだ寒い日もありますが、季節としてはもう『春』ですから、冬に着ていた物は少しずつ出番を少なくし、春らしい爽やかな服装を楽しみたいところ。
ですので3月は、着れるけど、少しずつ春の準備を!って感じです。
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ビジネスシーンにおけるフランネル
「普段の仕事で着るからな、、、」とフランネルをためらってしまう方がたくさんいらっしゃいます。
でも、冷静に考えてみると『フランネルがビジネスNGな理由』って何がありますかね?笑
派手な色のスーツだとすれば、「相手にマイナスな印象(軽い、チャラい)を与えてしまう」とかあると思うのですが、フランネルのスーツを着ていてマイナスな印象を与えてしまうことなんて絶対にないと思います。
柄が気になるようでしたら、無地のフランネルでも当然たくさんの魅力的な生地の中から選べます。
無地のネイビーやグレーのフランネルでしたらビジネスでも100%OKだと思いますし、礼装のルールとしても「フランネルはNG」なんてことは絶対におきません。
つまり、フランネルがダメな理由なんて無いんですよね。
とはいえ、会社のルールだったり雰囲気だったりは人それぞれでしょうから、結局は皆様にゆだねるしかありません。
ですので服屋としては、「フランネルは絶対OKだと思いますよ!」と堂々とお伝えしています。
あとは皆様次第なのです。
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初のフランネル、初のダブル
これまでに何度もその魅力をお伝えしてきたフランネル。
今シーズンも何着もご納品させていただきましたが、初めてフランネルに挑戦される方は皆「結構しっかりしてますね…。」と最初は驚かれます。
ご納品の際は、私共フィッターの全身チェックに加え、立ち座りやデスクワークの姿勢など実生活での着用シーンを想定して着心地を確認しています。
そうこうしているとあっという間に15分20分と時間が過ぎるのですが、「なんだかもう馴染んできた気がします!笑」と、最初に感じていた違和感がなくなる方が多いのです。
よほど極端な物でない限り、生地は違えどスーツはスーツ、ジャケットはジャケットです。
身体に合っているものは着用していくにつれてどんどん自分に合うように育っていき、それは生地がハードであればあるほど実感できます。
それはイタリア生地とイギリス生地の違いでもあり、革好きの男性がどんどん武骨でハードな革製品に惹かれていくように、スーツも「オールシーズン」という枠から飛び出すと今までと違う景色を見ることができます。
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その季節にだけ楽しめるもの
「使用期間が短いから安物で良い」
そんな考えが一般的になっているように感じます。
実際私もそういう部分は確かにあるのですが、服に関して言えば、そうでないことを知っています。
コンビニのビニール傘ではなく、例えば英国製のフォックス・アンブレラの傘を持って家を出ればたとえ雨の日であっても気分は高まり、きれいな色の薄手のセーターは、春や秋の装いをよりおしゃれにしてくれます。
これば一例にすぎず、もっと身近なことであれば「季節毎に服を変える」これだけでも全然違うのです。
私がたまに見ていたYoutuberがいるのですが、その人は何事も効率重視だそうで、服装に関して一つのこだわりをもっていました。
効率重視=服装、、、その行き着く先は一つしかありません。
誰もが一度は聞いたことのある、スティーブ・ジョブスの習慣です。
「服はいつも同じ」ってやつ、効率重視でなかったとしても、ミニマリズムの世界では服の固定化はよく出てきます。
(ちなみにスティーブ・ジョブスは固定化した服には相当こだわっていました。)
正直、あまりにもつまらないなと思ってしまいます。
私なら絶対にしない。
年中シャカシャカのパンツに黒のTシャツかロンT、冬にはその上から黒のダウン。
本人たちはそれが理にかなっていると思うのでしょうが、近くの人が毎日同じ服装って私は普通に嫌ですけどね…笑
とまあ、この辺の感じ方は人それぞれ。私が変わっているのかもしれません。
これからの季節は色々重ね着もできますし、カシミアやキャメルなどの素材は秋冬にしか着れないものです。
でも、『その季節に着られるもの』には理由があり、それが実用性であろうが昔からの名残りであろうが、経験した人にしか味わえない豊かさを感じさせてくれます。
春はコットン、夏はリネン、秋はウール、冬はカシミアと、定番の素材は、化学繊維にはない良さ(見た目・着心地・体感)があるのです。
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冬のスーツはフランネル
ということで、冬のスーツの代表格、フランネル。
こちらのスーツは、イタリアCANONICO社のフランネルですが、十分な厚みのある本格的な生地でありながら、コストパフォーマンスもかなり良く毎年非常に人気があります。
●色:チャコールグレー
●柄:チョーク・ストライプ
ただのストライプでないんです、チョーク・ストライプ。
名前の通りチョークで引いた線のように、かすれているのが一番の特徴で、これがフランネルと抜群に相性が良く、『フランネルといえば、チョークストライプ』といっても過言ではありません。
普通のストライプよりも幅が広いことが多く、パッと見では派手に見えるかもしれませんが、線が掠れていると意外と所長が抑えられるんです。
フランネルは着用していると毛並みが多少潰れてくるので、ストライプは余計目立たなくなります。
かっこいいな!と思った方は是非チャレンジしてほしい柄です。
今回のお客様は、ジャケットはダブルで仕上げています。
ダブルとなる更に挑戦的なオーダーになると思いますが、最近は服装の縛りがほとんどない企業も多く、ボットーネのお客様でもダブルにする方が増えています。
細身の方がダブルをきると、スマートでカッコいいですよね。
「憧れてて、自分もいつかは…と思っていたんです」と、欲しいけど、遠慮していた方が今年は一歩踏み出していただきました。
皆様これからの季節ガシガシ着用してほしいと思います。
水牛ボタンに足元はシングル仕様。
この辺はお好みでいいと思います。
特にご希望がない場合は私共で「こういうのはどうでしょう?」としっかりお客様のライフスタイルに合わせてご提案させていただきます。
手入れのされた、きれいなホールカットのシューズ。
フランネルは本当に暖かいので、まだコートは必要ありません。
気温に合わせてマフラーをするくらいでも十分に暖かい。
重厚なコートもかっこいいですが、フランネルの上から着用するのであれば、少し薄手のコートでもちょうどいいと思います。
それはそれで、妄想が膨らみますね。
これから色々な着こなしを楽しんでいたけると嬉しいです。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2022年5月30日
世の中の脚長パンツってどうなの?
『脚長パンツ』なる商品は昔からありますが、実際に履いてみて本当に脚長効果はあるのか。
スラックスをこれまで1000着以上仕立ててきた経験から言わせていただくと、せいぜい3~5個のサイズ展開では、すべての人で同じ効果が得られる!なんてことはありえないと思っています。
そういうのは「一般的な」「平均的な」体型の方が得られる効果であって、そこの悩みがあるのは「平均値」ではない人が多いはず。
身長が、体重が、お尻が、脹脛が、、、悩みは人それぞれ。
きっと色々なパンツ・スラックスを試してみて、「やっぱりしっくりこないなあ・・・」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
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やはりオーダーが最適解
ここでは『脚長効果』という観点で解説させていただきますが、やはりそういった希望を最も叶えられるのはオーダー・スラックスではないかと思っています。
後述しますが、デニムやチノパンなどのカジュアルパンツはどうしても「股上が浅い」ものが一般的ですし、最近でこそオーバーサイズのパンツも多いですが、そういったおしゃれ度の高いアイテムは万人受けするものではありません。
ひとりひとりの体型に合わせて1から設計するオーダースラックスであれば、体型の欠点を隠したり、逆に活かしたりといった調整はもちろんのこと、お好みを踏まえてぎりぎりまで攻めることもできてしまいます。
フィッターの力量が試されますが、未経験の人はチャレンジしてみる価値ありです。
次の項目からは、脚長効果が得られるポイントについてそれぞれ解説していきます。
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脚長効果のポイント① 股上
スーツやジャケット、スラックスをはじめとする「ドレスファッション」の分野のおいては、近年クラシックというキーワードが注目されています。
様々な要素がありますが、例えばスラックスのシルエットでいえば「細ければ細いだけいい!」みたいな価値観だったものが「適度にゆとりを持たせましょうね」という風に変化しています。
カジュアル分野におけるオーバーサイズの流行も関係していますね。
「ピタピタに細いスラックス」=「浅い股上(ロー・ライズ)」
「ゆとりのあるサイズのスラックス」=「深い股上(ハイ・ライズ」
↑これはスラックスのサイズ感と股上の基本的な関係性なのですが、近年のスタンダードである「程よくゆとりのあるサイズ感」の場合股上はやや深くなり、これは脚長効果の観点からみて追い風です。
つまり、脚長効果を出すなら「やや深い股上」が正解。
腰の位置が高く見えますし、ウエスト位置が安定しきれいなシルエットを作り出してくれます。
「やや」深めというのが実は重要で、極端に深いとコスプレみたいになってしまいますし、フィッターのセンスが問われます。
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脚長効果のポイント② ヒザ
ヒザは細めにしましょう。細めです。
言葉にすると当たり前ですね笑。
ポイントはワタリ幅と裾幅のバランスを考えて、最適なヒザ幅にすること。
イメージとしてはストレートシルエット気味にすると、後述する裾幅・股下の長さを決める際に相性が良くなります。
場合によって通常よりヒザ位置を高くしたりと、、、以外とヒザだけでも色々ポイントはあるんです。
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脚長効果のポイント③ 裾・股下の長さ
裾幅は「〇〇cmで固定!」とこだわりを持っている方も多いと思いますが、脚長効果を期待するなら「やや広め」に設計しておきたいところ。
これは股下の長さにもつながってきます。
例えば裾幅が「17cm(かなり細いです)」であれば、なにをどうしても股下を長めにすることはできません。
すぐに靴に引っかかってぐしゃぐしゃになってしまいますから。
一方で「裾幅20㎝」であれば股下を「裾幅17cm」の時に比べて数センチ長くすることができ、単純に股下が長ければそれだけ脚長効果に直結する訳です。
長くとは言っても、せいぜいハーフクッションからワンクッションくらいですね。
テーパードシルエットも人気ですが、これだと裾に向かって細くなっていくシルエットですので、脚長効果の観点から行くと最適解ではないかもしれません。
かっこいいんですけどね、テーパードも。
(例)股下18.5cm
(例)股下20.5cm
この2つの写真はどちらも私のスラックスなのですが、仕立てた当初は「裾幅18.5cm」と細めに、股下の長さも短めに設計していました。
その後気分が変わりお直しをして、「裾幅21.0cm」「股下2.5cmプラス」にしています。
身長は172cm、普通体型ですが、どうでしょうか?
少し長めに見えているといいのですが・・・(これで「いや、お前短いだろ!」と言われたら、このブログの説得力は0になります笑)
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脚長効果のポイント④ 素材
最後に素材ですが、上記であげた3つの内容はすべて”ある前提”のもと考えています。
それは、「しっかりと丈夫な素材」であること。
適度に厚み・ハリがある素材でなければ、計算してきれいに作られたシルエットが崩れてしまうからです。
例えばこれからの時期であれば、ハリ・コシがしっかりとあり、通気性にも優れた「ウール・トロピカル」や「フレスコ」の素材がいいですし、秋冬になれば「サキソニー」や「フランネル」といった素材がおすすめ。
色はライトグレー・ミディアムグレー・チャコールグレーのいずれかであれば、必ずあなたの手持ちのジャケットと合うはずです。
https://bottone.jp/blog/18987.html
https://bottone.jp/blog/29530.html
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まとめ
ということで、脚長効果を最大限に引き上げる為のポイントとして、
①股上は「やや深め」
②ヒザは「細く」
③裾幅は「広め」で股下は「気持ち長め」
④素材は丈夫なもの
これらを意識すれば、間違いなくお悩み解消につながるはずです。
みなさんも是非、試してみてください。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2020年11月27日
オーダースーツの打ち合わせの際に、「スペアパンツの製作も可能でしょうか?」と良く質問をいただきます。
もちろん、スペアパンツのオーダーは可能ですし、ご縁をいただきこれからお仕立ていただけるスーツを
より長くご愛用いただくためにも、非常におすすめなオーダー方法だと思っています。
そして、実はオーダーならではのスペアパンツの楽しみ方があるんです。
そこで本日は、このスペアパンツをテーマに、メリットなどを詳しく解説していきたいと思います。
いつもダメージを受けるのはパンツの方
スーツを買い替えるタイミングというと、皆さんは何を思い浮かべますか?
例えば、「今のスーツが時代性(トレンド)に合っていなくて違和感がある」ですとか、
「体形が変わって、着れなくなってしまった」など、この辺りは良くあるスーツ新調の理由です。
そして意外と多いのが、パンツがボロボロになってしまったということ。
普段スーツを着てお仕事をされる方、デスクワークと言う方であってもダメージから逃れられないのがパンツなんです。
朝玄関で靴を履くときにしゃがんだり、電車やデスクに座るときもヒップや太ももは伸縮を繰り返しています。
最悪のオアターンは、重い荷物を持ちあげた時に、ビリッと股が避けて、、、。
それ以外にも、デスクワーク中心の方は、太ももの裏(ひざに近いところ)がこすれテカテカになってしまう場合があります。
ポケットにスマホや財布を入れてしまう方は。ポケットのふとが擦り切れてしまったり、
スマホの角が当たる部分がデニムのようにダメージを受けてしまったり、、、
挙げればキリがないほどに、ジャケットに比べて日常の中でたくさんのダメージを受けてしまっています。
オーダーの場合、同じ生地が残っていればパンツだけ作り直すということも出来ますが、
生地がなくなっていることも多く、なくなくジャケットも手放してしまうというケースが本当に多いんです。
スペアパンツでスーツの寿命は格段にアップする
スーツの寿命を長くする=パンツのダメージを軽減させるといっても過言ではありません。
一番簡単なのは、スペアパンツをセットで購入すること。
スペアパンツ分のコストはかかりますが、長い目で見ると結局はコストパフォーマンスも良くなります。
一番の対策は、スペアパンツをしっかりローテーションさせることです。
1つを着用し続けて、ダメになったらスペアパンツを、、、ということではありません、あくまでローテーションです。
ローテーションさせることで、一度着用したパンツに休息を与えることができ、
良いウール素材で仕立てたパンツならば、シワをある程度復元させることもできます。
連続で着用するのではなく、スーツには休息が必要だということも覚えておいてくださいね。
https://bottone.jp/blog/bottone-ceo/28129.html
オーダーならではのスペアパンツ
ここで、スペアパンツの力を最大限に発揮する為に、オーダーならではの楽しみ方をお伝えしようと思います。
それは、違った仕様のスペアパンツをオーダーするということです。
それだけ?と思うかもしれませんが、詳しく見てみると使い道が見えてきますよ。
例えば、一つはベーシックな仕様で仕立てる。
ベルトループを付け、すっきりとノータック。
裾はフォーマルにも対応できるようにシングルにして、適度な細身のシルエット、、、といった感じでしょうか。
スペアパンツがなければ、こうしたベーシックで幅広く対応できる仕様やシルエットでオーダーしたいですよね。
スペアパンツがあるとどうでしょうか?
例えばスペアパンツの方は、トレンドを取り入れた仕様も良いかもしれません。
ベルトレスのサイドアジャスター仕様は最近本当に増えてきましたが、まだまだ抵抗のある方も多いはず。
タックも同じです。
いまや雑誌を見てみてもノータックのパンツはほとんどありません。
変わりに1タック・2タックのパンツが、ファッション業界人から一般の層まで広まってきました。
それと同時に、ベルトではなくサスペンダー仕様も復活してきています。
こうしたトレンドに乗ってみても面白いかもしれません。
サスペンダー仕様にするのであれば、股上はベルト仕様のパンツよりも深い方がいいでしょう。
シルエットもタックが入るのであればヒップや腰回りのゆとりは必要になりますし、
裾に向かって徐々に細くなるようなテーパードシルエットが今のスタンダードです。
こんなに仕様が違うとなると、これはオーダーでしかできませんよね?
でもこうすることで、同じ生地の同じジャケットでも、不思議と違う物を着ている感覚になるほど新鮮な気持ちになります。
一つはベーシック、一つはトレンドに合わせて。
ひとつ安心できるパンツがあれば、トレンドに乗った冒険も怖くありません。
それぞれのパンツをシーンによって使い分けることで、スーツスタイル全体の印象を変えたり、
より快適に着こなしたりすることができます。
こうしたことから新しい発見が生まれるのだと思います。
「意外とベルトレスのパンツ履きやすかったな」「サスペンダーってこんなにシルエット綺麗になるんだ!」
実際にこういったお声も少なくありません。
自分の方が決まっている!と言う方は、もちろんまったく同じスペアパンツで全く問題なし。
皆様にあったスペアパンツの姿をご提案させていただきます。
最後に
とういうことで、本日はスペアパンツが何故必要なのか、そしてオーダーならではの楽しみ方について解説しました。
スペアパンツがあれば、いろいろなメリットがあります。
何より、気に入っていたただいたスーツを長くご愛用いただけるということが一番です。
皆さんもオーダースーツ(スペアパンツ付き)で仕立ててみませんか?
好評のGoToオーダーキャンペーンも残り1ヶ月です!
おお気軽にお問合せお待ちしております。
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詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2020年11月2日
ダブルのスーツ
先日は、初めてオーダーいただきましたH様へのスーツのご納品。
ジャケットは久しぶりのダブル・ブレストでした。
ダブルはシングルと違って、身体を包み込むようにボタンを留める為、
フィット感がより重要になってきます。
ごまかしができませんので、サイズが合っていないと非常に目立ってしまいます。
キツイと持ち上がって見えてしまいますし、ゆとりがありすぎると妙に古臭くなってしまいます。
ですが、ジャストフィットのダブルはとてもカッコイイ。
クラシックでありながら、一味違うダブル、30代を超えたら一度は着てみたいと思いませんか?
シングルに比べ、手を出しにくいと感じる方も多いかもしれません。
ですが、ダブルブレストのデザインは個人的に大好きですし、
極端に威厳が出てしまったりということはありません。
オーダーいただいたH様のご着用の姿を見ていただきましょう。
いかがでしょうか?(写真が暗くて申し訳ありません)
柔らかい印象となるように、赤みのあるブラウンの生地を選択され、
ベーシックな6×2ボタンのダブルブレスト、
特殊なデザインはなくとも、ダブルだとやはりカッコイイ。
クラシックな着こなしを好まれるH様は、スラックスをサスペンダー仕様にしております。
内側にサスペンダー用のボタンを取り付け、クリップ式ではなくボタン式のサスペンダーで吊ります。
サスペンダーで吊ることのメリットはたくさんあり、360度どこからみても隙のないH様らしい姿を保つことができます。
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ご納品時は大変お喜びいただき、こちらも思わず笑みがこぼれます。
次は夏用のスーツを・・・と、次回の構想もお持ちのようで、次はどんな素敵なオーダーをいただけるのか、
本当に楽しみでございます。
ダブルはジャケットとしても
スーツとしてお仕立てすることの多いダブルブレストですが、ジャケット単体としてもお仕立て可能です。
このようなキャメルカラーのダブルジャケットは、ホワイトフランネルのスラックスと相性抜群。
デニムにも合いますし、シングルのジャケットをいくつかお持ちであればぜひ挑戦したいただきたいところ。
包み込むからこそ、よりオーダーメイドの魅力が発揮され、驚きのフィット感をご体感いただけると思います。
ベストでも
それでも敷居が高く感じされる方には、ダブルブレストのベストもおすすめです。
シングルのジャケットの内側に、ダブルブレストのベスト。
このように、ベストだけでも存在感がありますよね。
ここ数年で広まってきたダブルブレストのベストですが、
ジャケットのようなピークドラペルだけでなく、ショールカラーの襟型が人気のデザインです。
スリーピースは何かと便利ですし、そこに少し遊びの感じられるショールカラーベストがあると、
着こなしの幅はずいぶんと違ってきます。
https://bottone.jp/blog/bottone-ceo/13267.html
素材によってはこのように別のジャケットと合わせてもおしゃれ。
この時期であれば、シングルのベストに比べ単純に暖かいということもありますし、
ダブルブレストのベストに挑戦するにはもってこいです。
まとめ
ということで、ダブルブレストの魅力について語ってみました。
スーツにはカジュアルな服にはない、魔法の力が詰まっています。
ダブルブレストのスーツは、もしかしたらあなたに勇気を与えてくれる特別な服になるかもしれません。
ここぞ!という時、大勢の人の前に立つ時、おしゃれをしたいパーティーで、
自分がどんな姿でいたいのか、またはどんな姿でいるべきなのか。
ダブルブレスト、大人の特別な服にぴったりです。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2020年7月17日
こんなスラックスはNG
まずは、スラックスのNGポイントについて解説したいと思います。
すでにお持ちのスラックスも、今からご紹介する3点を気をつければ随分と見栄えが変わってきますので、確認してみてください。
①しわしわのスラックス
夏は下半身にもたくさんの汗をかきますので、当然スラックスもその汗を大量に吸うことになります。
そうなると、膝裏であったり立ち座りのある太ももの付け根であったり、動きのある部分がシワとして固まってしまうような現象も起こります。
見栄えという点に関しては、これが一番だらしない印象を与えてしまい、ちょっと気を付けるだけで改善することもできるポイントです。
まずはしっかりとプレスを行うこと、特に膝の表と裏、クリースライン、この2点は非常に重要です。
クリースラインが綺麗に入っているパンツとそうでないパンツとでは、全くと言っていいほど印象が異なります。
毎日プレスをかけるのが大変だという方は、今は様々な加工が可能でクリースラインが落ちにくいようにすることができます。
一番は毎日アイロンをかけることが望ましいですが、なかなか現実的には難しいかもしれません。
数着ローテーションさせたり、保管方法やハンガーの種類などを見直して、このクリースラインをできるだけきれいな状態に保つようにしてください。
そして電車などで座っていたり、日頃デスクワークで座っていると膝の部分がぽこっと出てしまうことがよくあります。
これは相当なゆとりがあるシルエットでない限り防ぐことは難しいですが、アイロンがけによって軽減することは可能です。
同じように、膝裏もしわしわになってしまうのでしっかりとプレスをかけるようにしましょう。
膝裏は特に、ご自身ではなかなか見えない部分ですが、周りの人からは一目瞭然です。
②長すぎ or 短すぎの丈(股下)
近年はテーパードシルエットの細身のパンツが多く、九部丈のような短い股下のスラックスがたくさん出回っております。
ですが、ビジネスシーンにおけるスラックスとしては、ノークッションからハーフクッション、ワンクッション程度が一番おすすめです。
これは一概に丈の長さだけでなく、スソ幅の広さ、足の形状(O脚など)にも起因してくる部分ですので一概には言えませんが、明らかに短い、もしくは明らかにダボダボのスラックスが非常に多いように感じます。
股下に関しては比較的簡単にお直しができる部分でもありますので、一度チェックしてみてください。
③お尻がテカテカ
ジャケットも含めたスーツとして購入したものの、夏はスラックスだけ履く。
このような方に多いのが、スラックスだけがダメージを受けすぎてしまっているということです。
分かりやすく言うと、お尻や太ももなどの椅子に座って当たってしまう部分がテカテカになってしまっているということ。
やはりスーツ上下で購入したものを、夏はスラックスだけ履くという使い方をしていると、上下のバランスが非常に悪くなってしまいます。
夏、クールビズ期間の服装は全くの別物と捉えた方が良いでしょう。
夏は夏にふさわしい素材というのはたくさんあります。
そうしたパンツを一つ二つ持っているだけで、スーツが消耗する事がなくなり、こうしたテカリなどは少しでも抑えることができると思います。
一度テカリが出てしまったものは修復することは難しいです。
ですので、あらかじめツーパンツ仕様で購入したり、クールビズはクールビズ専用のスラックスを用意することをお勧めします。
オーダースラックスなら安心
クールビズ用のスラックスについてお悩みの方は、オーダースラックスも是非候補に入れてみてください。
ボットーネにおいても、3万円程度からスラックスをオーダーすることが可能です。
素材、シルエット、様々な観点からご提案もさせていただきます。
ここからは、クールビズ用のスラックスに付いて、おすすめの素材や仕様を詳しく解説していきます。
生地にこだわる
クールビズ用のスラックスにおいて、生地というのは快適さに直結する非常に重要な要素です。
私がご提案する際に大事にしている項目が4つあります。
①通気性が良いこと
この時期のスラックスにおいて、通気性は言うまでもなく最も重要なポイントです。
通気性が良いということは、生地の織り方であったり、糸の太さであったり、あらゆる部分が関わってくるのですが、基本的には「平織りの生地」が通気性が良くなります。
その中でも、「太い糸を使った平織り」の場合は、その分空間も広くなりますので非常に通気性がよく、風が吹いた時には足に直接風を感じるほどで、普通の梳毛ウールのスラックスとは全く違った感覚です。
②丈夫であること
汗をたくさんかく季節ですから、丈夫さも兼ね備えていなければなりません。
例えば先程ご説明したような太い糸を使った生地。
これは当然細い糸を使った生地よりも、はるかに丈夫です。
専門用語になりますが、フレスコ・ポーラー・2プライ・3プライといった生地は、複数の糸を1本にまとめて織っており、丈夫で耐久性が優れているといった特徴を持っています。
私も、FOX Brothers社のFOX Airという、所轄フレスコのスーツを持っていますが、全くへこたれる気配がありません。
暑い=薄い物が快適と思われがちですが、少し厚い生地でも通気性が良ければ皆さんが思っている以上に快適な着心地になります。
ただ単に分厚い丈夫な生地ではなく、「通気性を兼ね備えた丈夫な生地」がこの時期にはもってこいなんです。
https://bottone.jp/blog/29456.html
③ビジネス or カジュアル
どの程度の服装が許されているかによっておすすめの素材も変わってきます。
例えばポロシャツがOKな職場であれば、無理にウールのスラックスではなく、少しカジュアルなコットン素材なんかも良いと思います。
https://bottone.jp/blog/bottone-ceo/31809.html
オン・オフ兼用で使うことができますし、いわゆるスーパークールビズ系の服装にもマッチしていると思います。
しっかりとシャツを着て、時にはジャケットも着ることがあるという方は間違いなくウールの素材がおすすめです。
④ストレッチ素材
タイトシルエットのスラックスがお好みの方は、先にご紹介したフレスコであったりコットン素材の場合、伸縮性があまりないため少し動きづらく感じてしまうことでしょう。
やはり素材によってシルエットも見直すことが必要で、タイトなシルエットが優先事項にあるとすれば、それに適した素材をセレクトする方が良いでしょう。
近年はウール、コットンともにストレッチ素材がたくさん出てきております。
ものによっては静電気がが発生しやすかったり、ストレッチが効きすぎていることによりダラッっとした印象になってしまうものもありますので、その辺りは注意が必要です。
間違ってもジャージ素材のような極端なものは避けた方が良いと思います。
やはりストレッチが効いていると、立ち座りの動作などはすごく楽になりますし、外回りの多い営業マンなどの職種の方にも適していますよ。
仕様にこだわる
生地にが決まったら、その次はシルエットや仕様を決めていきます。
私が考える、クールビズ用のおすすめの仕様は、「1プリーツややテーパードのシルエット」です。
これまで主流のノータックのスラックスに対して、近年は1プリーツや2プリーツのスラックスが流行っています。
①1プリーツ仕様
流行っているからという訳ではありませんが、私のお勧めは1プリーツです。
文字通り、ひとつのプリーツが入っていて、内側を向いたインプリーツと、外側を向いたアウトプリーツがあります。
スラックス単体であれば、アウトプリーツが良いでしょう。
プリーツ入りのパンツはその分可動域も広くなりますので、動きやすさが向上する点に加え、クリースラインが綺麗に入ることが何よりメリットだと思います。
最初にご説明したように、スラックスにおけるクリースラインは「美しさの生命線」といっても過言ではありません。
1プリーツ入ることにより、スラックスの頂点から股下まで途切れることなく一直線にクリースラインが入ります。
(ノープリーツの場合、太ももあたりでクリースは消えてしまいます。)
②ややテーパードのシルエット
プリーツが入りますで、太ももやお尻周りまでタイトなシルエットだと、ちぐはぐになってしまいます。
「ゆったりしたシルエットになるんじゃないの?」と心配の方もいるかと思います。
(プリーツ=ダボダボのイメージは私も昔は持っていました・・・。)
ですが、太ももやお尻周りは適度なゆとりを持たせ、膝から裾にかけてはすっきりとさせたテーパードシルエットであれば、むしろタイトなノープリーツのスラックスよりも、よりすっきりとキレイに見せることができるでしょう。
この辺りは当然細かくフィッティングをしながら、対話を重ねチェックしていくポイントですので、皆さんそれぞれが理想とするシルエットをコンシェルジュまでぶつけていただければと思います。
ローテーションを組む
ここまでは、オーダーするまでに注意したいポイントですが、完成した後も大切なポイントがあります。
それは、しっかりとローテーションを組むということです。
どんなに良いスラックスがあっても、それを毎日続けていたら一か月もあればへこたれてしまいます。
靴、スーツ、何でもそうですが、やはりローテーションを組むというのは非常に大切なことです。
最初から複数本オーダーしましょうということではありません。
すでにお持ちのスラックスなども含めて、常時3本から5本程度スラックスをローテーションさせると、3年5年と長持ちさせることができると思います。
当サロンのお客様においても、同じ生地の色違いで3本スラックスをオーダーされた方もいますし、ウール・ストレッチ・コットンなど素材を変えて、その日の予定に合わせてスラックスを使い分けているというお客様もいらっしゃいます。
このように複数のスラックスをしっかりとローテーションさせる方が、消耗品だからと毎年買い換えるよりも、長い目で見ればコストパフォーマンスは良いでしょう。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2016年6月14日
ボタンには様々な種類の素材があります。水牛、ナット、ポリエステル、そして貝です。貝ボタンはその名の通り、貝をくり抜いて研磨し出来上がる、天然素材のボタンです。
貝ボタンにも、様々な種類があります。
黒蝶貝、高瀬貝、茶蝶貝、白蝶貝など、
貝の種類によってボタンの風合いが変わります。
なかでも高価なのが白蝶貝です。
白蝶貝はボタンの原料となる貝のなかでは最も希少です。
巻き貝である高瀬貝も白く、一見すると良く似ているのですが、
二枚貝の白蝶貝は、1つの貝から取れるボタンの数も白蝶貝の方が少なく、
そしてボタンになったときには美しい輝きを放ち、
ジャケットを引き立てます。
こうした貝ボタンは、特にジャケットなどと相性が良く、
なかでも麻素材のジャケットに合わせると映えます。
麻素材のジャケットは大変通気性が良く、
また着用したときのクタッとした風合いからカジュアルなジャケットに最適ですが、
このカジュアルな雰囲気と貝ボタンとの相性が抜群に良いのです。
水牛のボタンやヴェジタブルアイボリーのボタンは、
ダークトーンのボタンであれば非常に重厚な印象となりますが、
白蝶貝のボタンはこれとは対極に、軽やかな印象となります。
ジャケットのみならず、
比較的高価なシャツにも貝ボタンが付いていることが少なくありませんが、
ポリエステルの人工的に作ったボタンに比べて、天然の味わいがあり、
光の反射が美しく、高級感を感じさせます。
貝ボタンには通常の薄さのボタンから、
非常に分厚いボタンがあります。
これは分厚く切削するわけで、非常に贅沢なボタンといえます。
ジャケットのボタンとしても分厚いボタンはさり気ないアイコンとしても素敵で、
シャツのボタンとしてもユニークです。
ただし特にシャツのボタンが貝の場合は、
クリーニング時のプレスなどで割れやすく、
ポリエステルのボタンと比較すれば圧倒的に弱いというデメリットもあります。
これは天然素材のボタンである、
水牛やヴェジタブルアイボリーのボタンと比較しても同様で、
貝という素材であるが故に耐久性は低く、
扱いには注意が必要です。
ジャケットの場合も同様で、
特に袖口のボタンなどはパソコン作業の際に、
テーブルに強くぶつかった場合に淵が欠けてしまうこともあります。
こうなってしまうとボタン自体の修復はできないので、
新しいボタンに交換する必要があります。
また分厚い貝ボタンは、
実際にボタンを留める際に留めにくいという点も考慮した方が良いでしょう。
貝ボタンは、ジャケットやシャツのみならず、
例えばスーツのボタンとして貝ボタンを採用するというのも悪くありません。
そもそもボタンというのは、紳士服において唯一のアクセサリで、
唯一の突起物です。
もちろん実用面から、前身頃と後身頃を繋ぐ役割はあるわけですが、
実用とアクセサリを兼ね備えた、紳士服で唯一遊べるところといっても過言ではありません。
そういった意味では、
スーツのボタンとして貝ボタンを採用するというのは、
式典や公式な場所で着用するスーツでないのならば、
さり気ない遊びの効いたスーツとしてユニークです。
スーツに貝ボタンを付ける場合は、
生地の色とのバランスを考えて、慎重に選択することをお勧めします。
ネイビーのトーンが濃い場合に、
白蝶貝などの白身が強いボタンを採用すると浮いてしまい、
茶蝶貝など方が調和がとれます。
もちろん明るいボタンを付け、
軽やかな印象にすることが狙いであれば、白蝶貝も候補にして問題ありません。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら - 2016年5月20日
クレリックシャツとは、右下のシャツのように衿、または衿と袖が白い無地の生地になった仕様の、1920年以降にブレイクしたトラッドなシャツです。
クレリックシャツは和製の用語。もともと聖職者が着用する制服の白い衿、クレリカルカラーが由来になっており、本来はカラーセパレーテッドシャツ、カラーディファレントシャツと呼びます。
昔、シャツの衿は取り外して付けるタイプでした。
色とりどり、柄も様々のシャツを仕立て所持して、衿だけチェンジしてファッションを楽しんだのです。衿の後部は金具で留めていたといわれます。
この衿をチェンジする際、それぞれのシャツの生地で衿を誂えておいたのではなく、白い衿にして色々なシャツの衿を変えます。
考えてみれば非常に合理的で、現代で考えれば、例えばセミワイド・カラーのクレリックシャツで仕事をして、夜に結婚式の二次会があるからと、ロッカールームでウイング・カラーに衿だけチェンジする、ということも考えられるわけです。
詳細はこちらスーツのディテール一覧はこちら